H240
アクトパラスとゼンマイの融合体の触手をかいくぐり懐に入ったラジエルの操るモノクロのアンティカ。するとそのアンティカは体のあちこちの部分を可変させて、何やら白い光を噴出しだした。
「王の剣の何か? それともあのアンティカの機能?」
呑気にそんなことを言ってると、アクトパラスとゼンマイの融合体の攻撃か、モノクロのアンティカが黒い球体に包まれた。いつの間に墨とか吐いたのあのタコ。
まあ実際ただの墨な訳はない。むしろこの世界のタコが墨をはくかの方が疑問だ。アクトパラスとゼンマイの融合体も別にタコの様な口してるわけじゃないみたいだしね。だってそんな口してたら、あんなヘルメットみたいなのかぶれなくない?
それか首から突き出てる管から出した……とか? どうだろうか? とりあえず下手に懐に入ってきたラジエルの馬鹿はいいかもだったわけだ。私的にはどっちも潰しあってもらって結構なんだけど、自分まで狙われるのは勘弁だからね。
私は高みの見物がしたいのだ。そしてそれを眺めるくらいが私にはふさわしいと思ってる。こうやって戦場で色々とやるって私らしくなくない?
まあ仕方ないとおもってる部分もある。なにせ私は特別だからね。私じゃないとできないことって奴がある。
「求められるって大変だよね」
『甘いぞ最強種!!』
私がヤレヤレ感を出してると、アクトパラスとゼンマイの融合体をモノクロのアンティカが一刀してた。いや、なぜか一回振っただけに見えたのに、アクトパラスとゼンマイの融合体は同時に何か所も斬られたかのようになってた。
でもそこはラジエルも言った通り、現時点で最強を自称してる種であるアクトパラスとゼンマイの融合体。ひるむことなく、さらにさっきの黒い墨の球体をいくつも出現させる。あれって前兆も何もなく、いきなりその空間に現れてるが、本当にどうやってるか謎だ。
そしてそれを避けるモノクロのアンティカもおかしい。マナの流れを私が感じれないのなら、アンティカについたセンサー類でも同じように感じとることは出来ないはずだ。
なのにラジエルが操ってるであろうモノクロのアンティカはそれをことごとく避けてる。
「いや、避けてないの?」
今のモノクロのアンティカは移動するたびにその像がぶれたように見えてる。あれが何らかの幻想魔法的に作用してるのではないだろうか? だからそもそもがアクトパラスとゼンマイの融合体は狙いをずらされてるとか? モノクロのアンティカはギリギリで避け続けてるように見えるが、実はラジエルの奴がその攻撃を誘導してるとか……そう思ってると、ついには王の剣がアクトパラスとゼンマイの融合体のヘルメットを貫く。
「あーあ」
私はそんな残念そうな声を出した。てかラジエルに負けるとか期待外れもいいとこだよ。




