H229
「うおおおおおおおおおおお!! 入るぞ!」
「入るって何が!?」
マグマの竜でマナが蓄積した種へと突っ込むセーファ。種と言っても実態があるわけじゃなく、超高濃度のマナがなんか目に見えるみたいな感じだ。そればんはマグマの中でも虹色に光ってた。遠くで見ると案外小さいし、なんかちかちかしてるなぁって感じだったけど……近くに来ると、かなりヤバイものだとわかった。なんかマナが凝縮され過ぎていて、変なことになってない?
そもそもここまでマナが凝縮するなんてことがあるんだなって感じ。ここまでマナが濃いなら、メルとかいるんでは? でもあいつ、マナ生命体のくせして、種のことは何も言わなかったな。源泉のことはさすがに知ってると思うけど……世界樹の種はマナ生命体でも近寄れないとか? まあ突っ込むらしいし、わかるだろう。
私たちは本当にそのまま竜で虹色の部分に突っ込んだ。まさにその通り過ぎて逆にびっくりだよね。なにか、儀式的な事とか、回りくどいなにかをしないと……とかそんなの一切ない。セーファはただ本当に突っ込んだ。
けど、多分抵抗はあったんだろう。マグマの竜の顔部分しか入らなかったからね。けど顔さえ入ればセーファ的にはよかったみたいだ。口を開けて私たちはマグマの竜の外へと飛び出す。それとともに、マグマの竜は役目を終えたのか消えていく。
(ありがとう……なんて言わないけどね)
別になんの思い入れもないからね。とりあえずこの空間だ。なんか周囲にマグマがたぎってるとは思えないくらいに中に入ると、涼しかった。というか……ただ地平だけが続いてて、天井が絵具ぶちまけて常にぐりぐりと混ぜ合わせてるみたいに見える。なんかふわふわとしてて、地面? と言っていいかわからないところの一メートルくらい高いところで浮き続けてる。ちなみに地面は白い。自分を反射するくらいには白いよ。
不思議な空間……てかなんか……
「痛いんですけど……」
皮膚を刺されてるような感覚がある。
「ここはマナが濃ゆい。いや、凝縮されてる。長くいると、私達も凝縮されるたろうな」
「ちょっとなんてところ連れてきてるのよ」
マナを凝縮ってつまりはぎゅうぎゅうにしてるってことでしょ? どういう力が働いてそうなってるのかわからないけど……多分自然現象的にそうなってるんだとしたら抗う術はない。
私でも、ここに長時間いるのはやばそうだ。私がこの種の一部になるなんて……やだよ。
「それでアクトパラスとゼンマイは?」
「みろ」
そう言ってセーファが指さす方では何やら、この綺麗で不思議な光景に似合わないどす黒くまがまがしい赤が見える。なるほどね……わかりやすい。




