H215
「ラーゼだと?」
「ラーゼというと確かあの?」
むむ……しまったな。バイセンの奴が大声で私の名前をいうから、オウラム側の奴らがざわざわとしだしてる。まあ私って超重要人物だもんね。普通はそんな奴は前線に……まあこの世界なら普通に出てくるか。だいたい一番強い奴が種族の頂点に君臨する世界だ。強い奴が頂点なら、その強さを示さないといけないというね。だから一番偉い立場であっても、戦場に真っ先に行く必要がある。
そんな世界の当たり前に普通に人種は逆らってるけどね。なにせ人種弱いからね。なるべく一番偉い奴は奥に奥にと引っ込めるようになってる。
(いままでは……だけど)
そう、それは今までは……だ。だって今の人種の国の王はカタヤだ。カタヤは英雄でもある。そして戦士でもあるのだ。つまりは今回の人種の国もこの世界に併合してるね。カタヤ自ら戦場にいくし。人種としては異例だけど、世界的に見たら、ようやく人種もここまできたかって感じかも
そして事実として、人種とエデン、さらには魔族とかを総合して上にいるのは私であって、(まあ魔王とは対等って立場だけど)――つまりはやっぱり私は一番のトップなのだ。それがこんな界隈にまできた……これは……
「ついに攻めてきたか!! 世界の盗人よ!!」
「世界樹を強奪せし大罪人め!!」
うわー、なんかめっちゃやる気だよ。いや、まあ敵を前にして、ビクビクとしてたらお笑い草だけどね。でもなんか私が罪人みたいになってるのが納得できない。こんなかわいくて愛らしく、宇宙一の女の子に向かってなんて暴言をはいてるんだこいつら? 私が世界を盗んだんじゃない。世界が私を選んだだけだ。
「うっさい」
私はとりあえず今までどおり、手をかざしてオウラム側の奴らを消し炭にしていくために攻撃をする。まあ不意打ちじゃないと耐えられるが、それでも圧倒的なマナに頼った面攻撃だからあいつら一歩を動けないでいるよ。
「あははは、ほらほらどうしたの? オウラムは威勢のいい奴しかいないのかしら?」
とりあえずあおられたらあおり返さないとね。それに私に注意を向けて、バイセンと666部隊の奴らが逃げおおせる時間も必要だ。
「ラーゼ様……すみません。我々は……任務を達成できませんでした。隊長以下多大な犠牲を出したというのに……」
バイセンに担がれた一人がそう言ってくる。私はその人の表情を見る暇はない。振り返ってる場合じゃないからね。それに彼だって私の様な美少女に情けない表情は見られたくないだろう。だから私は一言いうよ。
「あとは任せなさい」
(くうー私格好いい!!)
うん、今なら夢のセリフを全部言えそうだ。私はそんなことを思ってた。




