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「えっと……キララです。『ファイラル領』から来ました。これからよろしくおねがいします!」


 そんな私の自己紹介に、クラスの皆が拍手をくれる。いっぱい練習しておいてよかった。噛まずに言えた。私のクラスは一学年の三クラス目らしい。てかこの学園は年齢とかで学年が別れてる訳ではなくて、まずは誰もが一学年に押し込められるらしい。だから一番一学年がクラスが多い。十くらいある。一クラスは六十人くらいだ。だからえっと……一学年だけで……まあいっぱいである。

 そしてそこから単位? とかを取得していって学年を上げていくんだとか。優秀な人はそれこそ二年とかで卒業する人もいるそう。けど逆に言えば、いつまでも一学年でくすぶってる人も居るとか? 私は……そうならないように頑張ろう。

 

(大丈夫、だってカタヤさんにいっぱい勉強教えて貰ったもん!)


 そう思ってた時期が私にもありました。私は初の授業を終えて真っ白になってた。基礎の授業はちゃんと教室で行ってくれるらしい。けど、それを必ずしも受ける必要性はない。色んな場所で色んな講義をしてるらしいから、それを各々各自で必要だと思う物を受講しなさいというスタイル。だけどそんな皆がそれぞれ色んな所にいってたら成績とかの管理はどうなるのか? ってなる。

 それを管理してるのは学生証だ。受講するまえに、扉の前で端末に学生証を翳すと受講の記録がつくらしい。それを元に、それぞれがテストをうけて昇級できるかどうかを各々の講師陣が決めるらしい。

 

 でも私は最初から別の講義にいくなんてそんな大胆な事は出来ない。てかわからないし……だから基礎の授業を受けたんだけど……

 

(さっぱりだった)


 正直な感想です。一応教科書は読める。けど……なにが書いてあるかは分からない。黒板になにやら書いてくのをとりあえず写してみたけど……これが何の役にたつのか? 数式とか、変な線やらいっぱいである。けど、そんな私にクラスの皆が群がってくる。やっぱり転校生は珍しいのだろうか? 真っ白になってる私に気づいてないクラスの皆さんは何やらたくさん語りかけてきてる。

 けど数が多すぎて何がなにやら……そう思ってると、パンパン! と大きく手をたたく人がいた。その音で皆が私からその人に視線を移す。

 

「転校生にそんな群がってみっともない! 皆さん貴族の意識を持ちなさい! 彼女困ってらしてよ!」


 うわっと思った。何故なら、そういう彼女が中々に貴族? って感じだったからだ。いや、その縦ロールはとても貴族らしい豪華さがある。栗色の髪もとてもキレイだ。けど……けどだよ……全体的に太い。ぽっちゃりって域を超えて太い。はっきり言うとデブ。けど中々にいい人のようだ。

 

「大丈夫かしら? ごめんなさいね。貴女が美人だから、皆興奮してるようですわ」

「そんな……」


 美人と言われて悪い気はしない。領にはラーゼが居たからそういってくれる人、なかなか居ないんだ。あれは反則みたいなものなんだから、あれを基準にしないでほしいよね。

 

「よろしかったら、少し良いかしら? 実は私も貴女に興味があってね」

「ええと……そのですね」


 私はもじもじする。照れくさいわけじゃないよ。ただ……その……緊張してたから尿意というものがですね……

 

「あら、もしかして?」


 そういって縦ロールさんはふっと笑って、私の手を引いて歩きだす。そんな私達の後ろから二人の女生徒がついてくる。さっきから縦ロールさんの後ろにいたけど、取り巻きだろうか? てかこのままじゃ漏れちゃうよ!


「あ、あの! 私!」

「はい、つきましてよ」

「え?」

「ここが女子トイレですわ。違いまして?」


 凄いこの人。めっちゃいい人。私はとてもホッとする。縦ロールさんは「ささ、早く」とかいって私を引っ張る。女子トイレの中にはどうやら誰もいないようだ。広く綺麗なトイレはなんかトイレなのにキラキラして見える。凄い豪華さだ。

 

「それでは失礼しますね」


 そう言って私は個室の扉を開けて中へ入る。すると何故か三人共入ってきた。いやいや、流石に三人入るのはおかしくないかな?

 

「えっと?」

「キララさん、貴女一体どんなパンツを履いてらっしゃるの? 平民だからって何もつけてないってことはないでしょう?」

「流石に履いてます……けど?」


 あれ? なんか雰囲気が重く感じるぞ。それに他二人がクツクツと笑ってなんか感じ悪い。

 

「へぇーやっぱり平民ですか。そうですわよね。なんせキララ――しかありませんものね。そんな平民が同じ学び舎になんて――ね!」

「うぐっ!?」


 ドスッと何かがお腹に突き刺さる。それは豚の様な前足……いや、彼女の拳だった。しかもその衝撃でチョロチョロと脚に温かい液体が流れてく。

 

「あーらら、平民だからってトイレの仕方も知らないのですか? こーんなに垂れ流しちゃってしょうがない人ですね」


 私が羞恥心で何がなんだかわからなくなってると彼女は私を便器に押し倒して、そしてなんと……パンツを脱がせた。もうわけわからないよ。

 

「これは私が親切で洗ってあげますわ。その間にあなたはしっかりとここを掃除する事です。得意でしょ? 平民なら。おーほっほほ!!」


 そういって縦ロールと取り巻きどもは消えていく。私はへたへたとその場で脱力した。けど、休み時間はそんな無い。私はとりあえず近くにあった掃除箱からモップとかだして自身の出した物を拭き取った。それから脚とかも簡易的に洗ってしばらくトイレでパンツを待った。けどそうしてる内に次の授業を告げる鐘がなる。

 

「もってきてくれないじゃん!」


 私はその時ようやく、そんな事する訳無いと思い至った。短くしたスカートのせいで、かなり危険だ。だって……私は今、何も履いてない。けど初日から授業をサボるなんて出来ない。都会の洗礼という物を私は受けた。

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