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H175

 ダンプの運転をバイセンにまかせて私たちはオウラムを目指す。いや、オウラムっていうか、アクトパラスとかのところだけどね。多分だけど、オウラムの奴らはオウラムという街からアクトパラスを離したいはずだからね。なにせあんな奴が街で暴れたら最悪だしね。


 私たちだって、あれを街に近づけさせたくないし……まあとりあえずうるさい方向に行けば良いはずだ。でもそこまで近づく気はない。なにせ私達の目的は気付かれないように見守る事だ。

 こっちに向かってる人種の部隊がつくまで見守ってたら良いんだから無茶なことなんてしないよ。本当に、絶対にね。


「どこか丁度よく見晴らしいいところがあれば良いんだけどね。


 なにせどうやらオウラムの周りは森が広がってるらしくて、視界が悪い。まあ木を登れば良いんだろうけど……ある程度近づいたらそれをやるしかないか。でもバイセンの奴は登れそうにないね。だってこいつでかいし重そうだ。

 私はどんな細枝にも乗れる自信があるけどさ、バイセンは無理じゃん。やっぱり重いなんてなんの特もないね。


「そろそろいいんじゃない?」


 なんか結構ビリビリしたの感じるよ。下手したら余波を受けるかも。そのくらいの距離はまずい。だから一旦バイセンがダンプを止めた。


「少しお待ちを」


 そう言ってバイセンが外に出た。何をするのかと思ったら、でっかい木をその太い腕で抱いてボキッと……そうポキっと折った。それも一本じゃない。空が見えるくらいにするために何本か折ってた。


(なんていう力業……)


 いや凄いけどね。でもそんな腕力だけでどうにか出来るほど、上位種というのはやさしくない。むしろ、バイセンなんかよりもよっぽど細くったって、バイセン以上の馬鹿力を出したりする奴らばっかりだ。


とりあえず、バイセンの頭悪いやり方で空は仰げるようにはなった。ここからどうするかとおもったら、なんかダンプの天板から、双眼鏡みたいなのがせり出して上に伸びた。


 そんな装備いつの間に搭載されてたの? まあ軍のダンプだもんね。色々と便利な機能があってもおかしくはない。


「どうぞ」


 用意してくれたバイセンが私に場所を譲る。よくわきまえてるやつだ。こういうギミックは触りたくなるよね。


 まあただの双眼鏡なんだけど……でもこれは確かに偵察に便利。でも下手に木々を折る必要なくない? 最小限で良かったのに、ここだけなんかぽっかり空いてたら怪しまれない? まあいいか……私はそんな疑問を振り払って双眼鏡を見た。

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