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H150

 マナの暴走。それは自身で止められる様なものじゃない。なにせ自身の中の力が暴走してるんだからだ。下手に抑えようとしても、それに抗うように更に力は強く出てくる。まあ俺達にはそんな経験なんてないからこれはそう資料での見解だが。なにせ人種はそんなに魔力を持ってない。それでも人種の中では天才とか呼ばれる奴らもいるわけで、そういう人種の中でもとびきり魔力を持ってた奴らってのは、魔力暴走って奴を起こしがちだったらしい。


 人種の魔力暴走では自身と周囲をかなり巻き込んでボロボロにするって感じだが、それでもかなりの被害だったのは確か。人種でそれなら、桁が違う上位種ではどうなるか……この角と共に与えられた知識によると、大昔はそれで大地の地形が変わった……とか。つまりは今俺達はとても危険な事をしたわけになる。でも仕方ない……なにせ本当にこれしかなかった。実際、この女がどれだけなのか……俺達には計りようもない。

 なにせ上位種が下を一律に見るに様に、俺達にだって上は境目を見ると、全て途方もないって感じなんだ。だからこそ、計りようがない。


「あああああ! あああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」


 断末魔の叫び。暴走する炎から、俺達は自分たちの身を守ることに精一杯だった。だが、それも長くは持ちそうにない。本当ならここらかさっさと離れるべきだ。上手くいけば、こいつの力が全てを破壊してくれる。それこそオウラムという国と、そしてアルス・パレスごとだ。そこまで付き合う義理なんてない。生き残れるなら、その瞬間まで諦めなんてしないのが、俺達だ。だが……そうは思ってても、脚は動かなかった。いや、動けない。熱気がそれを許さない。


 コートを全身に被ってマスクで空気を冷却してないと、本当に既に自分は黒焦げになってるだろう。それだけの熱気が放たれてる。ジリジリとコートも焼けてる。このままではダメだが……だからって既に手はない。なにせこれは単純な熱量なんだ。元々が環境的に熱量が膨大な所に、更に暴走した上位種の力の熱量が加わってる。介入できる筈もない強大さ。今や我慢比べだ。焼け死ぬか……はじけ飛ぶか……だが。


 どっちにしろ、死の運命なのは変わらない。


「サポには悪い事をしたな……」


 そう呟く。なにせ、今も頑張ってアルス・パレスへと向かっていってくれてるだろう。アンティケイドはそういう道具だから、心なんて痛まないが、サポには色々と助けて貰った。あいつなら、逃げる事だって普通に出来ただろうが……危険な任務を任せた。それなのに、こんな風に自分たちのせいで殺すみたいになったのを申し訳なく思う。チラッと見ると、気管を焼かれてた仲間は既に事切れてる様だった。流石にこの熱気に耐えるだけの生命力は既になかったか。もう一人は俺と同じようにして耐えてるようだが……そう思って見てると、そいつにの真下から、炎が立ち上がった。


「ぎゃあああああああああああああああああああああ!?」


 そんな声も最初だけ……一瞬であいつは灰になった。


(何だ今の?)


 今のは明らかに攻撃だった。俺は危険を感じてその場から離れた。その瞬間、同じように炎の柱が立ち上る。


「なんだ避けたか」


 そんな声が聞こえた。そして一瞬にして、焼ける様な熱気は消えて、蒸し暑い……くらいまでになった。それはつまり、暴走してた炎が消えた事を意味してる。


「どういう……事だ?」


 俺の視界の先には、真っ赤な髪の女が半裸の状態でいる。滾ってた所が静まって、色々と危ういところが見えてる。だが彼女はそれを気にしてはない。そにれ俺もそれを気にしてる余裕はない。なにせ……暴走して消滅する筈だったのに、奴は……ピンピンとしてるんだから。

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