H141
俺達は橋を渡りきる。そして火山の入り口というか、ここから始まる登山を前にする。多分内部に続く扉か、なにか洞窟みたいな物があるとは思うが、アンティケイドからの情報からはその場所はわかってない。あの山の主はいつもそれこそ山頂の火口から入ってたしな。だが、一般的に火口しかいりぐちが内なんて事はない筈だ。だってそうだろう。そうだとしたら、エデンの片割れで作った物をどこから取り出してるのかって事になる。生産するのなら、材料が必要で、それを出荷する通路だっている。そういうのがないなんて事はない。絶対にだ。だからこそ、この山のどこかには内部に通じる穴があるはずだ。
「ん? 何だ?」
何か足元の感触が地面じゃないような。外から見てたとき、橋のこっち側は正に山だった。別に何もそれてない山。だが……今はどうだ? 足元を見ると、さっきの橋から続く……いやもっと高度な床畳になってるぞ。そしてそれがきっかけだったのか山の景色が一変していく。それはただのはげ山が眩しいメタルな感じになっていくんだ。衝撃でしかない。だって外から見てたら本当にただの普通の山だった。木々もないはげ山……暑さは相変わらずだが……これは全く違う山だろう。そう思う程だ。
『結界ですね』
「サポ……いつの間に」
こいつ上空から俺達をサポートしてくれてた筈だが、いつの間にか後ろにくっついてる。デモ実際、居てくれた方が助かる。
「結界? 俺達が見てたのは結界で偽りを見せられてたと言う事か?」
『そう言う事ですね。どうやらかなりアルス・パレスは稼働してるみたいです』
まさか山全体を覆うほどの魔法を使ってたとはな……でもおかげで俺達がどこに行けば良いのかははっきりした。山の中腹くらいから、山頂までに機械的な部分がいくつも突き出てる。そして橋から舗装された道には両脇に柱が立ってて、それが道しるべの様に続いてる。多分この柱が続いてる方向へと行けば、内部へと続く場所にたどり着ける筈だ。まあ問題は、そういう所は絶対に頑丈って事だ。装備は色々とあるが、最悪は火口からダイブする事になりそうだ。なにせ火口は口を開けてくれてるんだし、アルス・パレスが鎮座してるのは確定してるんだ。上から落ちるだけで、色々な罠をすっ飛ばしてアルス・パレスへといけると言うのはある意味で美味しい。
まあ実際罠があるか……この場合はセキュリティだが……そういうのをやってるのかは分からないが……追っ手は迫ってる。それの相手をしつつ、内部のわからない場所を進むのはリスクが高いのは本当だ。俺達はわかってないが、オウラム側は内部を把握してる訳だしな。一応柱が続いてる部分を進んでるが……この先を無事にいける可能性は限りなく低い。
「サポ……アンティケイドと共に火口へといけないか? 勿論隠れつつ」
『囮に寄りますね』
「囮は俺達全員だ」
俺は迷わずそういった。俺達の勝利条件はアンティケイドをエデンへと送ることだ。なら……それをどうすれば、一番可能性高く出来るか……ここまで来たのなら、サポの魔法でアンティケイドを隠しつつ、アンティケイドには火口から飛び降りて貰った方か良いのでは? と思った。気付かれないように俺達は別ルートでアルス・パレスへと向かってる様にオウラム側にはみせる。それもいままでよりもなるべく派手にだ……賭けだが……今の状況、賭けをしないとどうあがいてもアルス・パレスへとたどり着く前に俺達は追いつめられる。なら……賭けるしかない。
『死にますよ?』
無慈悲なそんな言葉を予言の様にサポは言った。




