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H135

 血のにおいと言うのはなかなかにごまかしが聞かない物だ。けど幸運は俺達に味方したらしい。まあこの種が単純に匂いに敏感ではなかった……という可能性もあるが、それよりかは、単純に料理をしてて気付かなかったと言うのがしっくりくる。

 静かに階段を降りて、一階を確認。階段の下は広いダイニングで、目標は端の方のキッチンで料理をしてた。漂い匂いは人種にも美味しそうと思える物だった。思わず腹が鳴らないように注意しつつ、俺達は一階に降りて部隊を展開する。それぞれ一足で距離を詰められる物陰に潜んだ。タイミングを見計らってると、ターゲットが鍋を両手で掴んだ。


『やれ!』


 俺達は一斉に飛び出した。鍋を付かんでたターゲットは突然の出来事に身動きも出来なく、硬直してる。俺達が幸運だったのは、この種がそこまで戦闘タイプではなかった事だろう。今までの二戦からもそれがわかる。こいつらは戦いになれた種ではない。だからこうやって、行き成りの奇襲に動きが止まる。それが一番やってはいけない事だとわからずに……だ。


 まあそれでも上位種とも成れば、こっちの生半可な攻撃……それどころか渾身の一撃だって通じるかわからない。だがこいつらには通じるという実績がある。これまで同じ種を二体殺した。それがこいつもやれるという自信になってる。


 ドサ――と肉塊が落ちる。料理の匂いを上書きするむせ返る様な血のにおい。それはもう無残は見た目になっている。だが何かを感じるなんて事はない。いや一つだけある。


「よし、これで邪魔者はいない。いくぞ」


 そうこれで一つ任務達成に近づけたという満足感。それだけだ。何せここは敵国。そこで暮らす奴らは全て敵。敵をいたわるなんて心情は持ち合わせてなんてない。なにせ俺達はこれまで同種だって殺してきた。自分の使える主に取って邪魔な奴らを……だ。今更明確な敵を殺した所で、障害が一つ減った……くらいでしかない。とりあえず俺達は急いで二階の奥の部屋へといく。だが……


「魔法すっね」

「流石に家主の部屋は守られてるか……」


 ドアノブをチェックしたら、案の定魔法が掛けられていた。というかこの扉自体に何やら複雑な魔法がある。下手に踏み入れるとヤバそうだ。だがこっちも最新鋭の装備だ。こういう対策だってある。魔法は基本術者が必要だ。術者がいないなら、こうやって魔方陣が術者の代わりをする。だが、それは一定の事をするだけ。そして魔方陣がそのまま鍵だ。


「見たことない感じだな……」


 問題はこの扉の魔方陣は人種の魔方陣とは違うと言う事だ。種族事に魔法の使い方は違ったりするからな。だが、魔方陣である限り、これが魔法を制御してる事に変わりは無い。俺達には魔方陣を読み取るなんて事は出来ない。


 だからこそ、アイテムの出番だ。俺はコートからカードを出す。だがそれはカードではない。カードの内側には白いテープが規則的に並んでる。それを剥がして、扉の陣にはる。 どうやらこの陣は無理に開けようとしなければ、触っても反応はしないらしい。

 だが、だからって多分扉を壊そうとしても無駄だ。そこら辺は魔法で強化されてるだろうからな。しかもそれだけやったら、多分反応する。隠密行動をしてるんだし、大きな音が出る様な事はできない。だから試すのは、この魔法陣の無力化だ。

 それの鍵がこの白いテープだ。

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