表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1104/2422

H132

「よし、良い情報が手に入った」


 俺は壁から出てきた変な種をそのまま捨て置く。既にピクリ共動かなくなったそれをどうにかしてる時間はない。この角の使い方はとても良いと思った。良い発見だ。なにせ尋問なんてする必要が無い。まあどう考えても使い捨て前提の使い方になるが……捕虜を。

 だが、この世界は弱肉強食だ。敵に掴まったらまずは助からない物だし、捕虜の有効活用という点ではこのつか方は素晴らしい。なにせ時間を掛けずに、そいつのもってる情報を全て引き出す事が出来る。問題は変な感情までついてくるって所か。


 そいつの記憶を見てる訳だからだろう。そいつが抱いてる感情なんかも伝わってくるような気分だ。そして最後は憎しみ。自分の命がおわるとわかって、それで静かに死んで行くかというと、そうじゃない。人種なんかはあっさりと死ぬだろうが、大体他の種は生命力が強い。獣人なんかは力の強い奴なら、切断された部位とか生やしたする奴もいるときくし。


 最後の最後まで完全に死ぬことなんかそうそう無い。だからだろう。最後に……俺は自分の首元をさする。何やらジャリッとした感触。それは肌にはありえない感触だ。そして指を……手袋をはめてる指を見てみると何やら赤黒い物が付いてる。血じゃない……だがこれは……


「ボス、良い情報ってなんすか?」

「ああ、それは――」


 俺は手に入れたこの種の情報を話す。だが、その間もずっと別の声が俺の頭には響いてた。情報を元に、移動を開始する時、うち捨てられた亡骸に目を向ける。手を合わせる……なんて事はしない。絶対に。たとえ呪詛の様な声を頭の中で言われ続けてるとしても……こんな奴に手を合わせるなんて事はない。


 俺達は得た情報を一件の家の裏手にやってきてた。まあそれは殺気殺した種の家らしいが。それなりによさげな家だった。どうしてここに来たのか、それはあいつが使ってたあのすり抜けにある。アレは種族の特性かと思ってたが、どうやら違うらしい。どうやらあいつは、このオウラムの街に沢山見えない魔方陣を仕込んでるみたいだ。そしてその魔方陣は繋がってて、起動することで、別の魔方陣に飛べる。つまりは短距離転移だ。


 驚く事だ。なにせ転移は研究されるが、エデンでも実現はしてない。いや自分が下っ端なだけで知らされて内だけかも知れ無いが、少なくも一般的ではないし、こんな普通に使ってるのを見たことはない。空間をなんちゃらかんちゃらするといったら、鉄血種が思い浮かぶ……だが、あいつらは別空間に入り込むという感じで、原理は違う様な気もする。わからんが。


 それにハステーラ・ペラスが絶対に必要だった筈。魔方陣だけでそれが出来るとなればかなり凄い技術だ。オウラムはこの転移技術を活用してるとなれば……思った以上に脅威となるかもしれない。そしてここに来たのは、その転移の技術的な事もそうだが、一番はその転移陣をこっちが利用する為だ。だから……この中に居る奴らには速やかに死んで貰わないといけない。


 恨みなんてない。寧ろ向こうにあるだろう。なにせこの家の者はしらないだろうが、家主を俺達は殺してる。そして次はその家族を殺す。恨まれてしかるべきは俺達だ。だが……これは戦い。懺悔なんてしないさ……今更な。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ