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H124

 アルス・パレスは火山のどこかにある……と言うのがエデン側の見立てのようだ。でもあの火山、はげ山で隠れられるような場所はない。となると可能性は自ずと絞られる。


「火口……ですか?」

『その可能性が高いですね。こちらの観測でも火口にはマナがとても濃く集まっています。まあ元々力のある山ですから、それがアルス・パレスなのかはまだ判断は出来ませんが』

「火山に続く道は中央に掛かったあの橋だけですし、それだけ強固に守ってるとも言えますからね」

『そうですね』

「アルス・パレスを壊すとなるとどうやって? 我々の装備だけでは心許ないのでは?」


 自分たちの装備はパウジーフラワーたちを殲滅するために最新にアップグレードされたが、それでも足りないだろう。なにせ種を殲滅させる装備と大きな装置を破壊する為の装備は一緒な訳ない。もともとも力をもってる種なら、道具……なんかに頼らなくても良いんだろうが、俺達人種は道具が無くてはなにも出来ない種だ。

 体は弱く貧弱で、そして他の殆どの種よりも寿命だって短い。回復能力だって乏しくて、直ぐに死ぬ。それが人種だ。でもだからこそ、人種は技術を磨いてきた。自分たちには何もないからこそ、自分たちに出来ない事を出来る物を作ってきたんだ。

 だからそれを用意できるのであれば、俺達はどんな状況にだって対応できる。用意できるのであれば……だが。


『これを使いなさい。アンティケイドをアルス・パレスの中枢まで至らせるのです。そうすれば、後はどうとでもなるでしょう』

「了解です」


 アンティケイド自体が爆弾かなにかか? それはわからないが、俺達はつまり、このアンティケイドをアルス・パレスの中枢まで護衛すればいいと言う事だろう。アンティケイドがどうやってアルス・パレスを破壊するのか……そこまで知る必要はない。ただ、人種の為に、そしてご褒美の為に任務を遂行する。


『それでは貴方たちにラーゼ様の祝福があること祈ってます』


 そう言ってアンサンブルバルン総司令の姿は消えて、アンティケイドの頭も元の頭の形に戻った。真っ白な体のそれはただ佇んでる。どうしたものか……


「えっと、よろしく」


 俺は一応アンティケイドに手を差し伸べて見る。これに感情とか言うのがあるのかは知らないが……そう思ってると、向こうもおずおずと手を握ってきた。


「意思疎通は出来るみたい――ってえ?」


 なんか顔が近いんだが!? 真っ白で平坦な顔面が直ぐそこにある。そして更にその顔が近付いてくる。離れようとしても、アンティケイドの奴が俺の手をがっつりと握ってる。そしてもう鼻先が付きそうな距離で頭を傾けて、俺の角に奴の頭が深々と刺さる。何やってるんだ? とか思ってると、角を通して何やら色々と映像が入ってきた。

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