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H120

 エンジンを吹かして森を走る。ダンプが一台。なるべく、ダンプには長く持って貰いたい物だ。既にアレで帰還する事を諦めた我々第666独立遊撃部隊は一人をダンプに残して森の中を進んでる。ちなみダンプに残したのはバンセンさんだ。もう一台は誰も乗せずにアクセルだけ踏ませたからどっかで早々に木にぶつかったんじゃないだろうか? 慌てた演出だったんだが……どうだろうか? 中身を観られる事も仮定して身代わりの人形的な物も用意したが……流石にこれ以上、人数を減らすことは出来なかった。

 


 人種ではない彼なら、オウラムに捕らえられとしてもどうにかなるかもしれない。それに彼は単体で充分強いしな。サポはこっちでサポートだ。俺達はダンプを捨てて、早々にオウラムの周囲へと展開してた。今、俺達第666独立遊撃部隊には新たなる任務が与えられていた。それは実際、「上手くいったら、よし。でも無理なら死んでこい」――と同等の任務だ。


 それが何かというと……俺達はオウラムが持ってるであろうエデンの欠片……アルス・パレスの奪還。もしくは完全破壊が任務だ。それはとても難易度が高い。なにせオウラムの要になってる筈だからだ。ラーゼ様も最近まで気付かなかったらしいが、どこからからその情報を入手したから、丁度近くに居るなら「やっちゃって」ってなノリで任務を言い渡された。


 普通ならそんな任務はお断りだ。だが、ラーゼ様の頼みを断れる男がいるだろうか? いやいない。あの人は女神であり天使であり、そして悪魔なのだ。彼女を観て知って、そしてその声に絡め取られたら、男なんてのはただ彼女のために尽くすしかない。そういうものだ。


 皆も別に反対意見は言わなかった。誰しもがこの任務は無茶だと思ってる筈なのに……だ。まああいにく最新の装備はあったからまだどうにかなる。俺達のコートは光学迷彩にもなってる。あまり早く動くと違和感が生まれるが、歩く程度のスピードなら、視覚以外の情報でないと見つけるのは難しいはずだ。


 だが問題は、オウラムが様々な種族の国だと言う事だ。視覚だけ隠しても全然安心は出来ない。エデンにも沢山の種が居るが、視覚以外で世界を観てる種なんて結構居る。そして俺達の視覚とそもそも違う視覚を持ってる種だっている。

 そう言う場合は、こういう光学迷彩は役に立つのか……わからない。色々と魔法を併用できるようには成ってるが、流石に併用する魔法の数が多いと多いだけ、魔力を使う。どうやらこのコートには周囲のマナを取り込み易くする仕組みもあるみたいだが、それでも元々も人種はマナが……魔力が小さい種だ。

 そんな種だから、幾らこのコートが優秀でも、いくつも機能を併用させると、こっちが持たない。だからこそサポが必要だ。サポは色々と感知する術が多い。とりあえずは森をゆっくりと行き、サポのサポートでなんとかオウラムに近付く。


(ラーゼ様の話ではいくつか手を打ってるって事だったな……出来る事ならさっさと片付けたほうがいい……とか言われたしな)


 まあそれが出来たら苦労なんてしないんだが……オウラムに近付くのは森をある程度進むと難しくはなかった。なにせ大きな山が目印になってるからだ。しかもその山はマグマを垂れ流してる。頂上からではなくて、側面からドクドクと……だが。

 そんな山を目指してる俺達にはねっとりとした熱気がまとわりついてた。それにコートを深く着てるから余計にあつい……


「こんな所に良く住めるな……」

「確かに良い環境じゃないっすよね」


 まあそれは俺達が人種だからだろう。他の種は大体人種よりは頑強だ。この程度、どうってことないんだろう。だからって快適なのかはわからないが……そんな事を進んでると、開けた崖に出た。そこからオウラムを一望できる。

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