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H116

「災いが、迫って来てます」

「災いなんて今更じゃないか?」


 幕の向こうの姫に対して俺はそう言う。この世界自体が災いみたいな物だ。俺達に取っては……なにせ一番ヤバいからな。


「具体的にわかるか?」

「すみません。具体的には見通せないのです。ですが、危機が迫ってると思います」


 どんな危機なのかは不明だが、姫が言うなら一定の信頼性はある。なにせ姫は色々と見通せる力がある。一定の未来視みたいな物だ。危機が迫ってると言われて動かない訳にはいかない。


「その危機は森の騒ぎと関係あるって事だよな?」

「それもわかりかねます。靄がかかってるのです。世界に満ちるマナに、何か変化があったのかも知れません」

「マナに……」


 この世界の生物でマナに頼らない生き物なんていない。そしてそんなマナに何かがあったとなると……誰が仕掛けてきてるのか、自然とわかるという物だ。


「ラーゼ」

「あの性悪女が何かをやってると言うのはあるでしょうね。既に世界は自分の物と思ってそうですし」


 なんか姫はラーゼの奴がとても嫌いなようだ。まあそれは俺もだが。オウラムの上層部であいつが嫌いじゃない奴はいない。エデンの取り合いで色々と煮え湯飲まされてるしな。


「受け身ばかりでは先手を取られ続けるぞ」

「一応潜入に長けてる種が人種の国へと侵入はしてるだろう?」

「生ぬるいといってる。奴らを常に混乱に落とすべきだ」

「だからって、下手な行動なんて取らせられないだろう。敵の本拠地にいるんだぞ」


 下手に工作してバレたりしたら、それこそ本末転倒だろう。今はラーゼ達の国の情報が入ってくるだけでもありがたい。まあセーファ達の言わんとしてる事だって充分に理解してる。ずっと受け身だとダメだと言う事くらいわかってるさ。

 そもそもが俺達獣人は先手必勝気質あるし。ウズウズしてるのは俺だって一緒だ。でも情報だけでもありがたい。なにせ向こうが作って広めてる物が、オウラムでもそのもの自体を突っ込めば、エデンの片割れの設備が作ってくれるからな。


 それに寄ってオウラムの中心部はなかなかに発展してる。本当にあれが完全に壊れて無くてよかった。本当なら、それこそ兵器的な物を作りたい所ではある。だが元々がエデンの片割れだけ合って、主と認めれないと、全部の機能を使う事が出来ない。


 エデンから切り離されて、更にボロボロになったから、そこら変がちょっと緩くなってるのか、そのおかげで、人種の国で出回ってる製品を突っ込むとなんか勝手に生産してくれるっていう機能が発生してる。シズルスの奴が今もエデンの一部だったアルス・パレスを完全掌握しようと頑張ってるが……なかなかに難しいみたいだ。

 それもやっぱりラーゼという存在のせいらしい。本当に忌々しい……どこまでも俺達の前にあの女は立ち塞がってる。

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