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H108

「はっ、何事かだと? こいつらが我らの土地に土足で上がってきたのだ。そして我らの物を盗んでいった! 報復が必要だろう」


 そういうのは青い人の体をした種。でも頭はなくて、胴体に目と鼻と口が着いてる『ヌウナ種』だ。彼等はアクトパラス種と戦ったから残ってのは三体だけ……だからオウラムでも身を寄せ合って暮らしてる。最初、ここに来た時は三体ともボロボロだった。だが、この地の豊富なマナで今は回復してる。


 でも回復してから、こいつらはかなり問題を起こす。今回の事もそうだ。このヌウナ種に絡まれてる種はこっちに視線を抜けてきてる。何も言わなくても分かる。いつもの事だ……と。


「何を盗まれたと言うんだ?」

「知れた事を、こいつらは我らの水を勝手に汲んでいる」

「それはまあ井戸だし。共同だと言った筈だが?」

「だが、我らが来たなら、我らに譲るべきだ。勇敢さの欠片もない奴らは勇敢な我らに場を譲るべきなのは摂理だろう。それを……それを!」


 そう言って興奮したヌウナ種の一人はその青かった肌を赤くしていく。そして周りに溢れる魔力の風が吹く。


「何をする気だ?」

「知れた事、この世は力が全てだとわからせてくれよう」

「それは許可できないな」


 その瞬間、ヌウナ種の背中からもう一本の腕が生えてきて俺に向かって拳が飛んでくる。俺はとりあえず避ける。


「また、やるつもりか? 三人でも勝てなかったの、忘れたか? 力が全てだから、お前達に俺に従う……そうじゃないのか?」

「あの時は、万全ではなかっただけだ! 貴様の様な獣人風情に従う? 勘違いするな、貴様の様な低俗な種に世界はやれん!!」


 はあ……本当にこういう奴らは面倒だ。その力で負けたからここに来たくせに、今度はここで一番になりたがるんだ。それでここの連中を使ってアクトパラス種にリベンジマッチでも仕掛けるつもりか? 確かにいつかはぶつかるし、その時の覚悟は必要だが、だからってこいつらに使われるなんてまっぴらごめんって種は多いだろう。いや、こいつらが上にたったら、皆この地から離れていくのは目に見えている。わかってないのはこのヌウナ種の奴らだけ……まあだけって訳でもないんだが。

 力こそ全てって思ってる種はまだいるし……それに万全ではなかった? 最悪の言い訳だ。戦いで万全であれる時の方が希だろう。傷ついた時に襲われて、それを卑怯と罵るのかって事だ。確かに強い種ほど、真っ向勝負を好む傾向がある。それが好きな奴らはそれをすればいいと思うさ。


 それに獣人にだって誇りはあるからな。ただ、その誇りが違うだけ。否定なんてしない。だから俺がやるのはただこれだけ。


「そこまで言うのなら、相手してやる。今度はどんな言い訳を宣うか、楽しみだ」

「ほざけえええええええええええええええええ!!」


 まあこいつ程度でも運動くらいには成るだろう。

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