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H91

 黒くなったドロドロとした物が迫ってくる。あれって絶対に服とかとかす奴じゃん。まあ服だけ溶かすのなら、実際優しいよね。あれから伸びる触手を見るに……実際は全てを溶かしそうではある。そもそもが服だけ溶かすなんて何の意味があるって感じだし。


 フィクションでしか意味ないよね。黒いスライム状になってるそれは魔法と共に、物理的にも周囲に被害を広げてる。魔法が全てを吹き飛ばし、触手はその吹き飛んだ物を器用にキャッチしてる的な? そして取り込んでる。本当にアレはゼンマイ種やアクトパラス種なのだろうか? あの繭の中には他には何もなかったけど……単にあれがそうだと決めつけられないよね。


 だって二つの種とも強い筈であんなただの化け物に、他の種がただ負けたとはちょっと……なにせ知性とかある感じに見えないし。あれではただのモンスターだ。強い種と言うのは、総じて頭もいい。まあ出来はよくても、それを行かせてない奴らだって当然いるけどさ。でも流石に、トップに立った種なら、そんな事は無いんじゃないかって勝手に、それこそ勝手に思う。


 だって敵を愚かだと仮定する方が愚かな行為だよね。そんなのは油断でしかない。常に相手は最悪で、厄介だとおもってたほうが良いはずだ。そしてだからこそ、こうやって情報収集の為にアンティケイドを世界に放った訳で。


 まあこの状況も、ある意味では貴重な情報を得てると思えば……ね。追いかけられてるが、それなりに余裕もある。だって本体じゃないし……


「このまま闇雲に逃げるのも何だし、オウラムを目指しちゃお!」


 目指しちゃお! ――とか言ったけど、そんな近い訳はない。なにせこの世界の勢力はこのゼンマイ・アクトパラス種の陣営と、私達とそしてオウラムに絞られた訳で、そんな近くにそれぞれ陣取る訳はない。支配域って意味でみれば、多分このゼンマイ・アクトパラス種が多い。まあ支配してるのか根絶やしにしてるのかわかんないけど。


 世界の半分はこいつらが握ってると言っていいだろう。私達とオウラムは更に残った半分――だけど厳密には私達の方が多分支配域は広いと思う。まあ明確な線引きなんてないんだけどね。ここまで私達の領土! とか明確には言ってないし、それぞれ離れてるから、そうそう接しないしね。


 けど私達はその火蓋を切ったと言っても過言ではない。このモンスターが何かは実際まだよくわからないが、知性もなく、ただ私を狙ってるなら、このままオウラムの領土に入って奴らに押しつけよう。それがきっと最善だ。そして私達は漁夫の利を得る。


「アンティケイドなら、幾らだって逃げられるしね」


 そんな事を想ってると、宙に浮くそれは地面に触手を差し出してた。まさか止まる気? それは困る……とか思ってたら、一度後ろに引いて、触手が引っ張られる。


「なんかやな予感」


 とか言ってると、なんとパチンコみたいに伸びきった所で勢いつけて進んできた。なんでそんな原始的な方法取るわけ? 行き成りそんな事しないでよ!! 一瞬で追い抜かれた私。自身の姿が奴の影に覆われる。

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