H86
再び集まったアンティケイド達と共に、繭を目指す。今度は変な妨害は入らなかった。やっぱりあんな都合良く強敵が現れたのは意図的な物を感じちゃうよね。やっぱり気付かれてるか? そんな事を重いながらも変な森をすすむ。うっそうとしてる木々はもうなんか形容しがたい形してる。人種の国の周囲に生えてるのは正に普通の木って感じだけど、ここら辺の森は明らかにおかしい。まあかなり距離離れてるからね。そうなると、気候とかもそうだろうし、色々と違う進化をしてきた生き物たちがいっぱいなのはしょうが無い。
なんかここら辺の木は幹が地面から真っ直ぐに伸びるんじゃなく、アーチを作る様になってる。そのせいだろう。葉が重なり合って、地面に日光が届かない。もうそれを意図的にしてるんじゃない? って感じだよね。私だってそんな詳しくないけど、地面とかもちゃんと日光を当ててやらない色々と弊害が出るものでしょう。でもここら辺はそんなの考えられてないね。雨とかさえも木々と葉で全てを受け止めそうな森である。なんかやけに地面はカラカラだった。それなのに木々は大きく成長してるのはどういう事か……多分マナはがあるから……だと思う。色々と周囲を観察しながら進むと、森がぽっかりと口を開けてる場所にでる。そしてそこから見えた。
細い山がいくつもそびえる風景。そしてその山々に糸を張り大きな繭が空中に鎮座してる。
「とりあえずよく見てみようかな」
アンティケイド越しじゃわからなかった事を調べないとね。いや、今もアンティケイド越しだけどさ、でも挟んでるフィルターが違う。私は限りなくそのままでこのアンティケイドに降りてるから、私の力はちゃんと使えるのだ。とりあえず目に力を通して見てみる。温度を見れる様にしてみるけど、うん……これではよくわからない。一応周囲よりはなんか熱そうだ。熱がこもってるのかも? 私は更にマナをみる。
「糸を使ってマナを循環させてるみたいだね。クリスタルウッドみたいな事をやってる?」
不敬だね。この世界のマナは全て世界樹であるクリスタルウッドに集まってそして世界に循環されないといけないと言うのに……ぱっと見、あの繭は世界樹と同じ事をしようとしてる様にみえる。でも不思議な事はある。
「マナはあんまり変化してないんだよね」
この世界のマナと放たれてるマナはそんな変わらない。そこが不可解だよね。アラガタとかスナフスキンみたいに星持ち達は全く違うマナを送り込む事で、この世界の支配を目論んでた。でもそうじゃないと、私や魔王からこの世界を切り取る事は出来ない。だからはっきり言ってあの繭がやってる事は無意味な様な? 確かにゼンマイ種か、アクトパラス種か、どっちか知らないが、その特性が乗ってはいる。流石に世界樹じゃないから真っ白にして放つなんて事は出来てない。
『少し、マナのサンプルを送ってくれませぬか?』
何やら気になる事があったのか、ネジマキ博士の声が頭に響く。私が何か考えるよりも頭脳的なのはネジマキ博士に任せた方がいいでしょ。私はアンティケイドを通してここらのマナを取り込んで、クリスタルウッドを通してそのままに本体の方へとマナを送る。
うん、なんだって出来るねこれ。




