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H71

 私は前をトコトコと歩くドレスを着た熊のぬいぐるみの後を追う。既にこのぬいぐるみはこの城で闊歩してるから、そこまで珍しい事ではない。なので別段、注目をされる事もないと思ったが……なんかすれ違う者達がぬいぐるみと私を見て生暖かい目で見て挨拶をしていく。


 どういう事だ? 確かに考えて見れば、この者達はラーゼ様専用……見たいなところがある。なにせ普通に護衛とかの為なら、こんな可愛い必要は無い。可愛いのはラーゼ様の周りにいるためにそうしただけだ。それが似合うと思ったから、エデンの技術を結集した……それに反対を下す者などいない。


 何せ皆、ラーゼ様メロメロだかな。ラーゼ様の周りが華やぐのなら、そこには私財さえなげうつ者が出るくらいにだ。まあつまりは……このぬいぐるみがラーゼ様以外の者と居ること自体は珍しいと言う事か。しかもそれが私ならなおさら。

 私の様な、ハゲたおっさんが可愛らしいぬいぐるみに先導されている……多分それが、その絵がアンバランスなのだろう。


「ここか?」


 それなりに城を歩いてたどり着いたのは、バルコニーに出る扉だった。なかなかの広さがあるから、そこでは日に浴びながらお茶が出来たりとかする場所だ。確かにここはラーゼ様お気に入りの場所の一つだ。ここにいることは何もおかしくはない。

 扉の前に立ったぬいぐるみは私の方を見て、扉を指し示す。どうやら「開けろ」と言ってるらしい。この者達は、まさかラーゼ様に扉を開けさせたりしてるわけでは……ない筈だ。流石にそれはない。今は一体しかいないから、扉の認証場所に届かないのだろう。そもそもこの城の扉には力なんて必要ない。荘厳な見た目とかを配慮して大きな扉があったりするが、そこら辺に力が必要な事はない。けど、一応身長は必要だった。だからぬいぐるみ達はそこら辺想定してなかったと言える。


 やっぱり小さくて可愛いと実用性はどうしても両立するのは難しかったと言わざる得ない。まあだが、それば数を配置する事に寄って解決はしてる筈。とりあえずここは私が扉の認証場所に私が手をかざして扉を開く。扉はそれなりに大きいが、スムーズに開く。ここは別に荘厳さをそこまで必要としてない。そもそも内部のものが使う場所だからだ。


 これが謁見の場の扉とかはめちゃくちゃデカく、そして本当はスムーズに開くが、荘厳さとかを考えて、わざとゆっくり開くようにしてあるし、わざわざゴゴゴ――とかいう効果音も出るようになってる。そう言う演出が大事だという。


 まあそこはいい、私は開いた扉の前に立ち尽くししていた。何故なら、そこには女神がいたからだ。この光景を見た者なら、きっと誰もがそう思うだろう。夜のとばりが降りつつある今、だがエデンはその明かりを絶やす事はない。


 なにせエデンは世界のどんな場所よりも進んでいる。豊富なマナのおかげで、夜を越える明かりを私達は持ってる。この城だけではなく、エデンはの街全てがそうだ。エリアで区切られてるから、それが表面化してるのは勿論表層の都市とかだげだが、ここから見えるその景色は絶景だ。そしてその絶景をただの背景にしてしまうう彼女こそが我らが王であり神、ラーゼ様だ。彼女はバルコニーの手すりの前でぬいぐるみ達に囲まれていた。


 夜でも明るい街を背景に可愛らしいぬいぐるみ達と戯れるラーゼ様。私はその素晴らしい光景を心に刻み込む。

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