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H55

 頭から花を咲かしたボール……見た感じ、いつものボールだ。変化はない。だが……そこに花が咲いてるって事は看過できない。なにせそれはパウジーフラワーの特徴と一緒じゃないか。つまりはボールはパウジーフラワーに汚染されてると言っていい。それか乗っ取りか……


「こ、こんなの! うぐ――」


 花を引き抜こうとしたボールの手が止まった。そしてワナワナと震えだした。更に見てると、額の部分の血管が浮いてるような……いや……違う? まさかあれは――


「根か? くそ!!」


 狙いを定めて花びらを撃つ。だが、花はさっき撃ったポールを捕まえていたツタよりも更に細く小さい。それにボールの奴は微妙に動いてる。苦しいのか、いたいのか、それとももっと別の何かなのかは分からないが、ジッとしてて欲しい。


「動くな!!」


 狙いを定めて俺は撃つ。そしてようやくその花びらを打ち抜いた。


「よし!!」

『ダメです。力は消えてませんよ』

「なに!? 


 サポのそんな声に喜びは一瞬で霧散した。確かに花は撃ったぞ? するとボールの奴が「あがががが!」と何やらうめく。根が更に深く広く、ボールの顔面に広がっている。それにちょっとボールの奴が痩せたような? そう思ってると、ボールの頭の上に残ってた茎から花が再び開いた。


「再生した?」

『きっと彼の生命力を……マナをあの花は吸い取ってるんです』


 やっかいな。じゃあ、尖端だけを吹き飛ばしても意味が無いって事だ。なら、あの花を引き抜くしかボールの奴を助ける術はない……術はないというか……それで本当に助かるのか? なにせあの花から伸びた根はボールの奴の顔面を覆ってるし、そして首から下へと浸食しようとしてる。あれを引き抜く? そんなことして大丈夫なのか? 


「あれを取れば助けられるか?」

『どうでしょうね。頭に生えてるという事は、あれは頭を浸食してるのではないでしょうか?』

「だろうな……」


 その意見は同意する。あれは頭の中を浸食してる。でも……まだボールは抵抗てる様に見える。まだ間に合うのかも知れない。でも……なんとか耐えてるあいつに、俺自身が引導を渡すことになるかも知れない。


「ボス……やってください」

「ボール……」

「早く! 頭チカチカしてるんすよ!!」


 その言葉を受けて、俺は駆け出した。そうだ俺達は全ての任務で死ぬ覚悟なんて出来てる。仲間に迷惑を掛けて任務の支障になるなら、それこそ自ら死を選ぶだろう。そんな集団なんだ。生きるか死ぬか……このままパウジーフラワーに操られることをよしとする奴なんか居ない。なら賭けるのは一つ。あの花を引き抜いてそれでボールの奴が生きる事へだ。死んだらそれまで、生きてたら儲けもんだ!! 


「歯を食いしばれえええええ!!」


 俺は近付いて頭の花を握った。そして片足を地面に、そしてもう片足をボールに向けてそしてボールを蹴り出すことによって花を引き抜くことにした。その方が一気に抜けるかなって思ったんだ。


「あぎゃああああああああああああああああああああああああああああああ!!」


 脳天から飛び出る血しぶきと共に、ボールの悲鳴がとどろく。

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