5
クラスメイトside
光に照らされ男の姿が露になる。現れたのは人懐っこい笑顔を浮かべた明るい茶髪の男だった。全体的に黒っぽく動く易い軽装をしているが、目を引く部分があった。それは、腰の横にある2つの剣だった。生徒たちの視線が自然と剣に向く。男はその視線に気づく。
「君たち、武器のひとつも持ってないの?」
「武器って…」
「例えば、ナイフとか」
男は言葉と同時に手をクイッと手前に動かした。それに反応するように加藤の足元に刺さっていたナイフがヒュンッと音をたて、男の手の中に収まった。そこで、先程まで足元に刺さっていたナイフはこの男が投げたのだと分かった。
男は掴んだナイフをグルグルと指の間を回しながら、来た道を歩いていった。生徒たちは男の後に続く。
10分ほど歩いていると開けた場所が見えてくる。それと共に鼻を突くような臭いが少しだけした。
開けた場所に出るとそこには非現実的な光景が広がっていた。2メートル程のクレーターの様なものがいくつもあり、中心付近には何か大きな塊が転がっていた。
「あ、あれは何ですか?」
「知らない?オーガなんだけど。知らないなら、後ででも教えてやるよ」
生徒たちは転がるそれを気になるが質問するのを止めた。男はキョロキョロと辺りを見回した。
「ちょっと、そこで待ってて…」
男はそう言うと口に手を当て、ピーーと鳴らした。数秒後、その音に答えるかのように同じように遠くの方でピーーと鳴った。
男はその音を確認した後、また同じように歩き出した。
「今の音は何なのですか?」
「連れにちょっと知らせをな。もう少ししたら道に出るから、ちゃんと付いて来るんだぞー」
まだまだですね