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クラスメイトside
「だ、誰ですか?」
加藤は震える声で言った。口の中の水分が無くなるような感覚が襲う。
「それは、こっちの台詞だよ」
前方の木々の間から声が聞こえた。ガサッガサッと草を踏む音が次第に近づいてくる。木漏れびに照らされた足首が見えてくる。光が膝下までくると進む足は止まった。
「何だか知らない気配がすると思ったよ」
声の主はそれ以上近づいてこない。両者の間に沈黙が流れる。
「誰なんだ?」
クラスの中心的存在の高橋 勇斗が沈黙に我慢ができず声を出す。強く握った拳に汗がにじみべたつく。
「ただの通りすがりだよ。それより、君たちの方が俺は気になるな。何処から来たの?」
「あの、それが分からないのです。気づいたらここにいて」
「なに、迷子なの?にしては人数が多すぎるよね」
「いや、迷子ではなく」
「あ、良いこと思い付いた。君たち迷子なんでしょ。俺が街まで案内していこうか?」
生徒たちは顔を見合わせた。
顔も見えない相手に付いていっていいのか。と考える。
「でも…」
「でも?何か困ることがあるの?」
でも、ここで断れば、自分達はそれこそ本当の迷子になってしまう。
「いえ、特にありません。案内お願いします」
声の主は止めていた足を進めた。光に照らされ姿が露になる。
主人公はいつになったら出てくるんだろう…