ヒロインは恋する暇がありません~攻略対象たちは好きになれません 編~
こんなタイトルですが、続きません。
ここは、ピースフル村。
今日も、お父さんとお母さんについて行って畑仕事を手伝っています。
お昼を食べに家に戻ると村が騒がしくなっています。
何かあったのでしょうか?
近くにいたおばさんが言うには、国からお役人たちが来ているそうです。
現在は、村長宅で話し合っているみたいです。
お役人たちが帰った後、みんなが村長が話すのを待ちました。
何でもこの村に、『魔力持ち』がいて国が指定する『マジカル学園』に通うよう強制し脅しにきたみたいです。
その魔力持ちが、『私』みたいです。
お貴族様の学校ということは知っていたので、バカ高すぎる授業料などの金額を思うと目眩がして、気絶してしまいました。
その日は、寝ながらうなされ夢見が悪かったです。
そして、思い出したのです。
ここが、乙女ゲームの世界だと!
その乙女ゲームは、『Magical Love~あなたと学ぶ恋の魔法~』という恥ずかしすぎるタイトルです。
略して、『マジラブ』。
私はそのヒロインで、クリスティーナ・エルヴァスティ。
ゲーム内容は、
村から都会に出たヒロインは、慣れないながらも学園生活を過ごしていた。
次の年には優秀な成績を取り、この国の王子をはじめとする五人のイケメンたちに気に入られる。
そして、その五人のうちの誰かと恋に落ちる____
というものでした。
マジカル学園に入学するにあたって、現状では問題があります。
そう、制服などのお金問題です。
入学金は免除されるそうですが、他はお金が必要になります。
『特待生制度』といって、成績上位者は授業料が免除され、その間の生活費が保証されるそうです。
村長によると、入学拒否はできないそうです。
国の権力と役人の家の権力を笠に着て圧力をかけてきたのです。
最悪ですね。
制服代は、村のみんなで出してくれることになりました。
入学までまだ時間があります。
この村には、マジカル学園で教員を務めていた人がいるのです。
首になったのではなく、恋人を追いかけるため教師を止めてこの村に来ていついたのです。
特待生制度を利用したいので、その人に学園に行くまでに勉強を教えてもらいました。
そして、学園に行く日が来ました。
気分は、ドナドナ。
嫌がる私を私の両親が荷馬車まで引き摺って行きました。
荷馬車に乗っている間、私は乾いた笑いしかしませんでした。
御者の方には、気味悪がられていたと思います。
学園に着くと、イケメン教師が出迎えてくれました。
教師枠の攻略対象ですね。分かります。
確か、ベンジャミン・カジェタノ先生。
ないわー、マジないわー。
教師が生徒を恋愛対象として見るなんて、気持ち悪すぎ。
カジェタノ先生が、校長室まで案内してくれました。
校長先生は入学試験の結果、私が特待生制度を利用できることを告げました。
やったよ!村のみんな。余計な出費が抑えられるよ。
授業が始めると、お貴族様のお嬢様たちの嫌がらせにあいました。
甘いですね、お嬢様方。
前世の同性同士の嫌がらせの方がもっとえげつなかったですよ。
こんなの、嫌がらせの内にも入りません。
鼻で笑ってしまいますね。
それにしても、イケメン攻略対象たちは現実には好きになれそうもありません。
私を見て下卑た笑いやあからさまな見下した目で見てきます。
私を見る嫌な視線に気付いた悪役令嬢ことアン=マリー・バーリストレームさんが彼らに注意して追い払いました。そして、私を気遣ってくれました。
悪役令嬢ではありません。天使です。
『アンお姉さま』呼びを許してもらいました。同い年で、お姉さまなんて突っ込んではいけません。
授業で大変だなと思って、図書館に行くと爽やか系青年がいました。
毎回、私が図書館で勉強をしているのを見て声をかけてくれたみたいです。
彼は、スヴェン=エリク・アルヴィドソンさん。
なんと、学年一位の成績優秀者様です。
それを聞いたとたん、私は彼の腕を捕まえ勉強を教えてくれるように迫りました。
これは、しがみついてでも離してはいけません。私の成績が落ちようものなら、村が大借金を背負います。
私の勢いに負け、苦笑しながら勉強を教えてくれることを約束してくれました。
普通の貴族令嬢なら繋がりや婚約者候補を探すでしょうが、私は勉強です。
スヴェン先輩は教え方が上手なので、勉強がはかどります。
なんというのでしょうか、頭がよくなった気分になりました。
学年一位になるのは夢でないのかもしれません。
恋愛感情を全くいだけない攻略対象様たちを見下せると思います。
夢は、魔術師団に勤めて下克上です。
ヒロインが成り上りを夢見て、何が悪い!?
学園の休みに入ると、アンお姉さまのご実家バーリストレーム公爵家にお邪魔しました。
アンお姉さまの素晴らしさを語りバーリストレーム公爵家の皆様と意気投合★
家に帰るまでバーリストレーム公爵家でお世話になり、マナーなどの必要なことを叩きこまれました。
家には、転移魔法で帰りました。
一度行ったとこ限定ですが、転移できます。
私の学年ではまだまだ習わないことなのですが、交通手段も限られていますし、お金をがかかるのでスヴェン先輩に教えてもらったのです。
私の村での先生にそれを言うと、どこか遠い目をして乾いた笑いを浮かべてました。
お金は大事ですよね!
学年が上がると、私の周りに攻略対象たちが湧いて出てきました。
私はイライラ、アンお姉さまは私を宥めてくれます。
アンお姉さまが、お友達たちにお願いして私の近くに攻略対象たちが来るのを足止めしてくれる時もありますが、彼女たちによるとそれも限界に違いようです。
そんな時に、アンお姉さまはバーリストレーム公爵様に私を連れて帰宅するように言われたのです。
バーリストレーム公爵家に行くと、攻略対象たちの婚約者の親たちが揃っていました。
攻略対象たちに纏わりつかれているので、彼らに纏わりつくなとか意味不明な言いがかりをされるのでしょうか?
私が覚悟して言われるのを待つと、ここにいる令嬢たちの親は『あの馬鹿たちとの婚約を破棄するよう持っていきたいので手伝って欲しい』と言ってきたのです。
アンお姉さまが、婚約者である第一王子様の弟第二王子様が好きなので、アンお姉さま大好きなバーリストレーム公爵様はどうしても婚約破棄に持ち込みたいと言ってきました。
愛(笑)に浮かれる次期王様(笑)って、なんかイヤですもんね。
それ以上に何かがあって、見限った感じがしましたが。
この対価として、失敗しても『特待生制度を失っても、この方々がそれと同等の金銭を援助してくれる』というものです。
かなり美味しい条件です。
私は、もちろんすると言いました。
すべては、アンお姉さまのために!
私は、攻略対象たちを攻略していきました。
傍から見ると、人格分裂症に見えることでしょう。
事情を知らない女生徒達からの私の評判は、最悪です。
ですが、攻略対象たちを見て滑稽に思えないのでしょうか?
たった一人の、それも庶民の女の子に踊らされているんですよ。
私はうまくいくごとに、彼らを内心嘲笑っています。
いくら、前世のゲームでの攻略ルートを頭に入れて行動してると言っても、チョロすぎでしょう。これでは。
協力者は、アンお姉さま、スヴェン先輩、アンお姉さまのお友達たちと信者たちです。
スヴェン先輩は、はじめは協力するのに難色を示していたのですが、私だけが攻略対象たちに接触するのは不安なので協力をしてくれると言ってくれました。
そんなに危なさそうに見えるのでしょうか?、私。
とうとう、仕上げの日が来ました。
アンお姉さまをはじめとした、攻略対象たちの婚約者が私をイジメていると噂を協力者たちに流してもらったのです。
もちろん嘘で、自演しました。
うまく嘘のイジメのウワサに攻略対象者たちが乗せられて、協力者たちは呆れたそうです。
そして、今日この場は攻略対象者たちによる『断罪の場』。
「ウソッ! ウソッ! 嘘よね!? アンお姉さまは、いつも私に優しくしてくれたのに、こんなことするなんて嘘よね。嘘だと言って!!」
私は一人舞台のように、泣き叫んで超熱演★
こういう時に、目薬があるのは便利ですね。
なぜかスヴェン先輩がここにいるのですが、分からないので後で訊いてみようかと思います。
そして始まる、攻略対象たちによる婚約者の断罪。
いや、カジェタノ先生。私による嘘を鵜呑みにせずに、婚約者のいい分を信じる気がないのですか?
家同士のつながりを求める婚約なのに、それはありえないですね?
もしかして、そこに恋愛感情ないなんて忘れてる?
まあ、彼女がした私へのイジメは40%くらい盛ってます。
アンお姉さま以外は、本当に私にイジメをしていたんですよね。ワンパターンで飽きすぎて歯牙にもかけませんでしたが。すべて、返り討ちにしましたが。
攻略対象たちと婚約者たちの親と国王様が入って来ました。
攻略対象たちの親による、攻略対象たちのへの断罪。
自分で調べもせずに、嘘に踊らさせる罪。そして、廃嫡。私が自分たちに好意があるように見せたのは、婚約者たちの親からの依頼だと言うことをばらしました。
攻略対象たちはそれを知り私に縋ってきたのですが、「私に悪意満載のことをしたにもかかわらず、好意をもたれると思ったのですか?」と言って、彼らを嘲笑しました。
彼らは私の態度に憤り罵ってきたのですが、バーリストレーム公爵様の怒りを買ったと知り、完全に委縮してしまいました。
そこに入ってきたのが、スヴェン先輩。
「人の婚約者に迫った挙句、いい度胸ですね。親の権力で何でもできると思ったんですか?」
スヴェン先輩、いつ私は先輩の婚約者になったのですか?
...話の流れですね、分かります。もちろん、乗っかりますよ。
「クリスティーナ、愛しています。婚約者とか関係なしに将来、私と結婚してくれますか?」
「もちろんです、先輩。いえ、スヴェン様」
当社比で、少し目をウルウルさせてみました。
余計なことを言わずに、乗っかりましたよ。うまくいきました?
ある種の達成感をした顔をしてアンお姉さまを見たのですが、彼女はどこか顔を引き攣らせて、私を憐れんで見ていました。
これが終わった後、スヴェン先輩にはじめて聞かされたのですが、私とスヴェン先輩は婚約していたそうです。私の知らないうちに。
両親は、「あの突進娘をよろしくお願いします」と言って私を差し出したそうです。
この後、両親に事情を聞きに転移魔法で村に帰るとお祭りをしていました。
『祝!突進娘、婚約!』という横断幕を掲げていました。
私が婚約することは村をあげての祭りになることなのでしょうか?
両親が私を見つけると、私に駆け寄って来ました。
「よかったな!お前の貰い手は誰もいないと思ったが、学園に行くとすぐに見つかるとは。ちゃんと、『誓約書』も書いてもらったぞ」
と、意気揚々と見せてきました。
私はすぐに、転移魔法で学園に帰りました。泣いてもいいですか?
私は、スヴェン先輩にいいように丸めこまれて正式な婚約をしました。
ここまでうまく私を甘やかしてくれる人はいないので、好きにならないとうのは無理なことです。
学園卒業後はスヴェン先輩と結婚し、魔術師団で他を蹴落として出世するのはまた別の話。
暴走する妻に、手綱を握る夫なんて言われるのもまたその後の話。
【クリスティーナ・エルヴァスティ】
マジラブのヒロイン。
村では残念な美少女と言われ、結婚できないと言われていた。
性格的な意味で、前世は全く役に立っていない。
アン=マリー・バーリストレームの信者第一号。
【アン=マリー・バーリストレーム】
マジラブの悪役令嬢。
ゲームでは嫌がらせをしていたが、公爵令嬢なので自分を律することができ、実際は悪役になれない。
主人公と信者たちの自分への傾倒ぶりにドン引き。
本編後は、第二王子様とラブラブな生活を送る。
【スヴェン=エリク・アルヴィドソン】
攻略対象たちより、ハイスペック。
断罪の場で、主人公に婚約していることを告げたのは、この場だと断らないと計算づく。この時点ですでに、外堀も埋めている。
アン=マリー・バーリストレームの従兄。主人公と同じ年の妹がいる。
両親は息子の腹黒ぶりに、妹は主人公の頭のいいバカぶりに涙した。
【攻略対象たち】
ベンジャミン・カジェタノ以外名前なし。
第一王子+いいところのお坊ちゃん。
この後、主人公の取りなしにより自害は免れる。実家からは追放だけど。
なんて、無理ゲー。
【主人公の両親と村の人たち】
娘の突進ぶりに嫁の貰い手がないと思い込み、スヴェンが主人公の婚約者だと挨拶に来ると事情を根掘り葉掘り聞き、大いに喜んだ。
テンションが上がりすぎて、村を上げて祭りを催させる残念な人たち。
ここまで、読んでくださりありがとうございました。




