三話
すいません…三話で終わらなかった…四話計画中です
「わ〜い、でどうやるの?」
悦子はコロッと表情を変えてにこやかに微笑んだ。
「まったく」
彼は聞こえないような声ではきすてるように呟いた。
「ねぇ〜、どうやればいいの〜」
悦子がじゃれついてきた。
「なつくな!」
彼は肘を悦子の衿元に押し込んだ。
「肘でグリグリしないでよ」
「とりあえず離れろ。待て!!」
「バゥ」
悦子は彼の後ろで犬のように待ての姿勢になった。
彼は『お前は犬か?』と心で思いながら、PCに幾つものコマンドを入力していく。
「よし、えっちゃん『emotional control』を再起動してごらん。音声入力で動くはずだから、やってみて」彼は待ての姿勢をしている悦子に向けて、椅子を後ろに仰け反らせながら言った。
「うん…こうかな…」
彼女はスマホの画面を何度かタップする。
画面上に一片のレインボーカラーの花びらが現れる。
そして次々に花びらが現れて一輪の花になる。
彼女はスマホのマイクに向かって声を発する。
「快楽」
数秒後に躰全体が火照りだす。
熱い吐息を漏らしながら、体を捩らせる。
瞳は虚ろになる。
口は半開きになり時々上下に鯉の口のような動きをしながら艶のある呻き声をあげる。
腕は何かを求めるように空を切り、手は空中を浮遊する蝶を掴むような仕草をする。
足は生まれたての小鹿の様に震え、体を支えきれずに背中を壁に押し付け辛うじて立っている。
そして頭を上下左右にユラユラと揺らす。
「あっ、あガ アァ〜」
悦子は叫ぶ様に絶頂の声をあげながら、意識を手離し、壁から崩れるように倒れた。しばらくすると、悦子は目をあけた。
「うっ…」
小さく声を発してから、ゆっくりと体を起こした。
「す…ご…い…」
その快楽は今まで感じたことのない強烈なものだった。
「あっ君!スゴいよ!これ!」
彼女は声をあげた。
「すごい狂いようだったな」
彼は冷静なふりを装っていた。
彼女のよがる姿を見て彼もまた興奮していた。
「ハズイよ…見てどうだった?」
顔を赤面させながら彼女は聞いた。
「まぁ、すこしな」
静かに彼は答えた。
「少しなんだ…魅力ないのかな…ねぇ?」
すこし寂しそうな表情をして彼女は小さな声で彼に声をかけた。
「なんだ」
素っ気なく彼は答えた。
「私のこと好き?」
彼女の問いに一瞬彼は驚いた。
「なんだよ急に…まぁ…好きだけど」
彼は素直に答えた。
「ほんとに?」
彼女は嬉しそうな顔をしながら、それでも声質は冷静さを保ちながら彼の答えの再確認を求めてきた。
「好きだよ…likeの意味で…」
後半の部分は少し嘘をついた。
「likeねぇ…まぁ仕方ないか…」
彼女は少し落ち込んだ。