僕
「過去に戻れるならいつの時代いつに行きたい?」
中学校に入ってきた後輩何人かに僕は
そんな変な質問をしたことがある。
ほぼみんな僕を変な目で見ていた、まるで
まるで僕が変人みたいなそんな目で見られていた。
ある日は、聞いた瞬間近くにいた友達に
目で助けを求めている子もいた。
またいつかの日は、逃げられた
でもあの日だけはちょっとなにか感覚も
世界もなにかが違うように感じられる少女に声をかけた。
「過去に戻れるならいつの時代いつに行きたい?」
「私はどこにも行きたくないです」
「え、どうしてかな」
「聞いてどうするんですか、というより…過去なんて
行けないじゃないですか。」
それだけを言うとすぐ教室のほうに…と思ったが
図書室のほうに行ったらしい。
図書室に入るのかなと、少しその少女を観察してみた
どうやら入らないらしい、僕の感はよく外れる。
あれからというものの、あの質問は出さなくなった
もうどうでもよくなったのだ、あの子の発言のおかげで
僕はようやく変人から抜け出し脱変人となったのだ抜け出した
からか僕には普通の日が戻ってきた。
いつの日か僕はあの少女のことを見つけると
よく目で追いかけるようになっていた。
どうしてか、もう一度話をしたいと思えてきた
僕はいつものなんともない声をだし、またその少女に声をかける。
「君はいつもここにいるんだね、なにしてるの」
「唐突ですね」
「ごめんね」
唐突すぎたのか、その一言を言うと音もなく
僕の横を通り過ぎていった。
あの子の目はすごく綺麗だった、なにも見ていない
僕のこともみてくれない、僕はわかるあの子の目を見て
いつも話しているから。
最後にもう一度、いやもうちょっと長く
君の声も聞きたいし、なによりいつも無表情なあの子の
笑顔を見たい。
それからというものの、何日、何十日と過ぎていった日
僕はようやくあの子の前に姿を見せる。
また唐突に。
「あのさ、唐突でごめん付き合ってくれないか」
精一杯の僕の言葉は、あの子の目にはどう写っただろう
目の前にいるあの子は無表情のまま、言葉を出す。
「あなたはほんとに唐突だね。 返事はごめんなさい」
「そうか…」
本当に振られると思っていた、いつも唐突に現れて
唐突に質問をする、ただそれだけ。
あの子にまともな返事はもらったことがない僕に
僕はこの何十日となにを考えて今の行動をしたのだろうか
「一つ、これから話かけることはないと思うから聞いてもいいですか」
変なことを頭で回していたせいか
唐突なあの子の返事は今までで初めての疑問形
初めてすぎて頭がまた回らない、平気を取り戻そうと
その時の僕は頑張っていた。
「私に初めて言ってきた言葉覚えてるかな?」
覚えているとも。
僕はそのことをきっかけに君に話しかけているのだから
覚えていないはずがない、焦る頭を
必死におさえたせいで目は君を見ていないようだ。
「覚えているとも」
「そのときの私の言ったこと覚えてる?」
「…。」
「そこまでは覚えてないのね」
なにを言えばいいのかわからない、
この子は話すスピードが早いのか、ただ僕がバカなのかは
わからないけれど今の言葉は僕にがっかりしたようにも
思えた。
「タイムマシンはできそうなのかな」
ふとそんな言葉が君からでたときはビックリ
僕はそんなことを言ってないのにどうしてそんな
僕が作るみたいになっているんもだろうか。
「できないよ。 やっぱり夢を見すぎたらしい」
「そっか…残念」
ここは彼女の考えを曲げたくない
君は多分自分の考えが正しいと思っているから
「それだけ」
「っえ?」
「じゃあ、ね」
それを言うとすぐどこかに行ってしまった
帰ってしまった、というべきだろうか。
僕は君の後ろ姿にまた目がいってしまう
どうやら僕はまだ諦めていないようだ。
この日の出来事はとりあえしはつかないけれど
まだ君と話すには充分な日があった。