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月曜日、夢のことが気になり、授業中はもちろん、夕海との会話も上の空だった。
「今日の彩名、何か変やで……」
雪崩に巻き込まれて以来、これまで以上に彼女は彩名のことを気にかけるようになっている。
「こないだの小テストも点悪かったやろ」
「数学は一年のときからあんなもんだよ。気にしすぎだって」
口にこそ出さなかったが、一度死んだことの後遺症ではないか、その原因が自分にあるのではないかと、不安に感じているのは間違いない。
「そやけど……。三段リーグ、いきなり連敗脱出したやん」
「ひどいっ。わたしが勝ったのは異常事態だってこと?」
「冗談抜きで、何か気になってることあるんやったら言うてほしいわ」
夕海は人生で一番の親友だ。
もし彼女が信じてくれなければ、きっと誰に話しても無理だろう。
他人の客観的な意見を知りたいと思っていたところだった。
彩名に反応がなかったからか、彼女は不安そうに目を覗き込んだ。
「おーい、聞いてる?」
「聞いてる。少し考え事をしていただけだから」
「えっ。何、その上官キャラ。どういうこと?」
無意識に出た言い様に、彩名自身が驚いた。
「ごめん、そういうわけじゃなくて。えっと。あの、今日、部活終わったら家に来てくれない?ちょっと話したいことがあるの」
親友が挙動不審だったからか、彼女は狼狽した。
「いったいどないしたん……。話って、ええ話、悪い話?どっち?」
「良し悪し?そうだな、少なくとも悪くはない、と思う」




