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6-5

 翌日の夕方、綾宛に文が届いた。


 伏見は中を開き、声を落とした。


「大納言殿にございます」

「あー……。やっぱり覚えてたんだ。将棋の誘いってことだよね?」

「ええ。ただこれは――」


 彼女は先を読み進めているうちに、頬を紅潮させ、最後に口元に手をやった。


「何?何て書いてあるの?」

「いえ。手合わせの場所が、大納言殿の屋敷なのはともかく――」

「ともかく、何?」

「帝にもお声をかけられているようです」

「それってつまり、わたしの父君だよね?」


 彼女は綾を見て、黙って頷いた。


「どうやら先方は本気ですね。綾様との勝負を宴会の目玉として、主だった公卿の方々にも列席を呼びかけられているとのことです」


 いくら遊びに長けた貴族でも、将棋で三段の実力に敵うはずがない。寺での勝負を前に、手頃な調整になるのだと、その程度に考えていたが、伏見の表情に、言葉にできない不安が体を覆い始めた。


 それは続く言葉で具現化される。


「厄介でございますね。このような公の場となりますと、負けた場合はもちろんですが――」


 勝つことが簡単ではないという。


 相手に恥をかかせることになるからだ。


 大納言は全てを見越して、場を設定してきたのだろうと彼女は声を低くした。



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