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 現在、将棋のプロ棋士に女性はいない。


 いるのは女流棋士だ。彼女たちは、女性だけが参加できる、いわば特別扱いされたサークルに所属している。収入も段位もあるが、いずれもプロ棋士とは比較にならない。


 いくつかの例外があるが、基本的に、プロ棋士というのは、奨励会という養成機関で昇段し、四段に到達した人たちのことを言う。


「そういえば、取引先の部長さんが、すごく将棋が強いらしくて、一度彩名と指したいってさ。丁重にお断りしたけどな」


 身近で、無敵だと言われている人は、アマチュアの二段か、三段くらいだろうか。それでも、おそらく、奨励会に入ったばかりの6級に歯が立たない。規定の勝率を上げて昇級し、1級の次が初段、そして二段。


 最後の関門は、三段ばかりが数十人集まるリーグ戦。その中で、上位の二人だけが、ようやくプロになれる。


 その四段になった女性が、これまでにいないのだ。たったの一人も。これまでの最高は三段で、彩名もその一人。


 その境界にあるのは、わずか一段で、だが、考え得る全ての犠牲を払っても超えられる気がしない、高い壁だ。


 女性で、女流に進まなかった棋士のインタビューを雑誌で読み、感動したところが岐路だった気がする。素直に女流を目指していれば、などと、以前は考えもしなかったようなことが最近は頭をかすめる始末だ。


「ご飯、食べたのか?」

「うん」


 負けたときはいつもそうであるように、県道2号に入ったあたりで、父は口を閉ざした。




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