23 奴隷商
太一に話をすると
「ホントか、オラも一緒に行けるのか」と嬉しそうに声を上げた
「道案内は出来るんだろうな」
「任せてくれよ、一度しか行ったことねぇけど大体覚えてるぞ、森を抜けて平原を北へ向かえばいいんだ」
近いと言っても数日はかかる
森の中は珍しく道が整備されていて他の人間に出会う事も珍しくなかった
要所要所には広く開けた場所も有りキャンプがしやすくなっている
「なんであっちの広い場所で休まないんだぁ」
俺達は広場から100メートルほど離れてキャンプを張る
「他の奴らに会いたくないんだよな、色々面倒だから」
「俺は黙っていれば問題ないがカイは珍しがられて話しかけられるんだ」
「ドワーフ自体は珍しくもないが旅をするドワーフはかなりレアらしい」
「ボブとトビーはあっちで情報収集してきてよ」
「了解や、色々売り付けてきまっせぇ」
「ボブはどこでも商売だな」とボブ達の背中を見送る
森の中といっても旅人も多く
首都を取り巻いて点在する村も沢山あり行き来が盛んなため魔物の出現率もかなり低い
太一も居るので念のため岩の壁を作りその中で過ごす
太一が小便をしに外へ出るので俺も一緒に行って並んで小便をする
太一は両手を後ろで組み腰を突き出して小便をする
俺が自分のモノを摘み小便をするのを見て不思議そうにしている
「手で摘みながら小便するんだな」
「支えてないとあっちこっち飛び散るだろ」
「外だから飛び散っても問題ないだぁ」
「確かに」
ワーッ
ギャァー
遠くで叫び声が聞こえる
「太一は隠れてろ」そう言って走り出す
「オラも行く」と太一が俺の後を追いかけてくる
広場の方で人間が右往左往している
「ボブ、何があった」
「あれや」と空を指さす
空には大きな鳥型の魔物が旋回している
「太一、魔物に向かって手を伸ばせ」
「えっ、なんで」
「良いから言われた通りにしろ」
太一の後ろに隠れ魔物に向かってルナティックアロー乱れ打ちを発射、魔物は逃げて行った
「仕留め損なったが、何本かは当たってるからもう来ないだろう」
「よう、あんた凄いな、魔法か?」と旅人風の男が太一へ話かける
「えっ、あの、その」しどろもどろした後、走って逃げてしまった
「何だったんだあいつ、裸だったし」と男が首をかしげる
翌日、ボブと合流して太一に合う防具武器を一式装備させた
「スゲーカッコいいだなぁ」とおもちゃを貰った子供の様に喜ぶ太一
途中、カイとドーガが剣の稽古をつける
人間は裸だと馬鹿にされてしまう様なのでそれなりに良いカッコをさせた方が良い
ドーガが俺のチ〇コをしゃぶったり、カイが尻尾を愛撫したりするのを見て太一が
「ダイさんは良いだなぁ」と羨ましそうに言う
「なにがだ」
「いつもドーガさんやカイさんにかまってもらえて」
「そうだな、あいつらはスケベだからな」
「なして旅に出ただぁ」
「どうしてだろうなぁ」
「初めはダイの仲間探しだったよな」とカイ
「俺もその話、聞きたいっす」ドーガ
「別に面白い話ではないと思うぞ」
「俺は物心ついたときには一人で適当に木の実を食ったり弱い魔物狩ったりしてたんだ」
「少し強い魔物に苦戦するから武器が欲しくてドワーフの洞窟に入ったんだ、そしたらメタルスライムに憑りつかれてカイに助けられたんだよ」
「普通はスライム取りつかれると精気を吸い取られて死ぬんだけどな」
「死なないのが兄貴っすね」
「そうだな」
「しばらくドワーフの村で世話になってたんだ」
「こいつは常識も無いし世間知らずでほおっておけなかったんだ」
「ドワーフの村は平和で良い所だったけど退屈だったんで旅に出た」
「なので答えは「退屈だから」だな」
「退屈だからか、考えたこともなかったな、畑仕事して飯食って、特に不自由なく暮らせていたからな」
「旅はどんなだぁ」
「面白いよ」
「そうだな、しょっちゅう魔物に襲われて、ダンジョンで罠にはまって」
「怪鳥にさらわれたり、崖から落ちたり」
「悪魔と取引したことも有ったな」
「火山で焼かれそうになったり、砂漠で干からびそうになったり」
「あまり楽しそうじゃないだぁ」
「そうだな、楽しくないけど、楽しいんだよ」
「よくわからないだよ」
「俺は一緒に旅をして分かる気がするっす、旅は滅茶苦茶厳しいっす」
「平和に一生を終えるのも悪くはないさ」
「大部分のひとはそうだからな」
「冒険者って死亡率高いらしいッスよ」
「ドーガ、冒険者登録した町へ行って人探しの依頼を調べてこいよ」
「俺一人でですか、兄貴も行きましょうよ」
「人間のくせに頼りねぇーな、じゃあちょっと行ってくる、カイは太一の面倒を頼むな」
「オウ、任せておけ」
俺達は旅人の指輪で冒険者ギルドへ移動する
「そういえば沢山の魔物を狩ったんで、ついでにその報告もしておくッス」
俺は依頼のリストを眺め人探しをピックアップする
「なんでオークがここに居るんだ」とガラの悪い冒険者に絡まれた
正直鬱陶しい
「ダイさん、帰ってたんですか」声をかけてきたのはギガだ
「こいつの知り合いか」
「この人を馬鹿にしない方が良いですよ、チャント言葉を理解していますから」
「あっ、兄貴、ギガもいたのか」ドーガが近寄ってくる
「お前のペットか、ちゃんとオリに入れとかないと逃げちゃうぞ」
「オークなんぞ連れてお遊び冒険者してんのか」
「何っすかこの人、まぁいいや、結構金になりましたよ、なんか食べに行かないッスかギガも一緒にどうッスか」
「コラ、無視するんじゃねーよ」
「騒がしいッスね、もしかして兄貴と勝負がしたいとかッスか」
「ハァ、何言ってんだ、良いぞオークだし殺しても良いよな」
表に出て
「なんでこんなことしなきゃならないんだ」と小声で話す
「おい、あいつ大丈夫なのか、ダイさんが本気出したら死ぬぞ」
「兄貴、ちゃんと手加減してくださいよ」
「ふざけんな」
相手は大剣を振り回し向かってくる
隙だらけだ
ヒョイッとかわし足を引っかけて転ばせる
「この野郎」
斧を軽く振ると男のすぐ脇の地面が裂ける
「ひゃぁ、なんだこれ」男は慌てて逃げて行った
「何だったんだ」
「最近冒険者になったんだ、一定数ああいう素行の悪いのが混じるんだ」
「そういえば俺が試験を受けた時もいたな」
「大概はランクアップも出来ず辞めるか、魔物の餌食になるんだよな」
「ランクアップといえばA級に昇格したんっすよ」とドーガ
「凄いな、もうAか」ギガ
「ギガはまだソロでやっているのか」
「中々背中を預けられるような信頼できるものが居なくてな」
「ソロだと限界があるだろ」
「だから俺はまだCだよ」
食事をしながら過去の依頼を分析する
「やっぱり子供の蒸発事件が多いっすね」
「ほとんど未解決のままだな」
「人探しをやるのか、ランクとしては低い依頼だよな」
「ランクはどうでも良いんだよ、これから向かう町で人身売買が行われているんだ」
「この子供達が売られているというのか」
「そういう事になるな、この近辺には魔物も多いから魔物のせいにされがちなんッスね」
「オークがなんで人間の奴隷解放に首を突っ込むんだ、オークだって奴隷の様に扱われているんだからオークの解放運動とかした方が良いんじゃないのか」
「俺は他のオークと一緒に暮らした記憶が無い、そもそも仲間意識が無いんだ」
「兄貴は別の種族なんだと思うッス」
「確かに見た目以外は全く違うな」
「そんな事はどうでも良い、これを持ち帰って売られている奴と照らし合わせればそいつらの犯行は明らかになる。早速帰るか」
「少しゆっくりしていけばいいのに」
「そうっすよ首都に付くのに数日はかかるはずだし」
「そうだが、カイが心配だ」
「カイさんの腕なら心配ないっすよ」
「カイ一人なら問題ないが足手まといが3人いるからな」
「俺も手伝うと言ったら足手まといがひとり増えるんだろうな」
「気持ちだけありがたく頂いておくよ」そう言って席を立つ
「ドーガ、ご馳走様、今度ゆっくりと話をしよう」
「おう、またな」
ギガを置いて歩き出すふたり、町を出て目立たない場所から転移するつもりだったのだが、さっき絡んできた男が仲間を連れて待ち伏せしていた
「さっきは良くもやってくれたなCランク冒険者の実力を見せてやる」
「…」
「俺はAランクなんだけどな、その気なら相手になってやるが今度は骨折位は覚悟しろよ」
Aランクと聞いて一瞬たじろぐが人数が多いので気が大きくなっているのだろう、引こうとしない。
「どうする、殺していいか」と小声で囁く
「殺しちゃダメっすよ」とドーガが慌てて否定する
それを聞いて相手が浮足だつ
「手加減は苦手なんだ」斧を構え2度振り回す
後ろの木が何本か倒れ、地面が裂ける。
「そんなこけおどしが何度も通用すると思うなよ」
「ドーガ、後は任せた」とドーガの後ろへ引っ込む
「兄貴、酷いっすね」とりあえず鎧の股間部分を外し小さな包茎を露出する
「何のつもりだ、租チン自慢か」と笑う
中々の槍さばきだ、5人いたゴロツキをあっという間に打ち伏せた
全員の装備をはぎ取り全裸にして木に括りつける
《天誅》と腹に書いて放置
「兄貴、いきましょう」
俺達はカイの所へ転移
「おっ、良い所へ、ちょっと手伝え」カイ
辺りにはオオカミ型の魔物がカイ達を囲み襲い掛かっていた
俺が壁を作って太一、ボブ、トビーを保護
「助かったぜ、守るのが大変だったんだ」
自由に動けるようになったカイは藪の中へ突っ込んでいき手当たり次第に魔物を切り伏せる
俺に襲い掛かる奴は片っ端から首をはねる
ドーガも槍で突きまく。
「凄い数っすね」
撃退して一息つく
「いきなり襲い掛かってきてビックリしたぜ」
「兄貴が居れば匂いで気付くっすよね」
「前の時は魔物なんか出なかっただよ」
「なんか変だな」
森を抜け平原に出た
見通しが良いので警戒さえしていれば不意打ちは防げる
森では本道から外れて他の旅人と距離を置いていたが見通しが良い平原ではあまり離れていると違和感があるためボブ達を中心とした商人一行という事にして喋るのはボブに任せる
俺は荷物持ちで当然全裸、カイは旅人の服を着て鍛冶士で基本喋らない
ドーガは用心棒で太一は道案内、二人とも鎧を身に着けている
怪鳥を撃退していたところを見ていた男が太一をみつけ魔法が使えるのかとしつこく聞かれ閉口した
自分はただの道案内で普段は畑仕事をしている
見間違いだという事で押し通した
道中何度か魔物に襲われたが俺は出来るだけ手を出さずドーガとトビーで対処した
たまたま居合わせた商人や買い出しの村人たちには
「いゃー、冒険者さんが居てくれて助かったよ」と感謝された
「見えただよ、あれが首都だぁ」
遠くに高い城壁が見える
「随分と頑丈そうな城壁だな」
「中は凄く広くて人もいっぱいいるだよ」
「お前はあの中の施設にいたんだな」
「そうだぁ、行儀や話し方を教わって、村長に引き取られただよ」
「施設に入る前の事は覚えていないのか」
「全く覚えていない」
「いつ頃から施設にいたんだ」
「多分、5,6歳くらいだと思うんだがよく覚えていないだよ」
「捨てられた悲しい過去なんて思い出さない方が良いって言われてた」
「ひどい事されたりしなかったのか」
「悪い事すると殴られたりしたけど、おとなしくしていれば飯も食えるし問題なかっただ」
「施設の場所は覚えているのか」
「それが、思い出せないだよ、基本的に施設の外には出ない施設自体がどこなのかわからん
「施設の中であればトイレとか食堂とか覚えているだよ」
「村長に聞いてくれば良かったな」
「そういう調査ならワイに任せてんか、蛇の道は蛇ってなもんですわ」
「頼りになるな」
町へ入る際に色々と聞かれたがAランク冒険者だとわかると丁寧な対応になる
「大きな街だな」
「とりあえず宿を探すか」
ホテルのフロントでは恒例の言い争いが始まる。
「オークは馬小屋という決まりになっていますので」
「ちゃんと一人分払うんだから良いだろ」
「困ります、そういう決まりなので」
「じゃあ良いよ、他の宿屋へ行くから」
「どこへ行っても同じですよ、この町の決まりですから」と背後から声を浴びせる
確かに他の宿へ行っても同様の対応だった
「仕方ないから、変化を使うか」
指輪を嵌め人間に変身する
「凄い、化けただ、魔法だかぁ」
「アイテムだよ、これを使えばお前だって変身できるぞ」と指輪を見せる
「本当だかぁ、やってみたいなぁ」
「後で貸してやるよ」
人間に化けていれば問題もなく泊まれるがなんとなく釈然としない
宿も決まったし、町を見て回るか
「こういう大きな町には悪い奴がぎょうさんおるから気をつけなはれ」
「前にも絡まれたよな」
「田舎者の香りがプンプンやからなぁ」
「仕方ないだろ、生まれてからほとんどを外で暮らしてるんだから」
「ほぼ野生だな」
「ドーガも田舎もんだし太一も似た様なもんだな」
ホテルのフロントによって情報収集
「危ない区画とか有るなら教えてくれ、それとうまい飯屋」
「あと冒険者ギルドの場所も」
「お客さんは冒険者でしたか、てっきり商人の集まりかと」
「それは俺が強そうじゃないという事か」とドーガ
「滅相もない、ただあちらの方がベテランの商人といった物腰でしたので」
「確かにあいつは商人だけど」
「ほらっ」と自慢げにAランクの証を見せる
「これは、Aランク冒険者でしたか、失礼いたしました、ギルドでしたら正面の高台の上です」
ホテルを出ると物陰に隠れオークに戻り裸になる
最近では真っ裸が一番しっくりくる
大きく立派な建物が冒険者ギルドだ
旅の途中で退治した魔物の証を窓口で渡す
その間にクエストの一覧を眺める俺と太一
「おい、そのオークは字が読めるのか」と薄ら笑いを浮かべたチンピラの様な男が近寄ってくる
定番のやり取りにうんざりする
「大体、ギルドのなかにオークなんか入れるんじゃねーよ」
俺は男を無視して一覧表を見ている
太一は何か言い返したそうだが何も言えずにモジモジしている
「俺の相棒に何か文句でも有るんっすか」
手続きを終えたドーガが近づいて来る、以前と比べて随分と貫禄が出てきたようだ
「な、なんだお前この辺のもんじゃないな、この辺りじゃオークは馬小屋って相場が決まってんだ」
「これは俺の相棒だ、お前の剣と同じだよ」
「はん、若造が偉そうに」
受付の女性が寄ってきてドーガに話しかける
「あと二つギルドの依頼を達成して頂ければS級に昇格となります」
「よろしければこの中の依頼を選んでいただけれは有難いのですが」
「エ、S級だと」
「今はA級だ、ちなみにこのオークはお前より強いし頭も良い、敬意をもって接してほしいっすね」
「ふん、オークはオークだ」
「兄貴、めぼしいのは有りましたか」
黙って一枚のクエストを指さす、隅っこの方に貼ってある古ぼけた依頼
「《人身売買組織の壊滅》っすね、当たりじゃないっすか」
受付に話を聞くと随分前の依頼で絡んだ冒険者はみんな行方不明になっている。危険で賞金も少額なため受け手が居ないらしい
俺達が依頼を受けると言うと周りにいた冒険者がざわついていた
ギルドを出て
「受けたは良いけどどこから探しますかね」
「太一は危ないからカイ達と行動してもらった方が良いな」
「ついていっちゃダメだか」
「多分、不意打ちされてすぐに殺されるな」
「わかっただ」渋々カイ達のもとへ
「まずは近づかない方が良いと言われたあたりへ行ってみるか」
細い路地を入っていくと古ぼけた家が並んでいる。人通りはほとんどなく薄暗い感じだ
あてもなく歩いていても手掛かりはつかめない
一日歩いたが収穫は無し、ホテルへ戻りカイ達と合流する
「そっちはどうだった」
「まぁまぁやね、ガラの悪い連中が高い武具をぎょうさん買っていきよったで」
「ああいうタイプはあれですよね」トビー
「ああ、あれや」
「あれって何だぁ」太一
「後から難癖付けてきて売り上げとか全部かっさらう奴、どこにでもいるんだよね」
「難癖付けてきたらどうするんだ」
「今回はカイはんが居るんやし、返り討ちや」
「いつもはどう対処してるんだよ」
「襲われる前にトンズラですわ」
「見極めが大事だな」
「最悪、二人でもそこそこ戦えまっせ」
「そうそう、そいつらの根城は東の裏町で、この町の裏を牛耳ってる組織らしいんや」
「東か、明日はそっちへ行ってみるか」
「所で太一はなんで全裸なんだ」
「ダイさんも裸だよ」
「俺はオークだからな」
「オークって良いだな、街中でも裸で居られて」
「人間にこき使われて犯されて馬鹿にされるんだぞ」
「オラと変わらん、犯されはしないだども」
「そうかもな」
「兄貴は自由じゃないっすか」
「一般的な話だよ、なってみるかオークに」
変化の指輪を太一に渡す
「それを嵌めてオークをイメージするんだ」
言われた通りにすると、たちまちオークに変身した
大柄ででっぷりとした立派なオークだ、ホテルの天井に頭がぶつかる
「デカイな」
「カイのうちに居た奴と同じくらいだな」
「大人のオークの標準サイズだな」
「モノは小さくて細長いんだな」
「もとはデカイのにな」
「どれどれ、四つん這いになってみろ」
カイがデカイケツを開き中心に挿入する
「ブヒー、気持ちいい、スゲー、ケツが気持ちいい」
激しく腰を打ち付けているカイの脇でドーガがコップを片手に手を伸ばし太一のモノを扱く
「漏れる、漏れるだよ」
のけ反りながらバシャバシャとオークミルクを放出する
それをコップでウケみんなで分けて飲む
「太一のは結構濃いな」
「しぼりたて美味いな」
「俺は兄貴の方が好きッスよ」
折角なので、入れ替わりでケツを使いまわす、最後は太一も疲れ果てて眠りこけてしまった
邪魔なので人間に戻して寝かせてやる
翌日、情報の有った東の方へ行ってみる
「当たりみたいっすね」
ガラの悪い男たちが行き交っている。
「兄ちゃんオークなんか連れてどこへ行くんだ」
「この辺りで奴隷を売っている店があると聞いてきたんだが知らないか」とドーガ
《随分と直接的だな、しゃべり方もいつもと違うし》
「し、知らねぇーよ、それよりいい女が居るんだがどうだ」
「それは女の奴隷を買わないかという事か」
「違うよ、そういう商売の女って事だよ」
「必要ない」
「そうかよ」男は去って行った
先程まで行き交っていた人間がいつの間にかいなくなっている
後ろから近づく気配
ドーガと目配せをして悟られないように迎撃態勢をとる
いきなり切りかかってきたのは、昨日ギルドで因縁を付けてきた男だ、サッと身をかわし男の腕を掴み捻り上げる。
「おまえ冒険者だよな、どういう事だ」と尋問を始めたとき
「流石はA級冒険者だな」と体のデカイ男たちが俺達を囲む
5人、防具を身に着け剣や斧を持って薄笑いを浮かべている
ドーガが股間を露出する。
「おいおい、なんだよその粗末なモノは」
「魔物相手ばかりだったんで人間とやるのは気が引けると思ったんッスけど俺の自慢のモノを馬鹿にした報いを受けさせないとッスね」
ドーガは槍ではなく棍棒を構える
殺してしまわない配慮だ、俺は素手で相手をする
男達は人間にしては強い部類だろう、しかし、魔物の不規則な動きに対応してきた俺達にとって予測できる人間の動きなどどうという事はない
端から蹴飛ばして叩きのめす、ドーガも棍棒を器用に使い、装甲の薄い部分を突いて倒す
5人すべてをぶちのめすのにさほど時間はかからなかった
「なぁ、面倒くさく無いか」
「俺のチ〇コを馬鹿にした報いっす」
俺達は伸びている男たちの下半身を剥ぎ取り金玉に紐を結び両腕を後ろ手に縛ばり5人の腕をまとめて全員が背を向け合うようにした
金玉に結んだ紐を束ねて木の枝に通して握る
最初に襲ってきた男は別枠で全裸にした
「こいつ、デカいなぁ、なんかムカつく」
「これだけ長いと自分のケツの穴に届くんじゃねぇーか」
「それ面白いっすね」
早速、尻に回し穴にねじ込む、ついでに金玉に紐を結び背中側から首へと結びつける
背中の紐を引っ張ると金玉と首が引っ張られる
「しかし、こいつらみんなデカいなぁ、もしかしてこれが人間の標準なのか」
「兄貴だって小さいじゃないっすか」
「俺はオークだからな」
「ズルいっすね」
「お前ら、起きろ」と蹴り飛ばす
目を覚ますと縛られていることに気付く
「てめぇ、こんな事してタダで済むと思うなよ」
口々に威嚇し始める男達
木の枝に通して束ねてある紐を引っ張る
「ギャァー」
一斉に叫び声をあげる
ひもを緩め
「状況がわかったか、うるさい奴はお仕置きッス」
「で、俺達を襲った理由を教えてもらおうか」
「誰が言うか」
「えーと、今のは、これかな」と束ねた紐から一本取り出し引っ張る
「俺じゃねーょ、やめてくれ」
「それじゃぁ、これか」違う紐を引っ張る
「いででで」
「おおっ当たった」
「この人は金玉がいらないようなので引っこ抜いちゃいます」
さらに力を入れ紐を引っ張る
「ギャー」と悲鳴を上げる男
「うるさいっすね」金玉を蹴り上げると男は泡を吹いて気絶してしまった
辺りには小便が広がる
「えげつないな」
「次は誰っすか」
そんなやり取りで口を割らせるが、こいつら下っ端は詳しい内情は知らないらしい
「とりあえず、根城がわかったんで良かったっすね」
「しかし、それだけ大っぴらにやっているって事は裏に権力者がいそうだな」
「難しいこと言うっすね」
「この町の勢力ってどうなってるんだ、一番偉いのは誰なんだ」
「俺の居た町では領主っていうのが居て世襲で代々治めている感じっすね、狭い町だったから領主の屋敷が役所の様になっていたっす」
「こういうのはやっぱりボブに聞くのが良いんだろうな」
その夜、ボブに話を聞くと
頂点は領主で世襲制、近隣の村10個もまとめて配下にしていて税金を徴収する代わりに治安維持や公共事業を行っている
領主の下に地区毎に地区長がいて地区の自治を任されている、こちらも世襲
財政担当や公共事業担当、軍隊、などの担当者がいて、こちらは領主の任命制
基本的にはどこも同じで盗み、暴行、器物破損、人身売買などは禁止されているが細かいルールは土地によって変わってくるらしい
「今回の件で言えば地区長辺りが怪しいちゃうか」
「東側のあの地区を統治しているのはどんな奴か調査する必要があるな」
翌日、手分けして聞き込みをした結果。
人身売買は公然の秘密になっている様で何度か摘発されているが証拠不十分になっているらしい。
「どういう証拠が有れば良いんだ」
「本人に確認しても記憶が無いらしいんだ」
「太一も施設に入る前の記憶が無いもんな」
「記憶を操作する魔法でも有るのか?」
「捜索願が出ていないのもネックになっているらしい」
「遠い町からさらってくるからこの町にまで情報が届かないんだな」
「旅人の指輪を持っているのかな」
「結構厄介じゃないのか」
「夜中に乗り込んでいって皆殺しにしちゃったら良いんじゃないッスか」
「お前、過激だな」
「魔物ばかり相手してたんで区別がつかなくなってるんじゃないのか」トビー
「逆なんだよ、区別する方が間違っていると思うんだ」
「兄貴達は人間じゃないだろ、外にいる魔物も悪魔も何も変わらないだろ、良い奴も居れば悪い奴もいる、襲ってこられれば返り討ちにするし、腹が減れば善良かもしれない魔物を襲って食う」
「人間だからといって殺してはいけない理由にはならんという事か」
「言わんとするところはわからなくもないが、人間同士としてはチョットな」
「俺もドーガには賛成だが、冒険者の点数稼ぎとしてはダメだろ」
「それは、そうっすね、なんかムカついてそこまで考えてなかったっす」
「ダイはんは冷静なんやな」
「俺は人間じゃないし、同族は広く家畜として飼われている、今更人身売買程度では動じないよ」
「そうかもしれないっすけど…」
「とりあえず捜索願いが出ているクエストを片っ端から集めて身体的特徴のあるものをピックアップ」
「なるほど、記憶が無くても判別できるのを探すんだな」
「次に記憶を取り戻す方法を探す」
「最近いなくなった子供の親を連れてくる」
「記憶操作の方法が判明しない場合、乗り込むのは俺一人にする」
「なんでですか、一人じゃ危ないっすよ」
「もし魔法だったらその場でやられてしまうだろ、薬の類なら即効性はないはずだから大丈夫だ」
「お前は魔法耐性も有るからな」カイ
「兄貴ってそんなのも持ってたんっすね」
「俺の鎧に魔法無効を付与すれば俺も行けるぞ」カイ
「それなら二人で乗り込むか」
「ドーガは助けた子供達の保護と捜索願いとの照合、親を連れてきて子供を探させるって仕事をしてもらう」
「了解っす」
「ボブは奴隷を買いに来た商人という事で潜入捜査」
「ボブさん危険じゃないですか」トビー
「ワイは鬼ごっこもかくれんぼも得意なんやで」
さらに詳しく調査を進める
「子供たちは10人程度で売れると順次調達しているらしい、世話係が3人、用心棒が常時3人、必要に応じて個飼いのチンピラを使うようや」
「流石だな」
「それとは別に地区長の家の使用人とチンピラが20人程度いるらしい、他にもアコギな商売しているようやけど、運用は部下に任せているよってに直接的な繋がりの証拠を掴まなトカゲのしっぽ切りで逃げられまっせ」
「なるほど、何かいい方法を考えないと」
「魔法の方は何かわかったんか」
「記憶操作の魔法は有るが、それは悪魔の得意魔法で人間で使えるものはほぼ居ないらしい」
「という事は、魔族が混じっているって事か」
「厄介だな」
「ボブは奴隷を一人買ってきてくれ」
そう言って金塊を渡す
「これはもったいないんとちゃうか」
「これじゃないとダメなんだ」
2日後、いよいよ作戦実行
俺とカイは正面から乗り込み子供達を救い出す、チンピラなど全く障害にはならない
全員を打ち倒すとその中の一人が立ち上がり不気味な笑い声をあげる
両手をこちらに向け呪文を唱える
「何かしたのか」
「お、お前ら何者だ」
「おまえが悪魔だな」
「な、何故それを」
「とりあえず、こいつをぶっ殺せば良いのか」
「そうだね」
「何を言ってるんだ、オークとドワーフふぜいが」
言い終わらないうちにカイが悪魔の腹を両断する
「ギャ」と声を上げるが両断された体はすぐに元に戻る
「物理は無効の様だね」
「どうだ驚い…」
言い終わらないうちに大きな火の玉が悪魔を襲う。火に包まれた悪魔に岩の槍が突き刺さし最後は透明な球体に閉じ込めた
「何だこれは」中でボロボロの悪魔が悪態をついている
「土魔法だよ、土の中には色々な元素が有るんだ、色々試している内に元素毎に操作できることに気が付いたんだ、それはダイヤモンドの檻だけど悪魔は出れるのか」
「なんてことするんだ、ここから出たらただじゃすまないぞ」
「悪魔って死んだらどこかで別個体としてよみがえるんだよな」
「このまま土の中へ埋めれば復活できないんじゃない」
「今の魔力で穴を掘ればかなり深くまで掘れるな」
「チョット待て」
「玉を小さくすればもっと深くできるか」
「待てと言ってるだろ」
無視して作業を続ける
「待って、待ってください、何が望みだ」
「特に望みは無いんだが、人身売買に手を貸す悪魔とは話もしたくないかな」
「お前ら人間でもないくせに」
「だから話したくないと言っている」
「わかった、もうしないよ」
「子供達の記憶を消したのはお前だな、元に戻せ」
「消したのは確かに俺だが消したものは戻らない、消したんだから」
「やっぱり封印だな」
「まて、刷り込みは出来るぞ、家族との思い出は消してしまったが家族と認識させて家や町も記憶させれば元通りとはいかなくても近い物になるはずだ」
「わかった子供達全員にその作業をやってやれ」
「約束の首輪を使うか」とカイが差し出す
「俺に対して嘘をつかない、あえて情報を隠して俺に不利益を与えない、俺達に直接/間接的に危害を与えないと、必要な時に俺に協力する事」
「まぁ良いだろう、但し協力には制限を付けさせてもらう、回数は年1回だ」
「週1回」
「ふざけんな、月1回だ、これ以上は負けられんぞ」
「それで良いが、使わなかった回数はそのまま繰越な、前借も有りだ」
「わかったが繰越回数は最大5回だ、前借も5回だ」
「10回」
「仕方ない、それで手を打つか」
「今日はまだ仕事がある、待機していろ」
首輪を装着させ逃がしてやる。悪魔は悔しそうにジグザグに飛んでから消えて行った
「ここはこれで終わりだな」
「親玉の所へ乗り込むか」
ドーガと合流して親玉の屋敷へ向かう
ドアをけ破り集まってきたチンピラをぶっ飛ばす
「何だお前達は儂は地区長だぞこんなことをしてタダで済むと思うなよ」
でっぷりと太った禿親父、着ているものは豪華だがゲスな印象が強まるだけだ
「あっちだ」と俺が指さす
厳重な扉を俺の斧で粉砕し、金庫を真っ二つにすると中から金が溢れ出す
「これは何だ」
「儂が働いて稼いだ金だ」
「人身売買で稼いだんだろ」
「どこにそんな証拠がある」
「この金塊は奴隷を買ったとき支払いに使ったもんだ、言い逃れは出来ないぞ」
「それは手下が持ってきたものだ儂は知らん」
「面倒だな、おい悪魔」
「なんだ」いかにも悪魔といった風体で悪魔が現れた
「ひぃ、あ、悪魔」
「お前、部下の正体も知らなかったのか」
「こいつ、嘘が付けないようにしてやれ」
悪魔は男に手をかざし
「よし、良いぞ」
「ご苦労」
「さてと、人身売買やボッタクリ居酒屋はお前の指示で営業していたんだな」
「そうだ」男はしまったという顔をするが取り繕う言葉が出てこない。
「こいつをギルドに連れて行けば一件落着だ」
ドーガがギルドへ説明し子供たちの故郷のギルドへ出されていた捜索願いと子供たちを照らし合わせ、それぞれの故郷へ戻す手はずを整える
「今回の仕事で冒険者ランクが上がったっすよ「S」Sランクになったッス」と大喜びするドーガ
「すべて兄貴達のおかげッスよ」
「お前だけでもAくらいの実力は有るんじゃないのか」
「そうっすかね、えへへ」




