13 オアシス
延々と砂漠を歩き続け
「飽きた」
「飽きたな」
「なんか面白い事ないかなぁ」
「砂しかない、ちょっとまて、あれは何だ」
視線の先に目を凝らして見ると緑の点が有る
「あれってオアシスかも」
「行ってみるか」
「もちろん」
見えているにもかかわらずなかなかたどり着けない、丸々3日かけてようやくたどり着いた
「町の様だな」
「人がいるね、近寄っても大丈夫かな」
躊躇しているとオアシスの方からラクダに乗った人が近寄ってきた
「誰か来たね」
「逃げるか?」
「一人だし、大丈夫でしょ」
それは若い人間の女性だった
「旅のお方、ようこそオアシスへ」
「ど、どうも」
「これは珍しいドワーフ族の方ですか、どうぞこちらへ」
特に抵抗もなく町へ案内された
俺は喋らずにだまって付いて行く
南国の植物が生い茂り明るい感じの町がそこに有った中央に物見櫓が立っていて周囲を監視しているようだ、俺達の接近も随分前から察知されていたに違いない
「ここが旅人用の宿でございます、何かありましたらカウンターで伺います」
その女性はカウンターに入り俺達と対面した
「改めまして、ようこそいらっしゃいました」と会釈する
「1泊2食付き、バス/トイレ付、一泊10万でございます」
「こいつも一緒の部屋で良いのか」
「オークはラクダと一緒でも良いのではないですか」
「いや、一緒の部屋が良いんだ」
「でしたら大きい部屋をご用意しますので20万になりますが」
「こいつの食事も込みでいいな、俺と同じものを頼む」
「結構ですが、飲み水は別料金になっていますのでご了承ください」
「ああっ、水は貴重だもんな、俺達には水は必要ないから気を使わなくていいぞ」
「…そうですか」
部屋へ入り一息つく、ベッドは有るものの狭くて汚い部屋だ
「これで20万って高くない」
「前に行った人間の町は2万だったから10倍だな」
「砂漠だから色々大変なんだろ、金なんて使い道が無いし20万位どうってことないさ」
ボブは仕事熱心で武器や防具を売って大いに設けていたので俺達も金が溜まっている
何もない森や山、砂漠ではお金を使う所もないのでたまる一方だ
「夕食の支度が出来ましたので食堂へお越しください」
久しぶりのまともな食事だ、どんなものが出て来るのだろうか
2人で食堂のテープへ向かい合って座る
「あの、お客様、オークもテーブルで食事されるのですか」と戸惑った様子のメイド
「こいつは特別に躾て有るから心配しなくていいぞ」
他の客?も珍しい物を見るようにこちらを見ている
自前のコップをテーブルへ置き水を灌ぎ飲み干す
出てきた料理をナイフとフォークで器用に食べる俺、カイはホークだけでガツガツと食べている
周りの人間は一様に俺達を眺めている
カイの様子がおかしい、脂汗を流して苦しそうだ
「どうした?」声をかけると同時に椅子から転げ落ち泡を吹いている
《毒?》
俺はすぐに毒消しの魔法と体力回復魔法をかけてやる
いつのまにやら人間たちが俺達を取り囲んでいた
「大丈夫か?」
「なんとかな」落ち着いた様子で返事をするカイ
「嘘だろ、なんで平気なんだ」
「猛毒だぞ」
「なんでオークが魔法を使ってるんだ」
「オークだって食べてたじゃねぇーか」
手直にいる人間の首を掴み締め上げる俺
「どういう事なんだ」
「グェッ、苦しい」
隣の男がナイフで俺の腹を刺すが気にしない。
立ち上がったカイが
「こいつらはみんなグルなのか」
「やっちまえ」
体の大きな男が命令すると一斉に俺達に襲い掛かった
武器は無いが人間など素手で十分だ、掴んでいた男を振り回しぶつけてやる
あっという間に全員をぶちのめした
カウンターの女を捕まえ事情を聞く
「なにがどうしてこうなったんだ」
最近オアシスの近くにダンジョンが発見された
調査団を編成して扉を開いた途端に魔物が飛び出してきて調査団は全滅
その後も何度か討伐に向かったが全て返り討ち
更にオアシスの水源を押さえられ
定期的に生贄を要求、従わなければ水を止め皆殺しにすると脅され旅人を捕まえては生贄に差し出していたそうだ
「なんてことするんだよ」
「俺達を生贄にしようって事か」
「とにかく生贄なら他をあたるんだな」
「宿泊代は払わないからな、毒を盛られた慰謝料だ」
俺達は部屋へ戻る
「どうする、このまま寝る」
「夜襲でもかけられたら厄介だな」
そんな話をしているとドアが静かにノックされる。身構える二人
「何だ」
「少しお話をさせていただけないでしょうか」
「入れ」
入ってきたのはカウンターの女と老人だった
老人は女の父でオアシスの長だと言う
要件は俺達の強さを見込んで魔物退治をしてほしいとの事だった
「さっき殺そうとした奴によく頼めるよな」
「それをして、俺達に何のメリットが有るんだ」
「100万払います」
「一泊20万の宿代を文句も言わずに払う奴に100万って、安すぎるだろ引き受けると思ってるのか」
「オークは黙ってろ」と老人
「こいつはオークだけどお前なんかよりずっと賢いし強いんだぞ、オーク扱いしないでくれ
こいつが本気になればオアシスごとぶっ壊す事だって出来るんだからな」
「これは、すみません」土下座する二人
「もういいよ、それでどんな魔物なの」
「お前やる気なのか」
「仕方ないじゃない、困っているみたいだしね」
「お人よしだな、人じゃないけど」
「ありがとうございます」
「200万とここのホテルの永久にタダ宿泊券を発行してもらおう、それとダンジョン攻略のためのアイテムの無償提供で手を打ちましょう」
「わかりました」
翌日、魔物退治へ向かう
オアシスの外れに黒く大きな扉が有る、開けると魔物が飛び出してくるらしい
びっくり箱でもあるまいし、いつでも待機しているのか?
魔物は飛行系でさほど大きくはないが素早く鋭い爪で攻撃してくるという事だ
聞いた感じだと蝙蝠の様な容姿だ
俺が扉の前に身構えて立ち、カイが扉を開けて飛び出してきた敵の背後から攻撃と言う作戦だ
扉を開けた途端、黒い物が俺めがけて飛んできた、カイの一太刀は空を切った
紙一重で敵の攻撃をかわした俺、敵は俺を通り過ぎ壁に激突した
すかさず二人がカリでタコ殴りしてウオールロックで固め拘束した
「汚いぞ、何だこの部屋は」
「飛べる奴と広い所で戦うのは不利だからな、部屋を作っといたんだ」
あらかじめウォールロックで空間を制約して動きを封じる作戦は大当たりだ
「お前は喋れるんだな」
「俺は魔族だからな、敬え」
「魔物とどう違うんだ」
「人間と動物の違いと思っていいぞ、魔族とは人間みたいな物、魔物とは動物みたいな物」カイ
「俺って魔物??」
「良くわからないな」
「お前オークのくせになんで人間の味方をしているんだ」
「お前はドワーフか、なんでドワーフが砂漠にいるんだ、干からびて死ぬだろ」
「ひとをナメクジみたいに言うな」
「その魔族様がなんでダンジョンに住み着いてるんだ、生贄まで要求して」
「俺はこのダンジョンの主だ」
「ダンジョンの主って最後に出て来るんじゃないの」
「誰も俺のところまでたどり着かないのでこっちから出向いてやったんだ」
「辿り着かないって、入口が発見されたの最近だぞ」
「なんてことだ、入口の作りが間違っていたのか、おい、俺を放せ最下層に戻る」
「何を言ってるんだ、お前はここで死ぬんだぞ」
「はっ、そ、それはまずいぞ、それでは復活できない」
「普通は復活できるのか」
「ダンジョンの中では壊された罠も魔物もすべて一定時間で復活する」
「出てきたお前が悪いんだろ」そう言って斧を振り上げる
「わーっ、とりひき、取引しよう」
「俺達にメリットのある提案が出来たら乗ってやってもいいぞ」
「おいおい、魔族と取引なんぞ成立するのか、こいつらは噓つきだぞ」
「ちょうどいい所に来た様やな」
「ボブ」
「「約束の首輪」が有りまっせ、契約不履行した場合は知らせが届く、その際こちらの命令で相手を拘束出来る首輪」
「それはひどいアイテムだな」
「あくまでも契約やさかい同等の内容でのみ発動するんや、今回の場合、命と引き換えの契約やからかなりえげつない内容もOKやで」
「それなら良いかもな」
「それで、どんな提案が出来るんだ」
「金輪際ダンジョンの外へは出ないと誓おう」
「ここで殺しておけばそうなるよな」と斧を振り上げる
「わかった、それに加えあんたの呼び出しに答えよう、俺の知識が必要になった時、呼び出してくれ」
「それは良いかもな、俺に対して嘘をつかない、あえて情報を隠して俺に不利益を与えない、俺達に直接/間接的物理的危害を与えないって条件を付けよう」
「それとダンジョンの外に迷惑をかけない事」
「お前、賢いとは思っていたが、抜け目がないな」
「あんさん、それでええか」
「わかったよ、それで手を打つよ」
魔族がそういうと首輪が首に装着され、まばゆく光り消えた。
「無くなっちゃったな」
「目に見えへんだけでちゃんと機能してるさかい心配いらんよ」
「試しになんかわかりやすい嘘を言ってくれよ」
「…、昨日の天気は雨だ」
「ビビーッ」
テレビのクイズ番組で使われるようなハズレ音が響いた
「なるほど」
「昨日の天気は晴れ」
「ビビーッ」
「なんで??」
「多分、不正確な情報だからだな」
「「晴れ」であってるだろ」
「正確には、この場所は晴れだ」
「なるほど、世界のどこかでは雨が降ってるよな」
「面倒くせーな」と言い残し魔族はダンジョンの奥へ飛び去った
「さてと、ここからはダンジョン攻略だな」
ボブに経緯を話しながらダンジョンを進んでいく
「あの魔族に道案内させたら良いんやないか」
「んーっ、それでもいいけど、面白くないんじゃない」
「そうだな、ちゃんと攻略しないとな」
「二人がそれでええっちゅうなら構いませんけど」
ダンジョンは迷路のようになっていて分かれ道や行き止まりが多い、時々広いスペースにでると魔物に襲われる。
「迷路ではあるけど変な罠が無いから楽だな」
「しかし、広すぎないか」
「そうだな、もう3日歩ているが、先に進んでいる気がせんのは何故なんだ」
「もしかして無限迷宮」
「なにそれ」
「刻々と道が入れ替わるんや、いくら進んでも堂々巡り」
「なるほどな」
「どうする、このままだと迷子のままだぞ」
「それなら、自分で道を作っていくか」
魔法を使い直線の道を作って進む2階層下まで進むと大きな扉が有り開けると奴がいた
「良く辿り着いたな」
「宝はどこだ」
「俺を倒さんと宝は出てこないぞ」
「さっき負けたくせに」
「うるさい、宝が欲しければ俺と戦うんだな」
「良いぞ、もう一度やっつけてやる」
「ここでお前らをぶっ殺して約束なんぞ無にしてやる」
部屋は広く奴は縦横無尽に飛び回るアロー系の魔法で撃ち落とそうとするが中々当たらない。
「ケケケッ、ここでなら負けはしないぞ」
「それはどうかな」
アロー系の中でも最もスピードの速いルナティクアローを複数同時打ち
「ルナティクアロー乱れ打ちをくらえ」
100本の矢が乱れ飛び数本が奴を射ぬいた。
地面に落ちた魔族にカイが炎の剣とどめを刺す
悪魔は黒い霧となって霧散したその場所に宝箱が現れた
「3つやね」
「人数分出て来るのかな」
それぞれ宝箱を開ける、多分どれを選んでも同じなんだと思う
「おおっ、「賢者の石」だ、チョットほしいと思ってたんだよな」
「俺のは「魔法の地図」だダンジョンの中もわかるみたいだ」
「ワイのは「風のマント」やて少しだけ飛べるようや」
宝をゲットして地上へ戻り老人に報告する
オアシスで少しだけのんびりして再び旅を続ける
オアシスから砂漠の端は近いらしく物資は近隣の町から持ち込まれているらしい
隣町は平和だと良いが




