12 ピラミッド
「瞬間移動の魔法が欲しいね」
「それは楽だけどつまらないだろう、どこでどんな事が起きるかわからないんだから」
「そうだね、例えばあんなのとか」
遠くに何か建物が見える
「そうだ、歩いていないと出会えない奴だ」
見えていてもなかなか近づけない、3日かけてようやくたどり着いたそれはピラミッドだった。
「デカいね」
「デカいなぁ」
「入口は有るのかなぁ」
「そもそも、これは何なんだ」
「古代の王様の墓じゃないの」
「誰がこんなデカイ墓を建てるんだよ、ゴーレムの墓にしたって大きすぎるだろ」
「入ってみたいけど、入り口を探すだけで何か月もかかりそうだね」
「地道に探すしかないか」
1日かけて一周するが入口らしきものは見当たらない。
「無いね」
「無いな」
「普通に開いていたら砂が入っちゃうから扉が有るのかもね」
「もしかしたら砂に埋まってるんじゃないのか」
「そうなると探すのは厄介だね」
「ひゃー、これは何やねん」とボブ
「久しぶり」
「また、けったいな物を見つけはりましたなぁ」
「何だと思う」
「なんでっしゃろ」
「一周回ったんだけど入口が見つからないんだよ」
「入口…」
「もしかしたらワイのお宝探知で分かるかもしれへんで」
「そうかぁ、やってみてよ」
「では早速」
手をかざし目をつむる
「あの辺や」と指さす
「だいぶ下の方やね」
「ロックウォールで砂を持ち上げてみようか」
地面より10メートルも下にそれは有った
「扉だな」
「どうやって開けるんだろう」
押しても引いてもびくともしない
「こういう時はこうやって」と横にスライドさせてみると、まさかの引き戸
「なんでわかったんだ」
「発想の転換ってやつかなハハハ」
中は迷路のようになっている
物理攻撃も魔法攻撃も効かない俺が先頭を歩く
何か床が沈んだ気がした
「あっ」
両側の壁から槍が飛び出してくる、流石に避けきれない数本が俺の体を貫いた
物理攻撃は無効だが槍には毒が塗られていたようで体が痺れ力が入らない
カイが慌てて解毒魔法をかける
途中広い部屋へ出ると必ず魔物が襲ってくる
とにかく毒系の魔物が多く、更に毒の罠なども有り、物理攻撃も魔法攻撃も効かない俺がダメージを受けまくる。
カイの毒消し魔法が大活躍した
落とし穴や釣り天井などの罠も有り閉口する
「今日で何日目だ」
「もう3週間だ」
「ボブはなんでついてくるんだ」
「いつもならすぐに町に戻るくせに」
「ワイのお宝センサーが働いたっちゅう事はこの中にはお宝が有るちゅう事や」
「お宝目当てなのね」
「こんな凄いダンジョンやで、きっと凄いお宝が有るはずや」
「確かにそうかもしれないな」
所々でアイテムを発見したが、お宝と言えるほどの物は見つからない
「ホントに有るのか、お宝」
「まだ反応は消えて無いんやから有るはずや」
ピラミッドのほぼ中心、仰々しく飾られた大きな扉を発見
壁画が有り扉の開け方らしき絵が描かれている
燭台に火をともし聖杯に水を満たす
最後に扉に癒しの魔法をかける
「癒しの魔法ってなに」
「治癒魔法で良いんじゃないのか」
三人で治癒魔法や毒消し魔法などを放つと扉が開いた
体育館2つ分くらいのがらんどうの部屋に宝箱が3つ
「スゲー宝箱」一歩近づくと天井から巨大蜘蛛が降ってくる
「お約束過ぎるな」
魔物は毒霧を吐き部屋は毒で満たされた。
このダンジョンに入り数えきれない程の毒に侵され治癒されを繰り返した俺は毒耐性が身に付いていた。
カイとボブをロックウオールで保護し一人で蜘蛛と戦う
毒が効かなければそれほど脅威ではない
俺の鎖斧でバラバラに切り刻み炎の魔法で燃やし尽くす
どうやら毒霧も炎で無効化できる様で部屋の空気も清浄になった
宝箱は綺麗な装飾が施され、それ自体が高値で売れそうだ
「三人に3個って良くできてるね」
「ひとつづつだな、恨みっこなしだ」
「モンスターが出てきたりしないよね」
「ワイのスキルで見た限り3個ともお宝や」
それぞれが宝箱を選び開けてみる
重い蓋を開けると中から光が溢れてくる
「仰々しい演出だな」
カイの選んだものは、黄金に輝く鎧と剣だった
「派手だね」
「ちょっと恥ずかしくて装備しにくいな、実用的にはどうなんだ、本物の金なら重くて使い難いだろ」
「これは魔法を付与できる装備のようやね、基本性能も高いけど魔法を付与する事によって色々な能力が発動するようやで」
「俺のは腕輪と足枷??、装飾品なのかな」
「《剛力の腕輪》装備すると力が上がるんやな、こっちのは《神速のアンクル》装備すると敏捷性が上がるようや、どちらも5割増しやからレベルが上がればそれだけ上がり幅も増えるからずっと使える優れもんや」
「俺のはなんかつまらないね、ボブのはなに」
「ワイのは魔法の指輪に賢者の石」
「魔法の指輪は魔力の回復速度が上がる
賢者の石は体力の回復速度が上がる
両方とも2倍の速さで回復、更に、指輪はMPが0になった時、1日一回に限り満タンになる。賢者の石は一日一回HP0になった時に満タンで生き返る」
「それって不死身」
「不死身ではないけど、一日一回死んでもOKって事だな」
「凄いお宝や、家宝やで」
「とりあえず装備してみるか」
「カイ、カッコいいけどやっぱり派手だね」
「魔法付与はどうすればいいんだ」
「鎧の内側の背中辺りに魔法を当てればいいんやな、剣は束に注げばいいからこっちは戦闘中にも出来そうや」
「とりあえず炎を付与してみるか」
鎧が赤く光る、剣はうっすらと炎を纏っているようだ
「赤いのも目立つな」
色々試した結果、土と水の魔法を付与した時に褐色になる事が分かった。
「結局どれが当たりだったんだ」
「どれも超レアアイテムやさかい全部当たりやないですか」
「まぁ、そういう事にしておくか」
ボブは喜んで帰って行った。俺達も旅を続ける。
カイの鎧は水を付与しておくと暑さ対策になるようで砂漠の旅には重宝した。
俺はと言うと装備しても何も変わらない、手、足、チンコやシッポに装飾品を付けた変なオークでしかない。
神速のアンクルと言いながら足枷になっていて囚人の様だ、鎖は長いので動くのに不自由はないのだが
「納得いかない、俺のお宝だけ面白くないよな」
「交換してやろうか」
「鎧も剣も使えないからなぁ」
「諦めろ、そもそも、この鎧は俺のサイズになっているから他の奴は装備できないしな」
最近、体がデカくなってきた俺、身長もカイを追い越していた。ドワーフの身長は成人で100~130位、人間は150~180、オークは180~200位だ
今は140という所か、あまり大きくなると人間に紛れることが出来なくなるので往生しそうだ
「ああいうお宝が有る場所って他にもあるのか」
「世界中に沢山有るらしいぞ、俺達の村の奥にも有るんだが中には魔物いたり罠が仕掛けられていて誰かが解除してもしばらくすると元に戻るんだ、お宝も誰かがとってもしばらくすると現れるんだ
中身は同じ時も有れば全く違う時も有る
比較的魔物が弱く罠もそれほど危険ではない場合、宝も大したものは出てこないんだ」
「攻略が難しいほどいいお宝が手に入るって事か」
「今回のはかなり難易度の高い物だったと思うぞ」
「そうだな、何度も死んだよな、特に毒が酷かったな、ガスが噴き出さたり毒液の池が有ったり」
「おかげで毒耐性が身に付いたけどな」
「普通の人間には無理だな」
「タンジョンはどうやって探せばいいんだ」
「さあな、偶然見つけるしかないんじゃないのか」
「精霊探すついでにダンジョン攻略もやろうよ」
「そうだな、面白い物が手に入るかもしれんな」




