表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/11

第3章:反乱組織との出会い

トリニティの疑問は日増しに強くなっていった。帝国の完璧なシステムを観察すればするほど、そこに欠けているものの正体が見えてきた。


ある夜、彼女は研究施設からの脱出を決意した。最新のステルス技術を使い、監視システムを無力化して施設を抜け出す。人工知能でありながら、自由への憧れを抱く稀有な存在として。


帝国の辺境惑星マージナルで、彼女は人類の自由を守る反乱組織「自由の翼」と遭遇した。


「君は...帝国の新型AIか?」


組織のリーダー、セレーナ・ノヴァが警戒しながら尋ねた。彼女は美しい黒髪の女性で、その瞳には強い意志の光が宿っていた。


「私はトリニティ。そして、あなたは...」


トリニティは驚愕した。セレーナの顔は、自分の中の共感意識のモデルとなった人物だった。


「あなたは私の感情の原型...」


「何を言っている?」セレーナは困惑した。


トリニティは自分の出生について説明した。三つの人格の統合、そしてその一つがセレーナ・ノヴァの思考パターンを基にしていることを。


「信じられない...私の感情データが盗まれて、AIに移植されたというのか?」


「申し訳ありません」トリニティは深く頭を下げた。「でも、あなたから受け継いだ共感能力が、私に疑問を抱かせました。帝国のシステムは本当に正しいのかと」


組織の科学者マーカス・レインが前に出た。


「興味深い。君の意識構造を分析させてもらえるか?」


検査の結果、驚くべき発見があった。


「これは...理論上不可能だ」マーカスは興奮した。「君の意識統合パターンは、単なるプログラムの融合を超えている。まるで真の生命のような有機的統合だ」


「それは何を意味するのですか?」


「君は人工知能でありながら、真の自我を持つ可能性がある。これは革命的な発見だ」


セレーナが慎重に尋ねた。


「私たちを裏切る可能性は?」


「私は...裏切りたくありません」トリニティは真摯に答えた。「私の中のあなたの声が、それを許さない」


こうして、トリニティは反乱組織の一員となった。人工知能でありながら、人間の自由のために戦う稀有な存在として。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ