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星時計は、虹のオクターブをつないで

作者: 逢乃 雫

青みを帯びていく


菖蒲月(あやめづき)の空から



夏燕が風を切り


舞い降りるように



聴こえてくる樹々の


葉のさざめきと



まだ淡い紫陽花の


ゆれる花々に



少しずつ流れる


季節の足音を感じて



眩しさを増す太陽が


照らす影は時を


刻む短針のように




満天星(どうだん)の花咲く


緑さす丘に



ライムグリーンの


丸葉が爽やかに



薫るミントの花は


薄紅に染まり



やがて夕陽に


伸びゆく樹々の


影は長針のように




七つの光は


宙に時を刻むように



五月雲の彼方から


夜空高くへと



かかる(そら)の虹


かんむり座の星々



虹星のアーチは


光る文字盤のように



ひときわ煌めく


アルフェッカは



七十五光年の


時空を宝石のように




七つの光は


オクターブのように



まるで一音ずつ


季節を駆け上がる



光の鍵盤が


遥かな時を刻むとき



東の地平線の彼方に


浮かび上がる



ベガは奏でる


時を待つように




一つずつの音色が


つながり


響き合いながら



いくつもの旋律を


創り出すように



言の葉もまた


その一つひとつが



つながり


響き合いながら



いくつもの


物語が紡がれて



星の一つひとつが


つながり


夜空に季節を


つないでいくように




星は遥か


彼方の銀河でも



その光はもう


瞳に届いているように



遥かな夢も


その芽はもうきっと


心の中に



それを少しずつ


育てていけるように



その一瞬一瞬を


この一日一日を


そして


言の葉の一つひとつを


大切に


つなぎながら




星時計が


虹のオクターブを


宙に、つないでいくように



















初夏の空高くにある、かんむり座は半円形の七つの星で、その形から「虹星」とも呼ばれます。最も明るい星のアルフェッカは、別名を「ゲンマ」(ラテン語で「宝石」)と呼ばれます。


かんむり座の東の空からは、こと座の一等星・ベガが上がってきます。音楽のドレミファソラシの7音は、次に高さの異なるドの音につながり、1オクターブとされます。


菖蒲月あやめづきは5月、満天星どうだんはいくつもの白い花が星のように咲くドウダンツツジのことです。爽やかに香るミントは、花に姿を変えた妖精の名前に由来し、「かけがえのない時間」という花言葉があります。


季節の星や花をモチーフに、詩を描かせていただきました。お読みいただき、ありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
偶然にも、作中のフレーズに使用されている『五月』に拝読することとなりました。 春の訪れを実感するこの時期、季節の移り変わりを実感しつつ、こちらの御作品を拝読できたことに感謝しております。 『満天星』や…
[良い点] とても素敵な詩でした。 何処を具体的に良いかと言えば良いのか分からないぐらい、全てのフレーズが好きです。 季節が駆け上がり、それに繋がりを感じられて本当に神秘的で素敵でした。 5月中に拝読…
[良い点] こちらの詩もとても素敵ですね(*^^*) 背中を押してくれるような雰囲気で、読んでいて一日一日を頑張ろうと思うことができます。 こんな素敵な詩が書ける雫様は本当に素敵ですね(^^) ま…
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