作戦番号二〇二三五
エピソード: 筋肉
「とにかくイメージなんす。住所見てあーあそこらへんねってピンと来て、ふらーっと寄っていくんす。んでまぁ近くまで来たなって思ったら、ウーパールーパーのシステムに配達そろそろ終わるよーって報告するついでに、お届け先の詳細な地図を確認してターゲットを捕捉! 建物まで一直線! ってな具合っす。
問題なのはここからっす。一軒家ならノープロブレム! ミッションクリア! だがしかーし! 残念ながら集合住宅であることが多いんす。こうなると厳しいっす。住所からお宅をイメージするのが激ムズで、逃げてしまいたくなるんす。でもそれじゃお仕事にならないっすから、なんとか乗り越えてきたんす。といっても偉い人に極意を伝授してもらったんすけどね。
偉い人には本当に感謝してるっす。ボクが配達の仕事をできるようになったのは、全部あの人のおかげなんす。前はその……ちょっといろいろあって、バイクとか車の運転なら自信はあったんすけど、ちゃんとモノを運べるかっていうと……うまくいかなくて、しょっちゅうクビになってたんすよ。んでもうイヤだーって暴走してたら派手に事故っちゃって、意識を取り戻したら周りに人がいなくなっちゃってたんす……あ、この話は今は関係ないすね。
で! これ、極秘の企業秘密なんすから、ウッカリどこかで大公開とか、とにかくバラさないでくださいっす! 実は……住所の最後の数字、これ、三桁とか四桁であることが多いんすけど、ここに鍵があったんす! どういうことかというと……この数字の下二桁を分けて、二つの数字の組として捉える暗号になっているんす!
難しいっすよね! 例を挙げると……そう、例えば五〇七なら、五と〇七に分けるっす。〇七は七ってことっす。なんと、これが――」
「あー、もう充分だよ。おつかれさま」
「えっ!? ココからがイイとこなんすけど――」
「長くなりそうだから」
「いったい何の話を――」