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八話 

……亜美が家に帰ってきてからの様子がおかしい。


「亜美〜晩ごはんは何がいい?」


「……なんでもいい」


なぜか態度がそっけない。何か考え込んでる様子だ。

いつもなら自分の意見を主張してくるのに……ハッ、まさかこれは…反抗期?


原因に思い当たった俺はすぐさまスマホで反抗期 妹 どうすれば、と検索した。


「くそったれめ……!温かく見守ろう、支えてあげよう、だって……!?具体例を出せよ具体例を!」


俺は某知恵袋にキレた。


俺は少し涙目になりつつ、今日の夕飯を作る。


「お兄ちゃん?ご飯冷めるよ?」


心配そうに亜美がこちらを見る。

この気遣いが今の俺の心に効く――

……ん?あれ、もしかして反抗期…じゃあない?


なんだよ知恵袋さんよぉ……


「驚かせやがってよぉ」


「お兄ちゃん?大丈夫、変なものでも食べた?」


「反抗期なんてものは何もなかった…なかったんだ」


「お兄ちゃん、本当に大丈夫!?」


本当によかった…

もし亜美にウザいとか言われたら、お兄ちゃんショック死しちゃう所だったよ……


「よし、ご馳走様…ごめん亜美、俺ちょっと疲れすぎたから今日食器洗ってくれ。おやすみなさい」


俺は自分の部屋に行き、そのまま泥のように眠った。


―――


「お兄ちゃん、近寄らないでくんない?」


え……亜美?嘘だよな……

だってさっきまで俺と普通に話してたじゃないか。


「兄さんはゴミムシなので二度と亜美なんて言わないでください。……そうですね、天使亜美様、とでも呼んでください」


う、嘘だ!亜美がこんなこと言うはずがない。


兄さん(ゴミムシ)、喋りかけないでくれませんか?空気が汚れます」


俺は前後不覚に陥った。

あまりにも亜美の唐突な変化に、体が順応しきれなくなっていったのだ。


俺の視界がぐにゃりと歪んでいき、立っていた地面がひび割れて、俺は落ちた。


―――


「はっ!……はぁっはあっ、よかった夢だ亜美に反抗期なんてやっぱり来てないんだ俺の勝ち!」


悪夢の原因は顔面に何故か枕が乗っていたからだと思う。

顔に何かが乗っていると、悪夢を見ると言うのを何かで見たことがある。


落ちていったのは、膝が浮いていたせいでそれが落ちたためだ。

あれ怖いよね、たまにあるやつ。


窓の外をふと見たらあと少しで夜が明ける所だった。


悪夢を見たせいでかいた汗を流すために、シャワーを浴びた。


ちなみに俺はシャンプーをつける時に目を瞑らない派だ。

よく目に入って痛いが、なんか目を閉じたら負ける気がして嫌だからだ。


俺は浴室から出て着替えを――


「な、なんだと……着替えが、ない!?」


ふと振り返ってみれば着替えを用意した覚えがない。


あ、落ち着け新田悠二……ここから俺の部屋まで大体距離20メートル。そして亜美は今日の弁当係であるため起きているであろう。 


妹は妹とはいえ、義妹なのだ。俺のフ◯チン姿を見られて親にチクられたら精神的に、社会的に死ぬ。


まずいことに、ここから俺の部屋までに絶対に亜美の部屋とキッチンを通らなけらばいけない。


このままフ◯チンで行って亜美にバレない確率は……だいたい20%!いける!


よし、世界に見せてやろう。これが俺の生き様だ!


俺は脱衣所のドアを開け、外の世界へ飛び出す。


「え、お兄ちゃん。起きてた……の?」


状況を整理しよう。

俺は決意して脱衣所のドアを開けた。フ◯チンでだ。


すると目の前にいたのは義妹だったわけだが…俺はフ◯チンだった。

俺がフ◯チンであることに気づいた義妹は顔を赤くしていった。


ここまでが今の状況だ。

つまり、この後に起こること……それは分かるだろう?


「やぁ亜美、いい朝だな(満面の笑み)」


俺はそう言って静かに、確実に脱衣所のドアを閉めようとして、


「―――――――ッ!」


亜美は声にならない悲鳴をあげて、近くに置いてあった物を投げつけてきた。


「オゴッ」


その中の一つが顎にクリーンヒットして、脳震盪で意識を失った。


意識が戻った後、しっかりと着替えて亜美に謝った。

亜美はあの光景を思い出したのか、終始顔が赤くなっていたが、許してくれた。親にも報告しないでくれた。


ちなみに、タオルを常備しているわけだからそれを腰に巻けばいいじゃん、亜美に言われた。


俺はそれがなければ無闇に義妹の目の前でフ◯チン姿を晒すこともなかったと後悔した。

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