五話 カッフェェィィィヤァァァァァ!
短めです。
サブタイトルは思いつきませんでした。
今日の授業も全部終わり、最後にホームルームの時間となった。
「〜〜なので、〜〜には気をつけましょう」
俺は担任の話も話半分に、ただ前を向いてボーッと時間が過ぎるのを待っていた。
「はい、これでホームルームを終わります」
周りの生徒たちが席から立って帰り始めたのを見て、俺はようやく覚悟を決めた。
その前に一応亜美に連絡をしておくか……もし逃げてたら洒落にならんし。
「亜美、逃げてないよな、そろそろこっちに来てくれ」
『お兄ちゃん?大村先輩と佐野先輩がもうこっちに来てるんだけど…どうすればいい?こっちガン見してきて正直怖いんだけど」」
「……マジかよ。分かった、俺がそっちにいく」
俺は教科書などを自分の鞄に詰めて亜美の教室に行く準備をした。
いや、なんであの人たち向こう行ってんの?
気づいたら二人ともいないし…
俺はこれからのことについて一抹の不安を覚えながら亜美がいる教室まで歩いていく。
亜美が居る一年の教室に行くと、まだホームルームが終わっていないようで、大村さんと佐野さんが亜美の方をジッと見ながら二人で何か呟いている。
亜美から目線を外さずにブツブツと呟いている姿は、知らない人から見たらある程度は絵になるのかもしれないが、事情を知っている俺からすれば、それは恐怖を覚えるものであった。
「おーい、大村さん、佐野さん、どうしたんだ?」
俺は平静を装って二人に声をかける。
二人は少し驚いた様子でこっちを見た。
「に、新田くん、どうしてここに?」
「いや、二人とも教室から出て行ってたじゃん。それで亜美から連絡が来たんだよ」
なんでそんなに驚いた表情をしているのだろうか。
「まぁ、俺らがこっちに来た方が手間が掛からなかったといえばそうなんだけどさ……せめて一言くらい言ってくれよ」
ではなぜ亜美に自分の教室に来るように言ったのか。
それは亜美の男子人気がべらぼうに高いせいで、もしかしたら男子諸君から、反感を買うかもしれなかったからだ。
「兄さん、先輩方、お待たせしました」
二人と話していると、いつもとは違う話し方で喋る亜美の声がこちらに聞こえてきた。
どうやらホームルームが終わったようだ。
この話し方は、いわば外行きような喋り方である。
亜美はある事情から少し喋り方を変えている。
以前は俺と一緒に登校できたことが嬉しかったのか、二人の前でも少し口調が崩れたようだったが今は大丈夫のようだ。
あの時は幸い、周りには人がほとんどいなかったため、「新田さんの話し方が違う」とかの話は出てこなかった。
「……亜美さん…でいいのよね?喋り方、前とは違わないかしら」
……まぁ二人には自分から話しかけていたので、話し方について案の定、疑問を持たれたようだ。
「違いませんよ?私は元からこういう喋り方ですね」
「いやでも」
「違いませんよ?」
「い、いや」
「違いませんよ?」
「は、はいぃ……」
流石亜美!
喋り方についての追求をゴリ押しもゴリ押し、力技で突破しやがった!そこに痺れる憧れるぅ!
「それはそうと、近くのカフェに行くって言ってたけど…どこに行くの?」
佐野さんが亜美に、無理矢理言いくるめられている(?)間に、大村さんが行き先について聞いてくる。
「それは着いてからのお楽しみってね。……ただひとつ、言えることは……大声を出してもそこまで迷惑にならないところかな?」
経営者としてはダメな意味だけどな……
ただあそこしか大声をだしてもそこまで迷惑にはならない場所を知らないからだ。
「よし、じゃあ、行こうか」
俺たちは、そのカフェへと歩き出した。
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