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三話 新田家の一日

「あ、お兄ちゃん、おかえりー。大変そうだったね」


「誰のせいだと思ってんだよ!」


家に帰ってくると、亜美がソファにだらんともたれかかってくつろいでいた。


元凶の発端なのに私は知りません、みたいな感じでだらけている亜美に怒りを覚えた。


俺はあの後、大村さんと佐野さんの追跡から逃げ切ることができた。

……だが悲しいかな、授業をサボることは俺のポリシーに反するため、二人がいる教室に戻らないといけなかった。


その後もなんやかんやで授業を乗り切った俺は二人が何かいう前に教室を飛び出して家に帰ってきた。


「大村さんと佐野さんの目が超怖かったんだからな!親の仇でも見るかのような目つきしてたし」


「まぁまぁ、そんなに興奮しないでよ。血圧あがっちゃうよ?」


そう言ってあっけらかんと笑う亜美。


その態度に苛つきを覚えた俺は――

「おいおい()使()()()駄目じゃないか、いけないことをした時はごめんなさいって謝るんだぜ?」


「ッ!な、なんでその名称知ってるの!?」


こうかはばつぐんだ!


「まぁまぁ、そんなに興奮すんなって。血圧上がるぞ?」


「〜〜〜ッ!ごめんなさい!これでいいでしょ!?」


顔を真っ赤にして、膝を抱えて体育座りの姿勢になった天使(笑)どうやら拗ねたようだ。


大・勝・利!


「……まぁ茶番は終わりにして…二人にはどうやって弁明すればいいだろうか」


「…うーん、とりあえず学校だと騒ぎになるからカフェとかで話した方がいいんじゃないかな」


「そうだな、じゃあ明日の学校帰りに近くのカフェに行くから、放課後俺のクラスに来てくれ」


「えーーーー!私もいくの?」


やだやだ、と抗議する亜美を尻目に、俺は某無料連絡サービスのラ◯ンで二人の連絡先にメールを送った。


……にしても亜美(こいつ)全然天使って感じじゃないだろ。誰だよ呼び始めたやつ。


一分くらい経って、連絡がきて、二人とも了解の意味があるスタンプを送ってきた。今すぐには聞かないでいてくれるようだ。


「そういえば亜美、なんでこの二人はこんなに突っかかってくるというか……この問題を気にしてるんだ?」


「……え?本当に分からないの?…そりゃぁそっか。なんせ私の……」


「ん、なんて?」


「……うるさい。ばか」


「なんでいきなり俺は罵倒されてるのかなぁ!?罵倒されるようなこと、何もしてないと思うんだけど」


「なんで気になっているのかは二人に聞いてみなよ。多分はぐらかされるのがオチだと思うけど」


ぶっきらぼうに言い放つ亜美。

話はこれで終わりだとでも言うかのように自分の部屋に戻っていった。


「あ、今日の夕飯は親子丼がいい!」


……そう付け足して。


幸い、家には卵もあるし、鶏肉もあるから作れるからいいのだが…なんというかなぁ。


――――


亜美のリクエスト通り、親子丼を作った俺は、亜美を呼んだ。


……しかし呼んでも来ない。というか返事すらしない。おそらくだが寝ているのだろう。


「亜美〜、起きてるか〜?入るぞ」


しっかりとノックをして俺は亜美の部屋に入り込んだ。


亜美は案の定寝ていた。昨日今日といつもよりも濃密な日だったことで疲れが溜まっていたのだろう。


俺は亜美の肩を揺らして起こしてみた。


亜美は眠た気な表情をして目を擦りながらのそり、と上体を起こした。


「んんぅ…おにぃ…ちゃん?」


起きかけで意識が朦朧としているのだろう。その証拠に目がとろんとしている。


「おきろー、夕飯作ったから一緒に食べるぞ」


「ん、わかったぁ」


そう言って亜美はベットから降りた。

しかし、その拍子に体勢を崩して、俺に倒れ込んできた。


「おっと、だ、大丈夫か?亜美、気をつけろよ?」


「あ、ありがとう、お兄ちゃん…?え、なんでお兄ちゃんが私の部屋に……」


今ようやく意識が覚醒したのかハッとした表情で俺から離れる。


「ーーーッ!あ、お兄ちゃん、先に行ってて、あと少ししたら降りてくるから!」


「?そ、そうか?なら、分かったが…」


少し訝しげに思った俺だが、考えても結論は出なさそうなので大人しく食卓につくことにした。



――――

《新田 亜美視点》


「はぁ…」


私はさっきまでの状況を思い出してため息をついた。


「恥ずかしい…穴があったら入りたい…」


気づいたらお兄ちゃんに抱きつくように寄りかかっていたからだ。

事故的なこととはいえ、恥ずかしいものは恥ずかしい。


いきなりのことで慌ててお兄ちゃんを先に行かせたけど、それは正解だった。


なぜなら私の顔は、自分でもわかるくらいに真っ赤に染まっていたからだ。

 

「こんな顔…お兄ちゃんには見せられないよ…」


私は顔に手を当てながら顔の火照りが元に戻るのを待った。


ただの兄弟なら問題はなかった。こんなに恥ずかしくて顔が真っ赤になることもなかった。


仕方がない、仕方がないことなのだ…


だって私は――


お読みいただきありがとうございます!

しばらくは一日一回は更新していきたいと思っています。



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