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二話 クラスの女子たちの様子が変だ

「お兄ちゃん、一緒に学校行こー!」


……憂鬱だ。

いつも通り、学校に行こうとしたのだが…ワックスをつけないままでいたら、亜美にせっかくだし付けていこうよ、と言われて亜美に手伝ってもらったため、俺と亜美の登校時間が同じくらいになってしまった。


ちなみに、普段は俺と亜美の登校時間が違うのは亜美と一緒に登校すると、周囲の生徒から妬みなどの嫉妬の感情をむき出しにして見られることが簡単に想像つくからだ。


「しかし、いつぶりだろうな。亜美と一緒に学校に行くのは」


「だってお兄ちゃんが避けるから…私は一緒に登校したかったのに」 


すこし俯きながら答える亜美。

最後の方は声が小さくて聞き取れなかったが、多分心配してくれているのだろう。


そんなことを話していたうちに俺たちは学校に到着した。


「じゃあ、困ったことがあれば俺を呼べよー」


「うん、またね!お兄ちゃん」


亜美と別れた俺は自分のクラスの教室がある場所まで行き、教室に入っていく。


俺は前の席の友達におはよう、と挨拶をした。


「お、おう。お前、新田…だよな?」


「?それ以外の誰に見えるんだ?」


悲報、俺の顔、友人に忘れられた件について。


「いや、何があったんだよ。お前前まではファッション?なにそれ(笑)みたいな感じだったのによ。髪型セットした時と前までのお前だと印象が全然違うからびっくりしたぜ」


まるで月とスッポンだ、と友達は付け足した。

なにか違う気はするけども。まぁ悪い意味で言われてるならともかくいい意味で言われてることはわかるから気持ちがいいけど。


そんなことを話していると、後ろから声がかかった。


「新田君っ!?どうしたのその髪型、ま、まさか彼女ができたの!?」


声をかけてきたテンションの落差がすごい大きい子は、同じクラスメイトの大村さん。

天真爛漫を絵に描いたような人でクラスのムードメーカー的存在だ。


「ははは、俺に彼女ができるわけないだろ?冗談はよしこちゃんってね!」


自分で言ってて悲しくなってきた。

一応言っておくが俺は人並みには彼女が欲しい、そう思っている。俺の灰色の人生に彩りを与えてくれると思うからだ。


告白だってしたことがある。結果は見事玉砕したけども。


「は、ほんとに?嘘じゃない?」


「嘘じゃない嘘じゃない。もし彼女がいたら裸で土下座できるくらいには嘘じゃない」


「いや、どんな形であれ、裸で土下座されるとされた側の方が困ると思うんだけど……彼女、いないんだぁ…よかった」


後ろの方は声が小さくて聞き取れなかったが疑いは晴れたようだ。めでたしめでたし。


「う、嘘よ!だってここに、証拠があるんだから!」


俺たちの会話を聞いていたのか、同じくクラスメイトの佐野さんがこちらはやってきた。


佐野さんは大村さんと同じく、クラスの中心人物で髪をポニーテールでまとめた美少女だ。


陸上部で、大会で優勝するなどかなりの実力を持っている。

そして気が強い。言いたいことはハッキリ言うタイプだ。


佐野さんは、ドン!と机にその証拠となるスマホを置いた。どう言うことだと思いながら恐る恐るその中身を覗いてみると――


「新田!どう言うことよ!私と言うものがありながら…か、彼女を作るなんて!?」


いや、亜美じゃん。妹じゃん。

え?この人達は亜美のことを彼女だと思ってるってこと?


「ちょ、ちょっと待って!ここに映ってる子は妹の亜美だよ!彼女じゃない!」


「え、でも!だってこの距離感、妹でもこんな距離感は近すぎだと思うよ!」


と大村さんが言った。と言うか何でこんなに二人は必死なのだろうか。涙目だし。


「二人ともドードー、落ち着け。いいか?この子は、妹の亜美だ。ひとつ下の学年にいるだろ?たぶん有名だし」


二人は少しの間考えるような動作をして―


「「あ」」


おい、絶対に今気づいたよな。


そして二人して恐る恐る口を開く


「「まさか…近親相姦!?」」


「何でやねん!何でそうなったんだよ!」


なんだろう、この二人。前までは、うわぁすっげえ、とか、コミュ力たっけぇ、とかある意味で羨望の眼差しを送ってたのに。


すごく残念な頭の弱い子を見ている気分になる。


「いや、本当にただの妹なんだって!何でそんなに頑なに信じようとしないんだよ!」


「だ、だって。新田君髪をキチンと整えたらイケメンだし…彼女の一人や二人はいるかもしれないじゃん!」


それに、と佐野さんがつづける


「新田君の妹さん…めっっっちゃくちゃ可愛いし、妹とはいえあんな距離感で健全な関係って言われても信じられないよ」


「えぇ…どうしろってんだよ…とにかく、俺は生まれてからずっとフリーなの!わかって」


二人を納得させるようなものは何も思いつかないので俺は会話を強引に終わらせた。


二人は不承不承ながら自分の席に戻って行った。

……何だったんだ、あれは。


そして朝のホームルーム、午前の授業が終わり、昼休憩の時間になった。


「お兄ちゃん、一緒にご飯食べよー!」


悪魔は突然にやってきた。

タイミングが悪すぎる。なぜなら現在進行形で俺は大村さんと佐野さんの両人に亜美との関係を疑われているからだ。


ほら、二人ともこっちを射殺さんとばかりに凝視してる。


大村さんと佐野さんは席を立ってこちらへと歩いていく。


「新田、君?やっぱり…付き合ってるんじゃないの?」


やばい、二人ともダークサイドに堕ちそうな雰囲気を醸し出している。

また涙目になってきているし。


「まさか、お兄ちゃんのお友達ですか?お兄ちゃんにも女友達が…よろしくお願いしますね、先輩!」


この状況をわかっているのかいないのか、亜美は二人に握手しに行った。


それで少し落ち着いたのか、二人は口を開く。

「ええと、亜美さん…でいいのよね、新田君とは…どんな関係なの?」


「え?お兄ちゃんとの関係ですか?普通に仲のいい兄妹って感じだと思いますけど」


「「そ、そうなの?よかった〜」」


二人とも最大限の安堵の息を漏らした。

亜美が来た時はどうなるかわからなかったが全て丸く収まったから良しとしよう。


「…まぁ義兄妹ってのがつきますけどね」


結論、やっぱりこいつは悪魔的存在だ。


亜美がその言葉を発した途端に俺は本能的に教室から飛び出した。


「まて!新田君!」


後ろでそんな言葉を聞きながら、俺は二人を撒くために校内を走り回った。


この疑いが晴れるのはいつになるのやら、そんなことを考えては憂鬱になりそうだった。

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