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九話 

フ○チン騒動から数時間後、()()いつもの様に学校に向かった。


前とひとつ違うのは、亜美が一人で学校に行きたいと言った事だ。


元に戻った、そういえば聞こえはいいがやはり少しだけ寂しい気持ちもある。


「おーい、悠二〜。何一人で黄昏てんだ?」


「うるせえ、こっちは大事な事を考えてんだよ」


「俺は何で心配してやったのに邪魔者っぽく扱われてるのかな?」


青筋を立てつつなおも俺に絡んでこようとする大地。

お前にこの悲しみがわかるか?


俺はため息を吐きつつ、大地に今の俺の心境を話した。

こんなやつでも、何かの役には立つかも知れない。


「いや、それお前の妹ちゃんにも同じことしてたんだぞ?それもお前よりも長い時間」


人間、自分のことは棚に上げる生き物なのだ。


「こっちは正論は求めてないんだよ!あぁ、辛かったね〜、とかそういうのを求めてたんだよ!」


「辛かったね〜」


「うわキモっ。どうした急に」


「はっ倒すぞてめえ。……とにかく、原因は俺らがいくら考えたってどうしようもないんだから、妹ちゃんに聞いたほうがいいいだろ。てかお前がわからないんじゃあ俺にはどうしようもないだろ」


使えねえな。

もっと実のある事を言ってくれると思ってたのに。


「使えねえって、お前何様のつもりだよ、ああ!?」


心で思ってたことをそのまま言ってしまったようだ。


「きゃあ、ひどいわ大地くん。私はただ相談していただけなのに〜(裏声)」


「ふふ、いつ見ても新田くんたちの会話は面白いね」


俺が大地を煽っていると、後ろから声がかかった。大村さんだ。


「大村さん、俺らの会話に面白い要素があったら教えてくれよ」


心外だったのか、眉を顰めながら大地が大村さんに歩み寄っていく。


「ちょっと怖いよ、海老名くん。落ち着いて〜、落ち着かないと真耶ちゃんに有る事無い事チクっちゃうぞ」


その言葉を聞いた途端に、大地の顔はみるみると青ざめていく。


「すみません、それだけは……それだけは勘弁して頂けないでしょうか」


どれだけ彼氏に容赦ないんだろうか、普段は鋼鉄のメンタルの大地がびびる程に恐怖となっているのがわかる。

そしてそんな事を笑顔で言い切る大村さんもこわ…すごいと思った。


「そういえば大村さん、どうかした?何か用があるの?」


「いや?私はただ……このままだじゃいけないかなって思っただけ」


少し考えてから言った大村さんに対して、少し不思議に思った。


「このままじゃいけないって何がいけないんだ?」


「うーん、なんだろうね。。……勉強とかかな?」


自分で言った事なのに疑問系を使った大村さんを見て、可笑しくなって笑ってしまった。


「む〜、何がおかしいのさー」


大村さんはそう言ってそっぽを向いてしまった。

今度大村さんが大好きな物をプレゼントしよう。甘いものとか。

女性と言わず誰もが甘いものが好きなのだ、異論は認めない。


「そういえば、佐野さんはどうしたの?俺が見かける時は大抵一緒にいるのに……」


「朱音は何かやることがあるって言ってたよ。あと少しでホームルーム始まるのに……」


どうやら詳しくは知らないらしい。俺も大村さんも、廊下を見渡す。


「佐野さんがこの時間帯に教室に居ないのは珍しいよな。そこまでしてやることがあるってことは……」


「どうしたんだ、大地。お前にしては珍しく閃いたのか?」


「あーあー、そんなこと言うから話したくなくなっちゃうな〜。どうしようかな〜これは何か貰わないと言う気にはなれないな〜。あっそんなに強く握らないでアダダダダダダダダダダダダ」


チラチラこっちを見ながら見てくる大地に、俺はアイアンクローを食らわせた。


「閃いたことだけ言ってくれ、何もあげないから」


「お前は鬼か!はぁ、俺が思ったことはだな…ただ単にお前の妹ちゃんのところに行ったんじゃないのか?最近はずっと気にしていただろ?視線とか結構そっちに行ってたし。何をしに行ったのかは考えつかないが十中八九そうだと思うぞ」


大地が変態の様なことを言い出した。彼女持ちなのにこの発言はダメだろ。


「お前……そんなに佐野さんのことを見てたのかよ。正直言って軽蔑するぞ」


「そうだそうだ!海老名くん、これがサッカーならレッドカードで一発退場だからね。……と言うことで、今すぐ真耶ちゃんに連絡します」


またも笑顔で言う大村さんは懐から携帯を取り出す動作をした。


「本当にやめて、もし本当に言われたら人生自体が一発退場しちゃう」


今思ったがなんで大地にここまで当たりが強いのだろうか。俺はともかく。


ある程度は大地に友人として好意的だからか、余計に気になる。


「なぁ、なんで俺にそんな容赦ないんだよ。俺何か悪いことした?」


俺の気持ちを大地が代弁してくれた。


「いやー、真耶ちゃんに海老名くんが何かしたら容赦しない様に言われたんだよね〜」


「俺何か悪いことした!?」


原因は三嶋のようだ。あいつ本当に大地の彼女なのかな。


ギャアギャア騒いでいる大地の後ろから、ようやく佐野さんが戻ってきた。


「あっ、朱音!何しに行ってたの?もうホームルームギリギリだけど」


「ふふっ、少し亜美さんと会って話をしただけよ」


大地がほら、当たってたじゃないかと言わんばかりにドヤ顔でこちらを見てくる。

その顔がムカついたのでもう一度アイアンクローを決めてやった。


「亜美と何を話したんだ?」


その内容に亜美がとった行動につながると思う。


「それは女の子の秘密よ、私は秘密主義だから」


佐野さんがそう言ってからちょうどチャイムが鳴ってホームルームが始まった。


「はーい、みなさん席についてください。海老名くん、倒れてないで席に座ってください」


担任の先生が一人、悶絶している大地に注意をした。


「う、うぴぃ……」

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