「はい、あと俺は男です」
女神様の声が聞こえなくなった時、俺は一つ気づいたことがある
側から見たら俺、独り言をぶつぶつ言ってる変人じゃね?と
ここ、スキルを調べる場所は係りの人が来たときに水晶に出たスキルを見せればいいのでここは個室だった事は唯一の救いだった
まあ、それでも普通に声は聞こえてしまうからなんか騒いでるな、とは周りの人から思われてしまっただろうが
まずいのは魔法の適性審査とか、実技の試験の時などは完全に独り言ばっか言ってる変人だ
「マズいな、早速俺の新しい学園生活が詰んだ気がしてならない」
勇者なんて導いている場合じゃない
俺の学園生活の方が死活問題だ
俺がこの後の学園生活について文字どうり頭を抱えていると
「スキルの結果を見に来ました、入ってもよろしいでしょうか?」
係りの人が来たみたいだ
「ああ、入ってくーー入ってください」
危ねえ、癖でタメ口で話しそうになった
「失礼します、それでは早速見せてもらってもよろしいですか?」
俺はスキルが表示されている水晶を差し出した
が、スキルが文字化けしていることを思い出し慌てて隠そうとしたが遅かった
「これは....................!、どういうことか聞いてもよろしいでしょうか?」
「俺もよくわかんないんですよ、なんか言われたとうりに手をかざしたらこう出てきたので」
「ちょっと上の人に対応を聞いてきますので少々お待ちください」
そう言うと係りの人は部屋を飛び出していった
やべえな、偉い人が来たらどう説明すればいいんだ?
俺が言い訳を考えているとさっきの係りの人がおじいさんを連れてきた
おじいさんはなんかこう、明らかに何か『すごい人』オーラが全開だった
.................俺語彙力ないな
「君が文字化けしたスキル持ったお嬢ちゃんかね?」
「はい、あと俺は男です」
やはり異世界でもこの見た目では初見さんはだいたい“お嬢ちゃん“と呼ぶみたいだな
異世界なら俺の見て一発で男とわかる奴がいるんじゃないかという淡い期待があったが綺麗に砕かれた
若干ションボリしながら答えるとおじいさんはたいそう驚いた様子で
「!、そうか、すまなかった。それで君のこのスキルについてだがこのスキルについて詳細を語ることはできるかね?」
これ、説明してもいいのだろうか?
いや別にするなとは言われていないから言おうと思えば言えるんだけどさ
第一信じてくれるか?
まあ、言うだけ言ってみるか
「俺の能力はセーブアンドロードと言ってーーーー」
カクカクシカジカ
「.........................なるほど、それなら水晶に文字化けして映るのもうなずける」
「信じてくれるんですか?」
意外だ
「嘘を言っている様子がないのでね。ただし、それが本当なら私と一つ約束して欲しい、今この場にいる私と係員以外、この話は誰にもしないと」
「なんでですか?」
「いいかい、少し考えてみてくれ。君は時を遡れるスキルを持っているのだろう?そんなの事をいろんな人が知ってしまうと悪用してやろうとする輩はたくさん存在する。君の力は知っている人が少なければ少ないほど扱いやすい、知っている人が多いとキミ対策に色々なことをする輩が必ず存在する。君が動きやすくするためだ」
なるほど、勇者を導く上で能力封じなどを避けるためにか
確かにネタが割れればいつかは突破口が見つかってしまうかもしれない
「頼んだよ、勇者の小さな『導き手』」
「まあ、出来る限り頑張りますよ」
そういっておじいさんは去っていった
「そういえば係員さん、結局あのおじいさんは何者だったんですか?」
「あの人はこの学校の理事長ですよ、そして私のお父さんでもあります」
「...........へ?」
親子だったん?
「驚きましたか?いつもは基本的にバレないように私のことはただの係員として接してもらってます」
いやぁ、驚き
「まあ、これであなたと理事長と私の秘密ができましたね?誰にも言っちゃいけませんよ?もちろん私と理事長が親子だってことも」
「わかってますよ、もちろん。あと..........さっきから自分のこと私って言ってますし...........もしかして、係員さん、女の子ですか?」
「そうですよ!今まで気づかなかったんですか?!」
「す、すいません.............顔が中性的でその、胸も..........」
俺がチラッとまるで男かのように全くない胸見ると係員さんはプルプルと震えて
「気にしてること言わないでください!!」
こうして俺のスキル査定は終わった
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