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第六章 VS老魔法使い

「僕達のために、死ね!」


 と、フレイは短剣を構え、魔法使いへと走っていく。

 まずは様子見だ。


(この攻防で、レベル以外の部分を見極める!)


 それはつまり、この魔法使いの戦闘経験だ。

 同じ15レベルでも、実戦をどれだけ経験したかにより、大きな差が出てくる。

 さて、この魔法使いはどうだ。


「盗賊か!?」


 と、こちらに杖を構えてくる魔法使い。

 彼は迷った様子なく、杖へと魔法を込め始める。


(なるほど、萎縮しないで即座に対応か)


 なかなかに優秀な魔法使いに違いない。

 レベル上限が低くなければ、きっと大成していたはず。


「老いたとはいえ、盗賊ごときに退けは取らんぞ!」


 と、言ってくる魔法使い。

 同時、彼の杖から放たれるのは炎塊。


 魔法 《ファイア》だ。


 フレイの体感――かなりの速度で飛んでくるそれを、彼は全力で回避。

 続けて、フレイは態勢を整え、再び魔法使いへと接敵。

 そして――。


「カルラぁあああああああっ!」


 と、フレイが言ったその直後。

 魔法使いの側面から、長剣が勢いよく飛んでくる。

 潜んでいたカルラが投げたに違いない。


 だが、魔法使いは老いているとはいえ、レベル15。

 凄まじい反応速度で杖をふるい、長剣を叩き落してしまう。

 しかも。


「その程度のレベルで、儂に勝てると思ったか!?」


 と、言ってくる魔法使い。

 同時繰り出されるのは、フレイの側頭部を狙ったに違いない彼の蹴り。


 フレイは確信した。

 この魔法使いはやはり強い。

 15レベルに相応しい実戦経験も積んでいる。


 さもなければ、魔法使いがこの局面で体技を放ってなどこない。


 レベル6では、この魔法使いには確実に勝てない。

 このまま蹴りを受けて昏倒するのがいいところだ。

 もっとも。


(それはあくまで、相手が僕じゃなかった場合だけどね)


 と、フレイは即座に上体を逸らし、魔法使いの蹴りを躱す。

 すると。


「なっ!?」


 どうして躱されたのかわからない。

 そんな様子の魔法使い。


(あぁ、普通……あのタイミングじゃ躱せないさ)


 レベル6とレベル15の差。

 それはでかい。


 見てから反応したのでは、どんな攻撃にも反応できないに違いない。


 ではなぜ、フレイは魔法使いの攻撃を二度も躱せたのか。

 理由は簡単だ。


「レベル差はあっても、戦闘経験の差を舐めないでくださいよ!」


 言って、フレイは魔法使いへと足払いをしかける。

 すると、体勢を崩す魔法使い。


「や、やめ――」


 と、何か言いかける魔法使い。

 しかし、フレイは止まらず、彼の首へと短剣を突き立てる。


「勇者だった時に、僕は死ぬほど戦ってきた。格上の魔物との戦い――そんな死線も何度もくぐりぬけてきた……今更、あんたみたいのにはやられないよ」


 フレイは最初から全て読んでいたのだ。

 魔法使いが、どんな攻撃をしてくるか。

 こちらがどう動けば、どういう反撃をしてくるか。


 フレイは見てから反応したのではない。

 最初からイメージしていた通りに、脳死で動いていたにすぎない。


「でも、この五年で少し鈍ったかな……昔の僕なら、多分カルラの援護はいらなかった」


 なんにせよ。

 これで経験値も、家もうまいこと手にいれた。


「レベルは……今ので、8になったか」


 まだまだ先は長い。

 しかし、これは盗賊としての最初の一歩。

 フレイとカルラの記念すべき一歩だ。


「この調子で、人間を駆除しながらレベルをあげる……そしていつかは」


 フレイとカルラが生み出す《滅界》の剣。

 それに全ての魔力を込め、この世界を消滅させる。


「レベルが上がり切るまでに僕達が人間を狩り尽すのが早いか、レベルが上がり切って出力最大の《滅界》を使うのが先か……見ものだな」


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