第五章 少年と狐、盗賊始めました②
時はあれから数分後。
場所は件の山小屋。
現在、フレイとカルラは林に隠れ、そこを覗いている真っ最中。
「おじいさんだね」
「じじいじゃな」
と、言ってくるのはカルラだ。
彼女はフレイへと言葉を続けてくる。
「でもまいったのじゃ、あのじじい……レベル高そうなのじゃ」
「うん、15くらいはありそうだね」
「はぁ……鬱じゃ。15レベルを『レベル高そう』だと判断してしまう我、とっても鬱じゃ……昔の我ならあんなレベルはクソ雑魚と判断していたのじゃ」
「まぁ、それは仕方ないよ。今から二人で強くなろう」
「うぅ……フレイぃ!」
と、抱き着いて来るカルラ。
フレイはそんな彼女をナデナデ、彼女へと言葉を続ける。
「うわっ……あのお爺さん、魔法も使ってるよ――杖も持ってるし」
「見た感じあれじゃな。若い頃に魔法の特訓をしていたが、レベル上限に行きあたって夢を諦め隠遁ってところかの?」
「なんにせよ、9レベル差かぁ」
「どうするのじゃ? 我が《滅界》を剣とするかの?」
「いや、余裕。カルラはここぞって時に、援護をよろしく」
言って、フレイは短剣を抜き放ち、爺の前へといっきに躍り出る。
すると。
「な、なんじゃ貴様は!?」
と、そんな事を言ってくる爺。
フレイはそんな彼へと言うのだった。
「僕達のために、死ね!」