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第三章 勇者と魔王の決意

 フレイとカルラがこの場所に閉じ込められてから、およそ5年が経った。

 カルラの自称『正確無比な体内時計』とやらを、信じるのならだが。


『ずっこいのじゃ! フレイはずっこい! さっきから『え』ばっかりなのじゃ!』


 と、言ってくるのはカルラだ。

 フレイはそんな彼女へと言う。


「しりとりで、同じ語尾攻めするのは常套手段でしょ?」


『そんなの知らないのじゃ! これだから人間は嫌いじゃ! ずっこい! 卑怯じゃ!』


「だったらさ、この前のアレなに? カルラの元部下の名前を、どっちが多く言えるか勝負だっけ? あれこそ卑怯だよね?」


 そんなの、フレイが言えるわけがない。

 などと、考えている間にも。


 わーわー。

 きゃーきゃー。


 と、騒ぎまくっているカルラ。

 念話のため、シャットアウト出来ないのが面倒だ。

 若干、頭が痛くなってきた。


 …………。

 ………………。

 ……………………。


 そうして、時はさらに数カ月後。

 長い長いしりとりの終わり、フレイは何気なくカルラへと言う。


「カルラはさ、ここから出たら何かしてみたいことはある?」


『ん? そうじゃな……前と変わらない――いや、前以上に人間を全滅させたいかの。これは魔族の本能なのじゃ』


「そう……僕もさ、人間を全滅させたいって、思うよ」


『ほぉ! すっかり自分の気持ちに素直になったの! さすが我が最愛の友フレイなのじゃ!』


 この数年間。

 カルラと語り合っている間にわかった。

 別に洗脳されたわけではない。


 やはり、どう考えてもおかしい。

 フレイがこんな目に合うのは……仲間が殺されたのは。

 そして。


「僕がこんな状況なのに、平和に暮らしている人間共が――地上に蔓延る害虫共がどうしようもなくイライラする」


『くくっ、よいよい。我はそういう感情が好きなのじゃ!』


 と、機嫌よさそうなカルラ。

 フレイはそんな彼女へ、ずっと言いたかったことを言う。


「最初からカルラが正しかったんだ……僕がカルラの邪魔をしなければ、カルラは人間を滅ぼすことが出来た……ごめん、本当にごめんね」


『な、なんじゃ!? そんなの気にしなくていいのじゃ!』


「でもさ――」


『えぇい! 前言ったのじゃ! 昔のことは水に流すと! よいかフレイ! 我等は友じゃ! 互いの命は互いのもの……そんな親友になると誓ったのじゃ!』


「うん……そう、だったね」


『そうじゃ! だから、早く楽しく遊ぶのじゃ!』


 と、ここでフレイはとある事に気がつく。

 それは――。


 長い時間をかけて、カルラは確かに親友になったということだ。

 心を繋ぎ合った、大切な存在になったということ。


「ねぇ、カルラ。カルラは自分の固有スキルを覚えてる?」


『急になんじゃ? 我の固有スキルは《滅界》……触れた物を悉く、魔力量に応じて消滅させる能力じゃ!』


 と、言ってくるカルラ。

 フレイはそんな彼女へと言葉を続ける。


「じゃあさ、カルラは僕の固有スキルを知ってる?」


『当然じゃ! 固有スキル《聖装顕現》……特殊な異能を持った剣を、複数作り出せる能力じゃろ?』


「みんなそう思ってるけどさ、そうじゃないんだ」


『なんじゃと?』


 フレイの固有スキルの能力。

 それは簡単だ。


「僕の固有スキルは『心を繋いだ相手の固有スキルを一時的に物質化――剣の形にして取り出し、元となった固有スキルに応じた能力を使える』。そんなスキルなんだ」


『ほーう、それはなんとも面白い、スキ……ル』


 と、途端に黙り込むカルラ。

 きっと、彼女も気がついたに違いない。


「わかる? もしも、僕がカルラの《滅界》を剣にすることが出来たら……」


『おぬしは我と違って、魔力がある。つまり、おぬしが剣にした《滅界》の能力を使って、この牢から脱出できる……そういう、ことかの?』


 と、まさにといった事を言ってくるカルラ。

 フレイはそんな彼女へと言う。


「絆が繋がっていないと出来る芸当じゃない。実際、僕がこのスキルを適応できたのは、長い冒険を共にした仲間だけだった」


『おかしなことを言うのじゃ……我とおぬしの絆が、それに劣るとでも?』


「そう、だね」


 フレイにとって、カルラはもう欠かせない存在。

 それはかつて、彼が仲間に向けていたのと同じ感情だ。


「ねぇ、カルラ。もしもここから脱出できたらさ、カルラのことは僕が守るよ」


『き、急になんじゃ! 我は守られるほど、雑魚じゃないのじゃ!』


 と、言ってくるカルラ。

 フレイはそんな彼女へと言う。


「もう仲間が死ぬのは嫌なんだ。それに、カルラの魔力がなくなったのは、全部僕のせいだ……だから、僕がキミを守る」


『だったら……我は対価として、おぬしに力を貸すのじゃ。消滅の力を……そして、共に世界を滅ぼす手伝いをするのじゃ』


「うまくいくと思う?」


『勇者と魔王が協力するんじゃぞ? 仮にそれを抜きにしても、我等は最高の友じゃ……失敗するわけがないのじゃ!』


 もう何も言うまい。

 ここから先は、フレイがやれることを全力でするのみ。

 と、彼は目の前に手を翳す。


 掴むべきは、カルラと紡いだ絆の糸。

 それに全てを集中させ――。


「固有スキル《聖装顕現》」


 その直後。

 フレイの手には、どこまでも美しい闇色の大剣が握られていたのだった。


さて……いつも言ってることなのですが


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すでにしてくれた方、本当にありがとうございます。

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