第二十四話 ＶＳ巨大トレント
「くははははははっ！ 任せるのじゃ！ さぁ、勝つぞフレイよ！」
と、言ってくるカルラ。
そんな彼女は、今も軽快に木の槍を躱している。
これならば、ある程度心配しなくても大丈夫に違いない。
（というか、今は僕も集中しないとな！）
同時、フレイの方へも無数の木の槍が迫って来る。
フレイは再びそれを躱し、切り落として進んで行く。
この巨大トレント。
見てくれはトレントと、大きくかけ離れている。
そして、攻撃の量もそれと比べ物にならないほど多い。
（だけど、攻撃の一つ一つを見れば、パターンはやっぱりトレントに似てる）
要するに。
人間相手程ではないが、ある程度の先読みは可能だ。
フレイにはカルラ程の直感。
そして、反射神経はない。
（だけど、先読みが出来るなら、いくらでも対処可能だ！）
と、フレイは無数の槍の嵐の中へ。
そこへ更に踏み込んでいく。
斬り払い。
躱し……ついに。
「入った――」
「間合いじゃ！」
と、聞こえてくるカルラの声。
フレイはそんな彼女と数瞬、目を合わせたのち。
巨大トレントの太く巨大な両足。
そこへ、カルラと共に斬撃を加える。
だがしかし。
「まだまだじゃ！」
と、聞こえてくるカルラの声。
見れば、彼女は殺到する槍を躱し、更に斬撃を与えようとしている。
これはフレイも負けてはいられない。
（ちょっと、予定より強引だけど……仕方ない、よね！）
と、フレイの方へも殺到する槍。
彼はそれを連撃で斬り払っていき。
「魔法 《エンチャント・サンダー》！」
同時、フレイの剣が雷を纏っていく。
これこそが、先の魔法の効果。
（トレント相手だから、本当はファイアが良かったけど……ないよりはマシかな）
考えたのち。
フレイは巨大のトレントの足――先ほど彼が斬ったやや少し下の部分。
そこを狙い、魔法の斬撃を放つ。
結果。
フレイの攻撃は見事、狙った個所へと命中する。
けれど、彼の狙いはこれではない。
フレイの狙いとはすなわち――。
と、考えようとした直後。
聞こえてくる大きな音。
巨大トレントが、四つん這いの形で態勢を崩したのだった。
