第十九話 初めてのリベンジ
巻物に目を通し終えると同時。
フレイの脳内に、そして身体に何かが刻み込まれる感覚。
これは間違いない。
「よし。魔法 《エンチャント・サンダー》、しっかり覚えられたみたい」
「おぉう! さっそく使ってみるのじゃ!」
と、狐尻尾をぶんぶんカルラ。
彼女はそのまま、フレイへと言ってくる。
「我、人間が魔法覚えたところ初めてみたのじゃ! だから、早く実践するところが見たいのじゃ!」
「見せるのは別にいいんだけど、魔物と戦った時にね」
「え~~! なんでじゃ!?」
「何度も言うけど、僕達はまだ弱い。ひょっとしたら、ここで魔力を無駄に消費したことが理由で、窮地に陥るかもしれないからね」
「むぅ~」
っと、狐耳をペタンとさせてしまうカルラ。
フレイはそんな彼女をナデナデ、言葉を続ける。
「前も言ったけど、僕はカルラを守りたい。一緒に強くなって、一緒に世界を滅ぼすためだから……我慢してくれると嬉しいな」
「な、なんだか照れくさいのじゃ! うぅ……それに胸がざわざわするのじゃ」
と、なにやら頬を染めているカルラ。
なにはともあれ、収まってくれたなら何よりだ。
フレイはそんな事を考えた後、部屋の入り口の方へと振り返る。
と、その時。
「カルラ。さっき『魔法 《エンチャント・サンダー》が見たい』って言ってたよね? 思ったより早く、カルラに見せてあげられそうだよ」
フレイの視線の先。
天井の隙間から、数匹のスライムジェルが漏れ出してくるのだった。
まるで、部屋の入り口をふさぐかの様に。