第十八話 続・初めてのダンジョン探索③
「了解じゃ!」
と、フレイに続いて部屋へと入ってくるカルラ。
フレイは彼女の安全を確保しつつ、宝箱へと近づく。
そして――
フレイは決して油断せず、宝箱を蹴り開ける。
部屋の魔法陣。
トラップ……などなど、あらゆるものの起動は感知できない。
となれば、あと確認するべきは一つだけ。
「フレイ! 宝箱の中はなんじゃ!? 早く見たいのじゃ!」
と、言ってくるカルラ。
フレイはそんな彼女に頷いた後、宝箱の中身を取り出す。
「なんじゃそれ? ただの紙じゃ!」
と、そんなカルラの言う通り。
宝箱の中身は古ぼけた巻物――しかし、これはただの巻物ではない。
フレイはそんなことを考えたのち、カルラへと言う。
「これはスキルを覚えられるんだよ――もちろん、適正がある人以外が読んでも、何も覚えられないけどね」
「くくくっ! そんなものがあるとはの……我、最初からほぼ全てのスキルを覚えていたから、そんなものの存在知らなかったのじゃ――まぁ、今は全スキル喪失しとるがの」
「まぁ、お互い固有スキル以外剥奪されてるから、それは仕方ないでしょ」
「ふむ、過ぎたことはもういいのじゃ! それで、その紙に書かれたスキルはなんなのじゃ!?」
と、狐耳をぶんぶんカルラ。
きっと、相当楽しみに違いない。
故に、フレイは巻物を確認した後、カルラへと言う。
「これは魔法 《エンチャント・サンダー》だね」
「なーんじゃ、魔法とかクソなのじゃ! 我に使えないスキルとか、マジもののクソ外れスキルなーのじゃ」
「カルラさ……仮にも魔法メインで魔王として君臨してたのに、すごい手のひら返しだね」
「うっさいのじゃ! とにかく我、そのスキルいらん! フレイにやるから、さっさと覚えればいいのじゃ!」
「はいはい、じゃあお言葉に甘えて」
と、フレイは巻物へと目を通していくのだった。