第十七話 続・初めてのダンジョン探索②
フレイは短剣を抜き放ち、全力で壁へと攻撃を加える。
同時、砂埃をあげながら崩れ落ちる壁。
そして、その向こうに現れたのは――。
「隠し部屋じゃ!」
と、言ってくるカルラ。
彼女はフレイの袖をくいくい、彼へと言葉を続けてくる。
「フレイよフレイ! あそこを見るのじゃ! 宝箱じゃ! 宝箱があるのじゃ! 早く中に入るのじゃ!」
「ちょっと待って、カルラ。確認できる限りは、この場所から確認したいから」
と、フレイは壁の破片を拾う。
そして――。
破片を全力で宝箱へと投げつける。
…………。
………………。
……………………。
(宝箱に破片が直撃したけど、宝箱とその周囲に反応はなしか)
少なくとも。
これで宝箱が擬態した魔物――ミミックの可能性。
宝箱に触れた途端、トラップが発動する可能性。
それら二つは排除していいに違いない。
もっとも。
(僕が一番懸念しているトラップ部屋の可能性は、まだ捨てきれない)
部屋に入ったら、魔法陣が起動。
大量の魔物が召喚される……なんて可能性もありえる。
(まぁさっきも考えたけど、そうなったら《滅界》を使えばいい)
などなど。
フレイが考えたその時。
「ムぅ~! フレイよ、我は早く宝箱を手に入れたいのじゃ!」
と、いい加減焦れたに違いないカルラ。
フレイはそんな彼女へと言う。
「僕が先行するから、続けて入ってきて――転移トラップとかしかけられてたら嫌だから、あんまり僕から離れないでね」
「了解じゃ!」
と、そんなカルラの声。
フレイはそれを聞いた後、ゆっくりと部屋の中へと入っていくのだった。