第十六話 続・初めてのダンジョン探索
「うーむ、なんだかパッとしないのじゃ!」
と、言ってくるのはカルラだ。
彼女はぷんすかした様子で、フレイへと言ってくる。
「さっきから雑魚魔物相手に二人がかりで倒したり、スライム相手に逃げたり……罠のチェックをしながら進んだり……思ってたのと違うのじゃ!」
「仕方ないよ、カルラ。僕達はかなり弱いんだから――それにカルラだって、ずっと昔はこうやってダンジョン探索したでしょ?」
「我、してないもん」
「え」
「我、魔王だからダンジョン探索してない」
ぴこぴこ。
狐耳を動かすカルラさん。
なるほど、言われてみればそうだ。
魔王がダンジョン探索など、するわけがない。
というかむしろ。
(下手したら、魔王城の外に出ることもあんまりなかったんじゃ)
とくればカルラ。
きっと、ダンジョン探査に相当の夢と希望を持っていたに違いない。
そう考えると。
(このまま地味に探索続けるのは、少し可哀想だよね)
フレイにとって、カルラは命の恩人だ。
そして、今ではたった一人の大切な仲間。
とはいえ、ダンジョン探索は命がけ。
地味でも安全性を優先する必要がある。
と、フレイがそんな事を考えたその時。
「カルラ、止まって」
「な、なんじゃ!? ま、まさかまたスライムかの!?」
と、狐尻尾をぷるぷるさせているカルラ。
フレイはそんな彼女へと言う。
「魔物じゃない――ほら、あそこの壁、わかる?」
「む……ふむ、なんじゃあれ? 壁に生えた草がピロピロしてるのじゃ!」
「多分、向こう側に隠し通路か、隠し部屋の類があるんだよ」
「お、おぉう! 隠し通路! 隠し部屋! お宝じゃな!? お宝があるんじゃな!?」
と、狐尻尾をぶんぶん振るうカルラ。
心なしか、瞳もキラキラ輝いているように見える。
(正直、たまに魔物だらけのトラップ部屋という可能性もあるけど……)
いざとなれば《滅界》がある。
それに、ようやく楽しみだした様子のカルラ。
彼女を再び沈ませるのは、さすがに躊躇われる。
フレイはそんな事を考えたのち。
その壁へ向け、一撃を加えるのだった。
さて……いつも言ってることなのですが
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