第九章 狐とスライム②
「くくくっ……いずれ世に轟く最強剣士――魔天狐流カルラ、その最初の贄としてやるのじゃ!」
と、スライムに剣を構えているカルラ。
それを見て、フレイはふと思う。
(カルラの流派の名前、ださい……どうせ、今考えたんだろうけど)
などなど。
考えている間にも。
「行くのじゃ! これぞ、狐一刀流――お狐跋扈!」
スライムに斬りかかるカルラ。
さっきと流派の名前が違う……というのは、おいておくとして。
スカッ。
と、スライムに攻撃を躱されるカルラ。
それだけではない。
「ぐはっ!?」
と、スライムにカウンターをくらい、吹っ飛ぶカルラ。
そんな彼女すぐさま態勢を立て直し。
「ざ、雑魚魔物風情が……我に、我に何をしたぁああああああ!」
再びスライムへと突貫。
結果。
攻撃。
躱される。
攻撃。
躱される
ふっとぶ。
このループ。
それを二回繰り返した後。
「はぁ……はぁ……な、なんじゃ……これ、は」
と、スライムようやく倒したカルラ。
彼女は自らの手を見つめながら、わなわな言葉を続けてくる。
「わ、我……ひょっとして……クソザ、コ?」
「…………」
フレイはそっと目を逸らしながら考えるのだった。
そもそも、カルラが魔力を失った原因はフレイだ。
それは分かっている。
本当に申し訳ないと思っている。
だが。
(こ、ここまで……ここまで剣術の才能ないとは)