表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/28

プロローグ 少しだけ未来のお話

「盗賊になろうと思う」


「フレイよ、いきなりどうしたのじゃ?」


 と、言ってくるのは隣を歩く少女。

 黒のゴスロリドレスが似合う銀髪ロング、低身長狐娘――カルラだ。

 彼女はフレイへと言葉を続けてくる。


「我等は今でこそ単なるお尋ね者じゃが、元は勇者と魔王……目立つのは危険だと言ったのは、おぬしなのじゃ」


「それはあくまで、僕達が閉じ込められていた牢から脱出して、王都を離れるまでだよ」


「つまり、もう目立ってもいいと?」


「目立たないに越した事はないけど、それだといつまでたっても目的を果たせないよね?」


「我等の目的……目的か。うむ、そうじゃな」


 と、立ち止まりうつむいてしまうカルラ。

 きっと、改めて確認しているに違いない。

 フレイとカルラ……共通の目的を。


 と、フレイがその事を改めて考えようとした。

 まさにその時。


「そこで止まれ! 生きて王の支配領域から、出られると思ったのか!?」


「この大罪人共め! 勇者様の仲間達を殺し、王に反旗を翻した罪……ここで償え!」


 と、背後から聞こえてくる声。

 フレイが立ち止まり、振り返った先に居たのは。


 王都を守護する騎士団連中だ。

 わざわざ王都から出張ってきたに違いない。


(まぁ、王が送り込む冒険者達を、散々返り討ちにしてきたからね……それに僕達はもう少しで、王都周辺から脱出する)


 向こうにとっては、フレイとカルラを確実に仕留める最後のチャンス。

 きっと必死に違いない。


「フレイ、これを見るのじゃ! やっぱり来たのじゃ!」


 と、言ってくるのはカルラだ。

 彼女はフレイへと言葉を続けてくる。


「あまり目立たない様に旅していても結局これじゃ! 盗賊になどなったら、とんでもない目に合うのじゃ!」


「大丈夫だよ」


「どこかじゃ! 我は魔王だった時のレベルを剥奪され、魔力精製器官に甚大なダメージ……おかげさまで魔力を源とするスキルの類は全て使えん! 一方のおぬしも――」


「はいはい、わかってるよ」


 たしかに、フレイもカルラと同じくレベルを剥奪されてしまっている。

 要するに勇者時代に稼いだ経験値はおじゃん――最初からスタート状態だ。


 もっとも、ここまでくる間。

 フレイとカルラは冒険者をそこそこ返り討ちにしてきた。

 結果として。


(僕のレベルが6、カルラが3くらいにはなってるけどね)


 と、そんな事を考えたのち。

 フレイはカルラへと言う。


「とにかく大丈夫。こいつらを倒して、もう少し行けば……王の目は届かなくなる」


「うむぅ……じゃがぁ!」


「カルラは僕を信じてくれるんでしょ? 僕の味方はカルラだけ、そしてカルラの味方は――」


「あーもう! わかったのじゃ! 我はフレイを信じるのじゃ! 信じるから、早くあいつらを倒すのじゃ!」


 ジタバタ。

 尻尾をふりふりカルラ。

 フレイはそんな彼女の頭を撫でた後、騎士団連中へと言う。


「毎回、言ってるけどさ。僕はその勇者様とやらの仲間を殺してないんだけど」


「貴様! 何を言う! 勇者様が魔王と相打ちになった際、貴様は背後から残った勇者様の仲間達を奇襲――全員を殺したのだろう!」


「いや、だから……それ、誰が言ったの?」


「そんなのは決まっている! 我らが王だ!」


 毎度毎度のこのセリフ。

 フレイはため息を我慢しながら、騎士団へと言葉を続ける。


「王が嘘をついているとは思わないの?」


「貴様、王を侮辱するか!?」


 ダメだこりゃ。

 全く話にならない。


「王を妄信して、僕の話を聞く気はなしかは。これまでの奴らも全員そうだったし、今更聞いてもらおうとは思わないけどさ」


 なんせ、こいつらは。

 王都の連中は……いや。

この世界に住む人間は誰一人として信用ならない。


 フレイを散々利用するだけして、誰の声も届かない地下に幽閉した王。

 そして――。


(僕の仲間達を一方的に殺した王直属騎士団……さらに)


 犠牲の上に成り立ったクソみたいな平和。

 そこで平然と暮らしている人間共。

 皆殺しにしてやりたい。


「カルラ……」


「ん、ようやく出番といったところかの?」


 と、フレイの方へ寄ってくるカルラ。

 彼女はそのまま彼へと、言ってくる。


「苛立ちが見えるが、落ち着くのじゃ」


「…………」


「大丈夫、安心するのじゃ。我だけは……この魔王カルラだけは、勇者フレイの味方なのじゃ……どんな時でも、の」


「わかってる――カルラ、きみの命は僕のものだ。きみが生きているのは、最後の最後で僕が加減したからだ」


「うむ。そして、おぬしの命も我のものじゃ――我が居なければ、おぬしは復讐の機会も与えられず、あの牢で死んで居たのじゃから」


 フレイの目的。

 そして、カルラの目的は簡単だ。


「固有スキル《聖装顕現せいそうけんげん》」


 同時、フレイの手に現れるのは闇の様に黒い大剣。

 彼はそれを振り下ろしながら、騎士団へと言う。


「僕とカルラは……この世界中の人間を、駆除する」


 直後。

 大剣から迸る闇の奔流。

 それは瞬く間に騎士団を覆い尽くし――。


「だからさ……骨も残さず、消えろ――ゴミ共っ!」


 僅か数秒後。

 そこに立っていたのは、フレイとカルラだけであった。


はじめましての人、久しぶりの人。

どうも、ラノベ作家アカバコウヨウです。


ちょっと変わった物語書きたいと思い。

主人公を完全悪人にしよう!

と、書いてみました。


書いてて個人的にはかなり楽しい作品です。

読者様にとってはどうか、とても気になります。




さて……これは毎作、言ってることなのですが


面白かったら、この部分より更に下(広告の下あたり)から、マックス10ポイントまでの評価や感想できますので、してくれると参考になります。


また、続きを読みたいと思ったら、ブクマしてくれると励みになります。


ブクマとポイントはどちらも、作者が連載する活力になっています。

冗談抜きで、執筆するモチベーションに関わって来るレベルです。

すでにしてくれた方、本当にありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ