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79A列車 日本最後の寝台特急

 敦賀(つるが)から「サンダーバード27号」と北陸新幹線(ほくりくしんかんせん)「かがやき514号」を乗り継ぎ、東京(とうきょう)に20時23分到着する。

 さて、この先乗車券では東京(とうきょう)熊本(くまもと)まで新幹線を経由することになっている。20時30分以降でもっともにしへ行く新幹線は20時30分発「のぞみ133号」岡山(おかやま)行き。それに乗らなかった場合は20時50分発の「のぞみ135号」姫路(ひめじ)行きである。だが、僕はここから新幹線には乗らない。22時00分在来線ホームから出発する寝台特急「サンライズエクスプレス」で姫路(ひめじ)まで移動する。

 僕は東京(とうきょう)駅で途中下車し、晩ご飯を食べに行った。次に乗る「サンライズエクスプレス」には食堂車はおろか車内販売もない。ちゃんとここで食べておいたり、買い出しをしておかないと姫路(ひめじ)まで食べるものがない。もちろん、遅れれば姫路(ひめじ)での朝ご飯もないかもしれないが・・・。

 東京(とうきょう)駅に戻ってくると9番線に185系「湘南(しょうなん)ライナー」が止まっていた。「湘南(しょうなん)ライナー」は乗車券と乗車整理券のみで乗れるライナー列車だ。ホームにはたくさんの駅員が出ており、「湘南(しょうなん)ライナー」に乗車する旅客を裁いている。それによく見ると係員がいるところ以外の車両の扉は開いてすらいない。誤乗防止というわけだろう。

 「湘南(しょうなん)ライナー」が出発すると入れ替わりで品川方面から285系「サンライズエクスプレス」が入線する。

 285系は個室寝台主体の寝台特急専用車両。583系以来の寝台列車に充当できる特急型電車で今では唯一の寝台特急を担当する車両である。7両編成の内6両が全て個室のみで構成されており、残った1両は座席車両である。しかし、座席車両と言ってもそれは横になれる座席扱いの車両なので、「ムーンライトながら」や高速バスで移動するよりも快適な移動が約束されている。

 今日僕が乗るのは14両編成中2両ある座席車両である。

 「サンライズエクスプレス」の写真を何枚か撮り、12号車へと入る。12号車には上下2段構成でカーペット敷きの区画が並ぶ。区画の半分くらいが仕切で区切られており、そちらに頭を向けて寝れば、他人に寝顔を見られたりすることはないようにはなっているが・・・。仕切られていないところから見れば、確実に顔は見えるな・・・。僕は軽装になってから横になった。

 22時00分。「サンライズエクスプレス」は東京(とうきょう)を出発する。

「今日も「サンライズエクスプレス」をご利用くださいまして、ありがとうございます。「サンライズ瀬戸(せと)高松(たかまつ)行きと「サンライズ出雲(いずも)出雲市(いずもし)行きです。」

自動放送のアナウンスがかかる。この後自動放送は淡々と停車駅を告げていく。次の停車駅は横浜だ。

 だが、今日ばかりはねずに夜を越すなんて事はしない。僕は背負っていた鞄を枕代わりに、小さいブランケットを体に掛けた。だが、ブランケットだけではさすがに小さすぎる。持っているコートも上に掛け、布団代わりにする。これだけでも安眠が約束されている気がする。旅の疲れからか、すぐに寝付いた。

 次に目が覚めた時、列車は急停車した。急ブレーキというのは寝ていてもよく分かるものだ。そして、何か嫌な感じがするのも同じだ。

 だが、それに関するアナウンスはない。それもそのはず。寝台特急では「お休み放送」がなされた後の車内放送は翌日の「おはよう放送」までない。あるのは緊急の時だけだ。時間はまもなく1時であるから、当然だ。

「・・・。」

気になると寝れなくなる。他の乗客を起こさないようにゆっくりと寝台から出た。車掌に事情を聞いてみるか・・・。聞いた結果は14号車でSOSボタンが押されたからと言うもの。聴きに行っている間に列車は動き始めたので、それほど緊急でも無かったと言うことだろう。

 1時16分。列車が減速を開始。浜松(はままつ)に到着するのだ。定刻であれば1時12分に浜松(はままつ)停車であるから、だいたい5分遅れだ。

姫路(ひめじ)に着くまでの間に5分くらいなら取り戻すかな・・・。)

僕はそう思いながら、2度寝に入った。

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