83A列車 特急転身車
熊本でお昼を済ませ、11時23分に出発する「かわせみ やませみ3号」に乗車する。この列車は熊本から肥薩線を通り、人吉まで行く特急列車である。見た目は京都丹後鉄道の「あかまつ」と同じように普通列車なのだが、中身は木材の多用された特急車両に生まれ変わっている。
人吉側に向いているディーゼルカーには青色で「翡翠」の愛称が。熊本側に連結されているディーゼルカーには緑色で「山翡翠」の愛称が付いている。
この列車に乗るであろう年配の人たちの集まりが、「かわせみ やませみ」にスマホやカメラを向けている。
僕がこの列車の指定券を取った時窓側が1席しか空いていないといわれていた。最初取った時はどういう状態なのだろうかと思ったが、ツアーとかそう言うので、ちょうど空いていたのが窓際1席だけだったのか・・・。
11時23分。熊本を出発。「かわせみ やませみ」に充当される車両はキハ40系を種車にしている。夏に乗った三江線のキハ120系とは違い、レールをたたく音はとても重々しい。新幹線の高架橋を眺めながら、新八代まで南下する。新八代停車の手前で「リレーつばめ」が使用していた盛り土を見るようになると「かわせみ やませみ」は減速し、新幹線高架橋の真下に停車する。
新八代を出発し、次の駅八代に停車。八代から肥薩線に入る。
肥薩線に入ると「かわせみ やませみ」は球磨川に沿って上っていく。左に右に、短いトンネルをいくつもくぐり抜け、山の中へと分け入っていく。
坂本駅に止まった後、しばらく球磨川沿いを上っていくと、
「まもなく、第一球磨川橋梁を通過いたします。この第一球磨川橋梁はトランケート式トラス橋で、日本では今から渡ります、第一球磨川橋梁と第二球磨川橋梁だけに見られる大変珍しい構造の橋でございます。」
そんな案内は「かわせみ やませみ」のエンジンと走行音がかき消す。
まもなく、減速し、列車は球磨川を渡る。さっきの案内もあって乗客はしきりに外にカメラやスマホを向ける。
(こういう時に前や後ろが見えないって不便だな・・・。)
この中でそう思っているのは僕だけだと思う。




