74A列車 大富豪系現業職員からの
眠い。「どうも、皆さんこんにちは。大富豪系現業職員の智君でございます。」と「大富豪系ユーチューバー亜多琉君」の口上が頭に浮かぶ。11月29日。僕は新大阪の新幹線ホームにいた。これから乗る列車は「こだま682号」東京行き。乗る車両は9号車。つまり、グリーン車だ。
切符を一枚めくり、別の切符を出した。それは12月18日の「サンライズ出雲」の切符だ。区間は東京→米子。関西在住の人間が12月18日に東京から寝台特急に乗るのだ。
「買っちゃったよ・・・。」
僕はそうつぶやいた。
「新幹線をご利用くださいまして、ありがとうございます。まもなく25番線に18時43分発。「ひかり480号」東京行きが到着いたします。」
「26番線から「のぞみ48号」東京行き発車いたします。」
僕のいるホームでは新幹線の出発、到着アナウンスがひっきりなしに流れている。さて、そろそろ僕は700系の写真を撮るために先頭近くに行きますか・・・。
翌日。
「なるほど・・・。それで、これを見せて私に有無を言わせないって事かしら。」
萌は呆れ気味に言った。大きくなったお腹をさすりながら、呆れた目線を僕に送る。
「別にいいでしょ。ダメなら行かないよ。」
「・・・行っていいわよ。」
「いいの。」
「息抜きも必要でしょ。自分のお金で行くなら、私は何も言わないから。」
「ありがとう。」
「・・・播州さんの動画見てから本当に乗り鉄に火が付いたわね・・・。」
「いやぁ・・・。」
「綾部から綾部までかぁ・・・。この方が距離の割に安くなるの。」
萌がそう聞いてきた。僕がそれに答えようとすると、萌は時刻表を手に取り、営業キロを計算し始めた。しばらくたつと「安くなるわね。」という声が聞こえてきた。
「乗車券って本当に長い方が安くなるわね。守山→守山、守山→京都市内、京都→守山で乗車券買うより守山→綾部の往復と綾部→綾部で買う方が安いのね。」
納得したように言った。まぁ、安くなるとは言っても乗車券の金額は軽く1万を超えるけど・・・。
乗車券
守山→綾部(往復)
経由:東海道・山陰
綾部→綾部
経由:舞鶴・小浜線・北陸・金沢・新幹線・東京・新幹線・岡山・山陽・伯備・山陰
「でも、「サンライズ」に乗るために東京に行って戻ってくるの。」
「萌は理解してるでしょ。僕はこういう旅行しか出来ないって。」
「・・・そうね。嫌と言うほど理解してるわ。」
だが、萌にこういった日の夜。あのニュースを目にするとはこの時思っていなかった。
その日の深夜、仕事の空き時間。僕はツイッターを開いていた。最長往復切符の旅をしていた播州亜多琉さんに会うために始めたツイッターだが、今でも続けている。フォロワーはそれほど多くは無いが、十分充実したツイッターアカウントになっている。
「えっ・・・。」
僕の目に一つの記事が目にとまった。引用ツイートだろう。記事のURLが貼り付けてある。
(「はやとの風」が定期廃止・・・。)
僕の頭の中には綾部→綾部の切符を九州まで行けるように大改変する案が瞬時に浮上してきた。